一方、村本も同じように古事記その他の本を読まされた。それは、思想犯の転向用に獄中では必読書になっていたのである。しかし村本は、日本史だけではなく世界史も学び、その上で聖書の世界に心のよりどころを求めたのだった。今さら獄中で古事記の類を読まされようと、その信仰がぐらつくこともなかったのである。
だからこそ、真人が順三の子であったという事実が、重い意味を持つ。真人は、順三の方針もあって、上級学校には行かなかったのだ。
…
順三は生涯、転向した息子と会わなかったという。
私は大のことを考えていた。
エホバの証人の両親に育てられた大が、いつか聖書以外の世界に目を開いたとき、彼はどうしただろうか。
真人が視野の拡大したダイナミズムによって転向したように、エホバの証人であることを恥じたろうか。
だからこそ、真人が順三の子であったという事実が、重い意味を持つ。真人は、順三の方針もあって、上級学校には行かなかったのだ。
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順三は生涯、転向した息子と会わなかったという。
私は大のことを考えていた。
エホバの証人の両親に育てられた大が、いつか聖書以外の世界に目を開いたとき、彼はどうしただろうか。
真人が視野の拡大したダイナミズムによって転向したように、エホバの証人であることを恥じたろうか。