「80's Rider」へようこそ!
長女、間もなく23歳。
一応4年生大学を出まして、この春からIT関連の会社に勤めております。
そんな比較的幼少期からPCに慣れ親しむ娘ですが、今更ながらネットスラング「自炊」について聞いて来た。
自炊
一般的には自ら食事の支度をする事、飯を炊く事。
ですが、ネットの世界では別の意味で使われますね。
例えば、本をスキャナーで取り込み、電子化する。
CDやDVDなどをリッピング(データを吸い出す行為)をする。
ゲームROMなどからプログラムやデータを抽出する、等。
広義に自ら手間をかけ、著作物の類をデータ化(ファイル化)する行為になると思います。
言葉の意味は解るのだけれど、娘が訊きたいのはどうして「自炊」という字なのか?と疑問に思うらしい。
そんなのネットで調べてみれば?、とそこまでは良かったのだが、あちらこちらにある「自炊」の語源についての説明が「ちょっとおかしくね?いやいや違うよね?」てな内容のものしかヒットしない。
試しに、「自炊、語源」などで検索してみていただきたい。
多かったのが「自吸い」説、アハハハ、こじ付けも良い所だねぇ。
そして本をデータ化する行為についてのみ「炊く」って言う言葉が使われるのがどうしてなのか、本当に知らない人ばかりらしい(笑)
どうやらこの言葉の語源となる時代の話は知らない人が多いようである。
それならば14.4kbpsアナログモデム世代が教えてあげようじゃないか。(笑)
多分こいつら音響カプラも知らない世代なんだろうなぁ。
それじゃあPPP ハンドシェイクプロトコルで接続してタイムスリップしますよ~、なんてね。
今回はそんな話です。
インターネット石器時代から、書籍の電子化についてはその手の掲示板などで、様々な取り組みがなされてきた。
2ちゃんねるなどまだ産声もあげていない頃の話。
ようやく一般市民でも手が届きそうなフラットベッドスキャナーが普及しつつあった時代。
当然USB なんてありゃしません、接続はSCSIです、懐かしいですねぇ。
オタク文化の華は漫画であり、肥大化する蔵書の処理をどうするべきか、解決案の模索であった。
本をスキャンする方法は主に2つ。
スキャン対象物を破壊するか否か。
ページを分離したスキャン品質が圧倒的に有利なのは誰にでも判る。
当初より積極的にこの方法に取り組む者が多かった。
しかし、結構な手間がかかる上にやり方も人それぞれ。
ある者は定規とカッター、ある者は裁断機、そして真打ち、スライドカッター。
やがて誰かが気付く、ページ同士をまとめている接着剤、これを何とかすれば簡単且つ綺麗に本をバラせるんじゃないか?
その答えが「電子レンジ」だった。
電子レンジで本を加熱すると接着剤が溶け、少ない労力で本をバラバラにする事が可能となった訳である。
そう、当時は電子レンジで「本を炊いていた」のである。
本来、本は「炊く」ものでも「焚く」ものでもないのだから、どちらも誤用の範疇なのだけれど、電子レンジに入れる事から「炊く」が使われたのだろう。
この「本を炊く」という方法は広く知れ渡り、以後、「自炊」する人が増えたと言う訳である。
「本を炊く」=「ページを切り離す為」=「スキャンする為」で本を電子化する事を「炊く」と言うのである。
なので狭義ではこの方法を行うことが「自炊」なのであるが、語源を知らない連中がその後のCD -R、DVD-R等でコピーを製作する際のデータ吸い出し行為に対しても「炊かない」のに「自炊」と言い始めた。
まあ、著作物をデータ化するという意味では同じ行為ではあるが。
現在では広義に使われることが当たり前となってしまったのだが、「炊」の字を使うのはこういう経緯だったのである。
信じるか信じないかはあなた次第です(笑)
僕のブログを読んた人だけが知る事実。