昭和の日。

あさ3時に起きて、家族とゴールデンレトリーバー一匹で、レンタカーを借りて京都へ日帰りした。



目的は「風の画家」中島潔さんhttp://www.nakashimakiyoshi.com/ とできあがって奉納されたばかりの地獄絵に会うため。

中島さんとは5年来の知己。

友人と呼んでいただけるのは恐縮、一方的に尊敬しているお方。



清水寺の成就院の襖絵の鰯(金子みすゞの大漁)http://blog.goo.ne.jp/kappou-fujiwara/e/9046ca643a559f0a885f81cd9ac05161 に魅せられ、手紙を書いて熱海のアトリエまで押しかけたのが始まり。


その時、私のために「鰯」を一匹くださった。








絵は全く理解しない。

小学生時代の図画はほとんど「3」。

たまに工作で「4」

絵はわからないが、中島さんの絵だけはわかる。

絵のもつ行間の力がすごい。

中島さんの絵は「風の画家」と評されるだけあって、立体感がすごい。



しかし、それ以上にすごいのは、その行間の力。

音楽でいうと、休符の力みたいな。



前回の清水寺の「生命の無情と輝き」の襖絵のストーリーとその行間の力。

かぐや姫から始まって何千匹にも見える鰯にて終える組曲のような作品。



今回の「地獄絵」

楽しみにしていた。

普段の作風から考えて、「描けるのか??」とさえ疑っていた。



一度妻とアトリエにお邪魔したとき、デッサンを見せていただいた。

「地獄の鬼の目がぎょろぎょろと集中力をもち」「焼かれる人々が原爆資料館でみた光景と同じだ」

そんな印象で帰宅したことを覚えている。



平成27429日。

奉納された六道珍皇寺http://www.rokudou.jp/ へ「地獄心音図」を見にでかけた。



作者直々に一枚一枚、解説を受けながら、5枚の襖絵サイズの地獄絵を見た。

「盗むとこうなるよ」「人をだますと・・・」「子供を虐待すると・・・」「嘘つくとこんな仕打ちが待ってるよ」から始まり、「一番罪深いのは民衆を妄動することだよ」と、5枚目の絵はそれはそれは暑くて熱くて、痛くて、苦しくて、もうやめてと思っても繰り返されて・・・。 そりゃ恐ろしい。



しかし、その最後にまっているのは「お地蔵様の慈悲の世界」。



ここで、「ほっとした」感にしてくれる。

最後はいつもの中島ワールドに連れてってくれるが、その前の序曲的流れが壮絶であるがゆえに、最終の数小節の昇華感がすごい。

それまで起こってきたことをすべて飲み込んで包み込んでくれるような5枚目の絵の左上の「お地蔵様」と、バッハのマタイ受難曲がかぶってしまう。今回の絵にはバッハの宗教曲が似合う。

そんな行間を感じたすばらしい絵であった。

鰯と同様に感動涙が出た。



日帰り京都。

まだ今日も仕事中、絵の興奮余韻が残っている。


GW中特別公開されている。

成就院でもそうだったが、中島さんの絵は奉納された場所で見なければ魅力が半減する。高島屋や松坂屋で特別公開されたものをみてしまっては、彼独特の行間はよほどの敏感者でない限り感じえない気がする。

5月5日にはNHKでも紹介されるらしいが、テレビではなかなか伝わらない。


「そうだ!京都。 行って良かった」

ぜひ、皆さんもどうぞ。