NTさんは88歳
死亡診断書病名 「老衰」
昨日、南区の簡易宿泊所にて、息をひきとった。
介護ヘルパーや帳場オーナーや訪問看護、今年に入っては担当医山中→米本によって、長年見守られての長期間の看取りであった。
昨日はちょうど米本DR(水曜外来・金曜訪問診療)の外来勤務中であり、外来後の臨時訪問にて死亡確認と診断書の記載をお願いした。
「良いお顔でした」との報告。
ありがとうございました。
死因についての確認。
米本:「老衰」しかありえないのでよいですか?
山中:賛成 それしか無い。
NTさんは元々はコトブキの住人。
職歴や人生歴を語るタイプの人ではなく、
当院初診の2012年にはすでに、
脳梗塞後遺症による左片麻痺と構語障害、冠動脈ステント治療後。
として受診。
コトブキの簡易宿泊所内ではなかなか面倒見切れないとのケアマネの判断で、
南区の簡易宿泊所へ転居。
そこで、帳場オーナーのFさん以下の介護チームにわれわれ医療チームが合流しての
11年であった。
11年の間に死にかけたのは二回。いずれも介護チームが発見して救急車。
1回は冠動脈左主幹部病変→ステントにて救命。
二回目は左中大脳動脈の根元の閉塞→緊急血栓溶解にて元通りへ。
ベッド上での寝たきり11年で自分からの発語は無い状態はあったが、
聴くことや理解はできた。
介護チームは、コミュニケーションツールとして、マラカスや叩くと音が出るハンマーを渡して
よろこびや肯定の際にはこれを絵顔で右手で打ち鳴らして・・・。
特にポーラのクリニックの事務(長)の女性Nさんの訪室には、ことのほか鳴り物の音が目立った。
そんな晩年であったが、
夏頃から食欲が無くなり、点滴に反応が乏しくなり、数週間尿量が減って、鳴り物が消失し、
そして昨日亡くなった。
大きな検査はしていないが、経過から「老衰」と診断した。
吐くわけでも苦しむわけでも熱が出るわけでも無い、平穏な数ヶ月であった。
NTさんはコトブキでの独居であったが、転居後のこの11年は介護・医療チームの「ひとだらけ」
の晩年。
かまってくれることに喜びを表現できていたので、「愛されキャラ」
であった。
緊急入院時の治療も短期でことごとく的確成功。
人の巡り合わせのよい人
の一番かもしれない。
人間力っていうのは
人を助けることができる能力
だけではなくて
人から助けられることができる能力
もあると思う。
あちらでもシアワセでありますよう、ご冥福をお祈りします。