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Night for Lovers 2

皆さまにお送りするナイト・フォー・ラバーズ。こんばんは、ナビゲーターの森崎由香です。
金曜の夜長、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
えー、今日で番組自体は終わってしまうのですが、明るくいきたいと思います。

今日もね、皆さまからのお便りを順に読んでいきますんで、奮ってご投稿下さいね。
それではいきましょう、一曲目エリック・クラプトンでティアーズ・イン・へーブン。

♪♪♪♪


さて、お送りしましたティアーズ・イン・へーブン。
この曲はクラプトンの息子さんが窓から転落死して作られた曲で、もうなんて言うかな文字通り泣けますね…
そのクラプトンといえば春からツアーが始まるようですが、来日もするようです。
私も行こうかな?…なんて思ってます笑

ではさっそくですがお便りにいきましょうか。
まずは、練馬区石神井町・トキコさんからのお便りです。
"こんばんは、由香さん。
唐突ですが、私にはいま好きな人がいます。
彼のことを知ったのはちょうど1年くらい前のことで、職場の取引先でのことでした。
会った第一印象は、スーツで決めてたし髪型も小ざっぱりしてたから特に悪くは思いませんでした。
話もスムーズで、時折ジョークも混ぜて笑わせてくれたので、どちらかと言うと好感を持ちました。
仕事のこともあってまた会うことになり、その日は連絡先を交換して別れました。
それから2、3日して彼からメールがあり、仕事とは別に会わないか?…と、言われました。
まだ、1回しか会ったことない人だし、正直私は戸惑いました。
由香さんならこんな時、どうしますか?"

はい、ありがとうございました。
短く簡潔にまとめてもらってわかりやすかったです。
けっこうある話しだと思いますが、そうですね、私ならもうちょっと仕事で会う回数を重ねてから、プライベートで会うと思います。
やっぱね、お互い大人だし2回目だからといって食事終わって酔った勢いでってこともあるじゃないですか。
そこら辺は私はですよ、個人的には用心した方がいいかな?…と。
ま、あくまで参考までに笑

では、2曲目アランパーソンズ・プロジェクトでアイ・インザスカイ。

♪♪♪♪


はい、聴いていただきました。
アランパーソンズ・プロジェクト、アイ・インザスカイ。
いい曲ですね。
なんか青空の草原の下…って感じの爽やかなナンバーでした。

では、2通目。
次は男性のようですね。
台東区の上城さんです。

"こんばんは。
初めてお便りします。
実は、この番組の初回からのリスナーです。
私には昔からずっと忘れられない人がいて、今でも時々思い出します。
それは、高校の時の同級生で同じ駅で乗り換えをする関係の女の子だったのです"

あ、私も同じ経験がある。
なになに

"その子はセミロング、今で言うところのボブに近い感じで襟足の髪先をチョンと整髪料で跳ねさせてました。
スゴい雰囲気のいい子だなーと思って、いつも会うたびにいつか声をかけてやろうと企んでたのです。
でもある日、その乗り換えの駅で彼女を見かけなくなりました。
元気なら、いま由香さんと同い年のはずで、どこでどうしてるのかわかりませんが、このことを伝えたくてお便りしました。
どうかその子に私の代わりに想いを伝えて下さい。
好きだったと"

ありがとうございました。
なんか読んでて、私にそっくりな女の子なのでなんとも言えない気持ちになってしまいました。
その子なりに事情があって、出会えなくなったんでしょうけど、切ないですね。

その子の代わりに言いましょう。
私も好きでした。

って、その子になり切って言っちゃいましたがその子も同じ気持ちだったと思います。
大人になるとわかることもありますね。

早いもので番組も終わりに近づきましたが…

最後に、メイレイでビルト・トゥ・ラスト。

では、皆さんまたいつの日か会いましょう。
お元気で!

品川にて

私はポスティングの会社にバイトで勤めていた。

そのポスティングの会社は、品川埠頭の突端にあり文字通り『品川ポスティングオフィス』といった。
平屋造りの工場の跡地のような会社で、角の一室を事務所にしていた。
従業員は社長も含めて総勢4人だ。

私は派遣業をしながら、掛け持ちをしていた。

バイトの仕事仲間には、…といってもこれといって親しいわけではないのだが、パッと見、チャラい感じのチーマーっぽい奴も2人ほどいた。
どういうわけだが、年配のおじさんはいなかった。

その日配るチラシの指示をする、会社の主任みたいな男がいて、見た目はアラサーなのだがモンスターみたいな巨漢だったから私は勝手に『デブゴン』と心の中で呼んでいた。
いつもそいつは半袖にハーフパンツだった。

デブゴンは、私が願書を出して受かり指定の日に来るように言われた時、ひと通りポスティングの仕方を教えた。
原付を使ってのポスティングで、あるエリアまで行きそこで地図にマーキングされた箇所にチラシを投函していくのだ。
原付を使っての投函なので特殊で、歩いて回るよりは時間が早いが、一方通行などの道もあり一筋縄ではいかなかった。
企業秘密かもしれないので、ここで私はそのやり方については触れない。

仕事は順調で往々にしてうまく運び、成績も悪くないほうだった。


雪が降った日、運悪くもシフトが入っておりスタッドレスタイヤでもない原付では私は絶対滑るだろうと思い、今日は休みます、とデブゴンに電話で伝えた。

デブゴンは、電話で

「もう来なくていいよ」

と、即答で言った。

その理不尽な対応に私は今でも恨みを持っているが、使われてる身だ謝るしかない。
その時はなんとかそれで収まったが、それからデブゴンは私のポスティングのはけが悪いと言い出した。

デブゴンについての記憶はそれだけだ。
他に語ることはない。


デブゴンの指示で、事務所の横の原付が並んでいるガレージみたいなスペースでチラシをまとめる準備をしている時、私より4歳ほど上の年相応には見えない若い風貌のサカガミといった男が、私のその準備の手伝いをしてくれ、気さくに世間話もしてくれた。
サカガミは会社の手伝いでここに来てると言った。
なんとかボーイズのドラマーのドラム奏法を教えたことが昔あると自慢をした。

サカガミさんはここにいない時、普段何をされているんですか? 私はそう尋ねた。

サカガミは、24時間テレビのボランティアでペットボトルの蓋を集める仕事の会社を立ち上げる準備をしているというようなことを私に言った。

走るチャリティーに対して、ボランティアで蓋を集める…

私はそれがどう繋がるのか理解不能だった。

ただ、私は24時間マラソンでタレントのランナーが走っているところを想像し、その横で何を出来るのだろうか?…と思った。
私は白昼夢にも似たそのランナーが行く道の側でただひたすら日差しに当たられながら汗をダラダラ流してる自分しか頭に思い描けなかった。

そして私は夏が嫌いだから、例えそのような仕事に従事してもすぐ根を上げるだろう、そう思った。


あれから10年近くも経過した。
サカガミは、生きていれば46歳ほどだ。


夢が叶っていれば、24時間テレビのボランティア会社を立ち上げてるはずだし、挫折して死人同然の暮らしをしているかもしれない。

そんなことは私は知らない。


私はいま、地方都市の田舎と呼んでもおかしくないような町に住んでいる。

浜が近いので、自転車で時折海を見に行く。


浜の入り口辺りにプッシュボタンを押すと違う飲み物が出てきたり、釣り銭が多く出てくる異常を起こす自販機がある。

アクエリアスのペットボトルのボタンを押したが、案の定違い、コカコーラが出てきた。

私はコカコーラのペットボトルを、一息に飲み干し海に向かって投げた。



あの夏の日

あの夏ほど、燃え上がった夏はない…