恥ずかしながら救急車で運ばれているとき意識は朦朧としていて前後をよく覚えていないのだが。
ストレッチャーの上で何故か大泣きしている自分がいた。
過呼吸の発作は、呼吸を止めさせたり、口に袋をあてたりして吸う空気の量を減らせばおさまるらしいのだが。どうも効果がなかったらしい。「おかしいな~」と首をひねる当直のドクター。
「精神安定剤入れてみようか」…薬の効果でようやく落ち着いてきた。その間ずっと僕は泣いていたらしい。
「旦那さんきっと辛いことがあるんだと思いますよ。奥さん心当たりは?」そのドクターの談。

何が悲しくて泣いていたのか?
その朦朧とした意識の中で僕が思っていたのは、前後も脈絡もなくただ『ハルマゲドンがきてしまった』
ということだった。ただそのことが悲しくて泣いていた。論理も理由もないただの悲しみ。それだけ。

いくら頭でわかったつもりでいても、いくら理論武装しても。俺の原初の部分はエホバから逃れられないのか?
例えば混濁した意識のもとでは『輸血を拒否する』なんて馬鹿なことがあり得るかもしれない…。
それは実際になってみないとわからないけど。

なんだ仕方ないな…と思った。でも意外にガッカリはしなかった。
まあそういうもんでしょ…という諦めにも似た気持ち。

でもそれとは別の涙の意味があるような気がする。

『…涙なら拭くでしょ それすら流れないなら 悲しみはどうしたら僕から出て行きますか?…』
(台風は北北東に進路を変え/スガシカオ)

後日この歌詞と出会い、ふっと気がついた。
「そういえば最近、この自分のエホバ問題で泣いたことなかった。子供時代は泣いてばかりだったのに。
嘘に気づいて猛烈な怒りはあったけど、その裏には確かに深い悲しみがあったのではないか?
悲しみの感情の処理をしてなかった。あの涙の意味はきっとそういうこと。
大泣きすることによって内奥の悲しみを吐き出したのではないか?」
そう考えると納得がいき、スッキリしたのだ。
泣くって大切なんだね。
その後は?飲み過ぎても過呼吸なんて起きないし。もう大丈夫‼
半生分の悲しみをぶちまけたんだから(笑)











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汚れてる魂だけを 取り除くのが無理なら
どちらに歩けば それを未来と呼べるのでしょう?
宙ぶらりんな ユメ 19才
宙ぶらりんな ウソ19才
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スガマニアトムの独断偏見解説
縦の糸と横の糸を織り成してできるのが布。
例えば横の糸がどうしようもなく汚れていたら。
出来上がった布は『汚れた布』だろう。
『汚れた布』が嫌だからといって汚れた横糸だけを抜き取ることはできない。
織りなした布から汚い糸だけ取り除くなんて無理なんだよ。
そんなに汚れが嫌ならいっそ布ごと捨てちまおうか?
きっとそっちの方が楽だよ。
こういう気持ちわかってもらえるかな?
『汚れてる魂だけを取り除くのが無理なら どちらに歩けばそれを未来と呼べるのでしょう?』
傷や瑕疵を引き受けて生きるってつらいことだよね。
君は 嘘の糸張りめぐらし
小さな世界 全てだと思ってた
近づくものは なんでも傷つけて
君は 空が四角いと思っていた

「これが全て… どうせこんなもんだろう?」
君は言った… それも嘘さ…

ケバケバしい 君の模様が寂しそうで
極楽鳥が 珍しく話しかけた

「蝶の羽根いただいて こっち来いよ」
「向こうでは 思い通りさ」

ピンクスパイダー 「行きたいなあ」
ピンクスパイダー「翼が欲しい…」

捕らえた蝶の 命乞い聞かず 君は空を睨む
「傷つけたのは 憎いからじゃない 僕には羽根が無く あの空が 高すぎたから…」

『私の翼を使うがいいわ、スパイダー。飛び続けるつらさを知らないあなたも、いつか気が付く事でしょう。自分が誰かの手の中でしか飛んでいなかったことに。そしてそれを自由なんて呼んでいたことにも』

借り物の翼ではうまく飛べず まっさかさま墜落していく

ピンクスパイダー 「もうだめだ」 ピンクスパイダー 「空は見えるのに…」
ピンクスパイダー 「失敗だあ」 ピンクスパイダー「翼が欲しい…」

わずかに見えた あの空の向こう 鳥たちは南へ
「もう一度飛ぼう この糸切り裂き 自らのジェットで あの雲が 通り過ぎたら…」

ピンクスパイダー 空は呼んでいる ピンクスパイダー ピンクスパイダー

桃色のくもが空を流れる…

(ピンクスパイダー/hide)