今年の夏の犠牲者とおもわれる死亡例が出た。

SNさん81歳。

寿の比較的旧式の簡易宿泊所。

典型的3畳一間。

でもEVもエアコンもあるので、比較的旧式タイプのドヤ。

 

約10日前にヘルパーさんから、報告。

SNさん40℃の熱発、コロナ陰性。

車いすにて来院を指示。

診察すると明らかな熱中症、脱水にて不隠も強い。

採血して点滴。

翌朝の採血結果では、致命的急性腎不全。

本来なら救命のため即入院、急性期透析治療が必要なデータ。

であるが、予想どうり 本人は不隠ながらもまったくそれを望まなかった。

結果、在宅みとりを選択した。

 

もともとは、

3年前に寿のかかりつけ医と近隣の入院先の担当医から訪問診療を目的に紹介されてきた患者さん。

病名は認知症 腎機能障害 慢性心房細動  多発性褥瘡。

当初の要介護3を区分変更にて4に上げ、介護、看護を導入して訪問診療開始。

みなさんと本人の努力の結果1年後、褥瘡完治、歩いてトイレへ行けるようにまでなった。

 

ここまで回復すれば、さらなる社会性の向上をめざして車いすによる外来通院へ切り替えて2年が経過。

介護の介入や通院やデイサービス、訪問看護師による安心感にて認知症の悪化はみられなかった。

 

今回命取りになった原因は、

この歴知的猛暑。

と、本人の認知症。

 

SNさん在住の簡易宿泊所内のエアコンは、東日本震災後の節電キャンペーンの継続のため、夜9時になるとキレる、と(同じドヤの患者さんが説明してくれた。「オレは毎晩スイッチ入れてる」と)

その後のエアコン調整は自分でリモコンを再操作してONにしないと、夜通し猛暑となる。

 

認知症のSNさんはその方法が分からなかったか?

あるいは高齢のため高温体感しないままになってしまったか?

 

急性腎不全となってしまってからではもう手遅れだった。

連日の訪問看護点滴導入でも改善傾向無し。

 

今朝亡くなられた。

 

猛暑とエアコン節電の犠牲者となってしまった。

 

この簡易宿泊所のオーナーさんは当院の患者さんなので、注意喚起しなくっちゃ。

早急にエアコンの自動OFFシステムを改善してもらわないと、さらに次の高齢犠牲者がでてしまう。

 

まだまだ残暑は続く。

SNさんのご冥福を祈ります。