「80's Rider」へようこそ!

 

整備大嫌いです。(;^_^A 

面倒くせぇ。

とかいいつつ、バイク屋に一円だって払うのも嫌なので自分でやりますが、誰かタダで完璧な整備やってくれる人がいるなら、もちろんお願いしたいです。

 

でもね、「整備しない奴、バイクに乗る資格無し。」

先輩にこう叩き込まれたので、やらないとなぁ。

 

最近、若い子にちょっとボルトの能書きを語ったので、今回はそんなボルトの話。

 

僕がその言葉を始めて見聞きしたのはまだ20代前半くらいの頃だったかな。会社の棚に置いてあった雑誌「RIDER'S CLUB」のバックナンバーだった。

 

それは締め付けトルクについて書かれた記事。

その時、初めて「塑性域」、「弾性域」という言葉を目にした。

普段なかなか使わない言葉と見慣れない漢字、それぞれ「そせいいき」「だんせいいき」と読むんだそうな。

 

それまでの僕はメカニックの先輩や、サービスマニュアル、雑誌などから整備の知識を得ていた。

整備は整備費の節約に直接繋がるのと、バイクに対する理解が深まるので一石二鳥。そんな訳で当時は積極的な姿勢で様々な技術情報に興味を持ち、いろいろと吸収した。

 

そんな僕でも、初めて聞くその言葉を知って、「奥が深いなぁ」とつくづく感心させられたものだ。

もちろん、整備士の専門学校や育成現場では当たり前の知識なんだろうけど、ド素人ではなかなか辿り着けない専門レベル。当時はまだインターネットも無い。

 

ボルトやナットを締め付けるにあたり、「締め付けトルク」が設定されている事ぐらいは最近の素人さんでも知っていて、それらを測定する為の器具が「トルクレンチ」ってやつだ。

 

ボルトを規定のトルクで、トルクレンチを使って締め付けるだけの事なのだけれど、ボルトを締めるのは簡単なようで奥が深い。

その設定された既定トルクとやらにも「ウェット」「ドライ」があり、更に「塑性域」「弾性域」がある。

なんだかややこしいですなぁ。

まぁこれぐらいの能書きは誰でも知っていると思うのですが、当時の僕には「へえ~」の連発である。

「ウェット」と「ドライ」については察しがつくと思いますが、ネジ部や座面にオイルや液体がついた状態で締め付けが想定されているものが「ウェット」、「ドライ」はその反対で、ネジ部や座面が清潔で乾いた状態で締め付ける事を想定されたもの。

 

「塑性域」と「弾性域」はボルトの締め付け具合によって変化するそれぞれの状態を表している。

ボルトと言うのは締め付けると僅かに伸びる、それが元に戻る領域が「弾性域」、降伏点を過ぎて元に戻らない領域が「塑性域」とされている。

ここまで書いたら興味ある人はネットで調べてね、というのが確実なのだけれど、一応続きます。(笑)

 

それぞれのメリット、デメリットはこんな感じ。

塑性域はボルトが永遠に伸び続けてしまうのが難点で再利用ができないのだが、締め付けトルクを精密に揃えるには都合が良い、エンジン関係のボルトや、ブレーキ周りなど、トルクを厳密に管理する必要がある場所に使われている。

 

弾性域は言わば一般的な利用の範疇と考えて良いと思う。厳密なトルク管理を必要としない場所はほぼ「弾性域」締め付けと考えて良いだろう。

実は、トルクレンチを使って弾性域締め付けを行っても、ネジ山や座面のほんの僅かな摩擦係数の違いによって、「同じトルクで締めつける事」は絶対に不可能なんだそうです。

トルクレンチを使ってもバラついてしまうのでは元も子もないではないか、と言われてしまっても、「その通りです」としか言えません(笑)

せいぜい、オーバートルクによる破損を避ける程度のものと思って構わないと思います、まぁこれだけでも十分大切な役割なんですけどね。

 

この塑性域、弾性域の意味が解ると、サービスマニュアル等で指定されている「再使用不可」のボルトが「何故」なのか、が想像できるでしょう。再使用してしまうと危険なボルトはケチらず、必ず新品に交換しましょう。

 

まぁ、バイクに乗るならこれくらいは常識の範疇、知っていても自慢にはならないけど、意外と知らない人も多い。

初心者ライダーさんにはちょいと小難しい内容だったかも知れませんが、ボルトナットを正しく扱わないときちんとした整備ができないので、その為に知って置いて損はない能書きだと思っていただければ、と思います。

 

うん、今回は真面目な記事を書いてしまった。