2週間ほどの入院生活を終え、強い希望にて元の簡易宿泊所にもどってきたKばあちゃん。

昔のおしゃべりはもう聞かれない。

老衰による変化がみてとれる。

でも意識はしっかり。

「帰ってきてよかった?」に「うん」と肯き、

「いたいとこある?」 にクビを振る。


「カーテン開けとくよ」にもうなずいたので、開けたままに。

空見えた方がいいもんね。


病院で入れられたバルンカテがちょっと気になったけど、抜くのも苦痛だろう。

低栄養でむくんだ手足の血圧を測るのも痛いだろう。


みとりのとき、医師にできることはなにもない。

声かけて、空みせてあげることは医師でなくてもできるんだな。


あと数日だろう。

今のように、苦痛なく、穏やかに。

それをみまもるだけ。


心電図のモニター音も、ナースコールもない。

けど、終焉の穏やかさがある。