81歳のMさんが

紹介されて来たのが昨年4月。

昨日 簡易宿泊所にて息をひきとった。

 

その二時間前に定期の訪問診療。

本人は最近

訪問看護には

「これまでに無いくらい穏やかなきもちだよ」

と。

私には訪問時

「呼吸が止まってもいいから 眠りたい」

と。

「タバコが吸いたい」

と。

 

Mさんは

肺癌

基幹病院からの看取り目的の紹介状と

もともと

依存症にて10年以上通院していた

寿町内の診療所の先生からの紹介状

を持ってケアマネさんと

ポーラのクリニックへ。

 

まだまだ元気な感じで飄々として

外にも出かけられたし

カネは帳場さんに財布のヒモを握られ

そこは不自由だが

その他は自由気ままな余生。

 

年明けから鎮痛剤内服

その後 座薬

その後 麻薬

で それでも外出できて

すきなもんたべて

たばこ吸って。

 

数日前から

出かけられなくなって

 

人気者だから

前のクリニックのスタッフやらドクターが

お見舞いに

 

そして

私に最後のお願い

「タバコが吸いたい」

 

死前喘鳴が始まって

ノドはゴロゴロ

 

喫わせてあげたかったが

12人回る往診の第一番め

自分で着火できない

吸い終わるまで待ってなきゃいけない

 

の理由で

「ヘルパーさん来たらね」

で逃げた。

 

まさか 二時間後に亡くなるとは思わなかった。

 

すわせてあげればよかった。

 

それだけが心残りだが、

それ以外はとてもいい看取りだった。

 

前のクリニックからは主治医や看護師も

面会に

穏やかな死に顔を

みてくれた。

 

昨年 Mさんのお母さんが100歳で亡くなられたそうだ。

M さんのベッドサイドにはその葬儀の写真が置いてあった。

Mさん本人は“ワケアリ寿人間”なので参列しなかったそうだ。

恐らくは“親不孝もん”だったんだろうが、

最大の親不孝といわれる

“親より先”ではなかった。

 

それがせめてもの救いです。

 

かかわったみなさん

お見舞いのみなさん

おつかれさまでした

有り難うございました

 

これぞ コトブキ の看取りでした。