となりの部屋でねむっている 父親をおこしにいくけれど
雨戸が全部しまっていて どこにいるのかもわからない
ぼくのかわりに誰かがおこしにいけばいいのに
くらい くらい 夜のヤミよりくらい (「日曜日の午後」)
眠っているあいだにそっと ぬるい空気がまいおりてきて
その一週間 雨がつづいた うっとおしくて ずっと部屋にいた
舌の短い女がキスしてきて
ますます ゆううつになった (「たいくつ/ゆううつ」)
そこに示されているのは、簡単に抜け出すことのできない世界だ。同じところをいつまでもぐるぐると回り続ける世界だ。そういう世界のあり方に、主人公はほとんど嫌気がさしているのだが、出口は簡単には見つからない。あるいは出口はすぐ近くに見えているのだけれど、立ち上がってそこから出ていくだけの気持ちを、どうしても奮いおこすことができない。外に出て行くのは、なんだか億劫だ。また意を決して出て行ったところで、そこにかれが見いだすものは、こことほとんど変わりのない世界かもしれない。
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