昨日のブログの結び)

 

昨日挙げたブログの患者さんは

呼吸状態が経時的に悪化

 

昨夜は不安になった家族から

臨時往診の依頼。

 

22時に訪問。

確かに悪い。

左肺は無気肺となり、

呼吸数は60(正常は14-18程度)

浅くて粗い。

意識レベルも低下している。

 

もう、

可能性がゼロであることを言葉を選びつつ

お伝えしたところ、

奥様と長女さんが泣き崩れた。

 

月曜の大雪で

退院決行

嚥下トレーニングを

2回行おうとしたが、

「口を開けてください」

に反応しないので

リハは厳しい、

と報告を受けていた。

 

この家族がこの4日間行ったことが

印象的。

 

毎晩5人で、孫もまじえて

Bed下の畳の上にちゃぶ台を置いて

そこで楽しくご飯を食べ、ビールをのんで、

笑って昔話の会話して、

「ね。 パパそうだったわよね」

と話しかけたそうである。

 

私からの、

「最後まで聴覚はあるから、ウルサイほどに話しかけてあげたら?」

のアドバイスを忠実に具現化していた。

 

ある意味での引導を渡して帰宅。

その数時間後の午前4時前、

「さっき呼吸が止まりました」

と連絡が入った。

 

死亡確認に出向いたところ、

長女は亡くなったばかりの父のベッドのうえで

添い寝。

手をつないだまま、

声をかけ続けて、

最期の息は呼気でした

と微笑みながら

教えてくれた。

 

死亡診断書を記載しつつ、

柳田邦男著の

「犠牲サクリファイス」

に書かれていたこと

「看取りの期間は5日くらいがちょうど良い」

を話した。

 

別れをつげて、気持ちを落とし込む、腑に落として

後悔が残らない

 

そういう看取りは5日間がいい。

短すぎても長すぎてもよくない。

 

この家族が、

「面会時間15分 2人まで」

と告げられ、

「たべれない」

ときかされ、

私のアドバイスで

急きょ退院を決心するのに1日。

決心から退院までの期間は

「土日退院はご遠慮下さい」

と病院経営丸出しの規則に従い、

あの大雪の日に

退院を決行した。

 

その日からちょうど5日目に成り立て

の早朝の旅立ちであった。

 

ご挨拶を終えて、

長女が、

「今告白しますけど、綿棒に父が大好きだった

アサヒスーパードライを浸して、口の中に入れたんです。」

「そしたらチュウチュウと吸ったんですよ」

と、ベッド添い寝の時と同じ茶目っ気の目で微笑んだ。

 

実に幸せな父幸せな家族の在宅みとりであったと思う。

夢のような話だがホントです。

 

疲れたけどすがすがしさの方が勝りました。

 

さらなるご冥福を祈ります。