電子署名ビジネスが注目され、弁護士ドットコムをはじめとする関連企業各社の株価が上昇しています。こうした状況になると「競争激化」「海外企業の攻勢」みたいなことが言われ始めます。
しかしながら電子署名ビジネスは、世界的に見ても立ち上がったばかり。世界シェア60%といわれるDocusignによれば、全世界でのTAM(潜在市場規模)は250億ドル、管理システムまで含めて500億ドル。しかしながらDocusignですら売上はまだ約10億ドルです。加えて日本は"周回遅れ"の状況ですw。
クラウドサインと電子署名各社との間での競争は存在するでしょうけど、限られたパイを食い合う競争ではなく、急激に拡大している市場でどれだけ自社の利用を伸ばしていくかの競争です。
企業間で潰し合いをしているヒマはありません。そもそも顧客は企業ですから、安売り合戦の効果は小さいはず。一般的な企業であれば安価よりもフォローアップ体制や情報提供の多寡、利用者コミュニティの大きさ等々が選択の基準となるでしょう。電子署名の導入で大きなコスト削減が図れるのであれば、電子署名の利用料など取るに足りません。
また、電子署名の特性としてネットワーク外部性が度々指摘されます。ネットワーク外部性とは、その利用者が増えれば増えるほど、そのサービスから得られる便益が増し、どんどん利用者が増えていくことを意味します。ただし電子署名ビジネスの場合、利用が進んでも顧客がメジャーな電子署名に乗り換えざるを得ない状況が生まれるような"1社総取り"みたいな感じにはなりにくいと考えます。
例えば自社がクラウドサインを利用していても、契約相手がDocusignで契約書を作成してくることは往々にして起こり得ますし、いちいち拒否していてはビジネスになりません。ですから、どこの会社も複数の電子署名会社利用の契約が混在する状況にならざるを得ないはず。
全く無名の電子署名を受け入れるかどうかを躊躇する企業はあるでしょうが、少なくともクラウドサイン、Docusign、Adobesign等メジャーなものを使うなら問題は生じないでしょう。
とにかくどの企業も、自社の電子署名の利用者をいかに増やすのかが喫緊の課題。クラウドサインは弁護士ドットコムの一部門であり、会社全体の営業成績をある程度意識せざるを得ない面はあるかもしれませんが、現在はクラウドサインにとって千載一遇の好機。顧客拡大が十分に図られるのであればクラウドサイン部門の損益は気にしなくて構わないと個人的には考えます。
オンライン医療関連の会社の株価が高騰しています。COVID-19をきっかけに、規制緩和も進み、今後が期待される分野であることは間違いありませんが、簡単に収益化できるようなビジネスではありません。
「オンライン医療」といっても、人によってかなりイメージするものは異なりますが、医師に専用アプリを使ってもらい、ビデオ通話で診察すればよい、みたいな単純なものではありません。ましてや医師への専用アプリを販売する会社が大きな利益を得られる、みたいな単純な話でもありません。
ところで、アメリカではオンライン医療はtelemedicine、telehealth、virtual careなどと呼ばれ、かなり以前から存在しています。2002年に設立のTeladoc Healhはその代表格で、自分も数年前から投資していますが、この会社ですらいまだに黒字化できていません。
このTeladoc Health、24時間体制でオンライン診療を行う企業で、1日2万件以上利用されてメンバーシップ会員が3670万人。取り扱う医療分野は450以上、世界中で40言語以上で展開し、登録医師数は5万人超。2020年1Qの売上は180万ドルです。これだけの規模になっても、利益は出ていません。
COVID-19で利用が急増し、来期あたりには利益が出そうですが、それでも今期、2020年の業績予想は引き続き損失の計上を想定している状況にあります。EBITDAはプラスですし、近いうちに利益が出始めるとは思いますが。(個人的には数年前からTeladocに投資しており、ここ半年ちょっとで急騰していますが、2年ぐらい前にCFOのインサイダー取引で株価が暴落した際に株式を一部売却したことを後悔していますw。)
オンライン医療は、医師が使うテレビ電話等のアプリ提供に加え、処方箋を出して薬局で医薬品を受け取る、または医薬品を宅送してもらう仕組みが必要です。また、病院、クリニック等のネットワーク化、薬局のネットワーク化も欠かせません。加えて医師、患者の双方を守るための法整備、オンライン医療を行う医師に見合った利益が生まれるようにするための仕組みづくりも必要で、厚生省等、国との連携も欠かせません。
その他、
・オンライン医療の標準化、オンライン医療全体の品質管理の仕組みづくり(医師によるクオリティのバラツキを少なくする仕組みづくり)。
・オンライン医療の実践にかかる情報提供(医師への研修機会、教材等の提供)。
・オンライン医療ノウハウを医師に提供する仕組み。実際の診療データ収集と分析。誤診リスク等、医師への情報提供。
・診療の録画の可不可等、患者のプライバシー保護の基準づくり。
等々、ざっと挙げただけでも、やらなければいけないことがたくさんありますw。
COVID-19で患者が減った医院が診察アプリを使ってオンライン医療を始める、というケースが増えていますが、そうした状況が拡大してオンライン医療が一般化するとはちょっと考えられません。現在は、アーリーアダプターが始めている段階ですね。
オンライン医療の整備は医療プラットフォームの再構築という社会的課題です。人の生死や医療事故にもつながる、デリケートな課題であり、医療プラットフォームの再構築は慎重に時間をかけて進めるべきものです。
将来的には大きなビジネス、収益につながるポテンシャルがありますが、それを担うことができるのは限られた企業でしょう。個人的には、医師や薬剤師の大半を押さえ、製薬会社を顧客とするエムスリーが中心となってすすめるべき事業だと考えます。"エムスリーの目指すもの"とも合致する事業ですしねw。ただし、収益性を無視して一私企業ですすめるの無理ですから、関係機関と連携してすすめていくことになると考えます。
現在、エムスリーはLINEとのJVであるLINEヘルスケアにより、このオンライン医療を展開すべく、準備を進めています。
■「LINE」がオンライン診療参入へ…全国の医師2000人活用を想定(2020/5/20 読売)
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20200520-OYT1T50264/
もともとエムスリーは会員が医師に質問できるサービス「AskDoctors」を展開しており、1年半ほど前に将来のオンライン診療展開を睨みLINEヘルスケアを設立、オンライン健康相談サービスを開始しましたが、COVID-19の関係でオンライン診療の将来計画がかなり前倒しにならざるをえない状況となった、ということでしょうか。
今期のエムスリーは、主力のメディカルプラットフォーム事業の増収増益が期待され、株価が上がるのは自然な流れだとは思いますが、オンライン医療が儲かると考えている人たちが、株価を持ち上げてしまっている感はありますねw。
一概に契約と言っても、様々なものがあります。厳格さが求められる、例えば企業間の大きな商取引にかかる契約から、アルバイト個々人との雇用契約のようなライトで形式的なものまで、様々です。
前者のような契約の電子契約には、契約当事者の確認(当事者であることの証明)、契約の内容や日時を担保する厳格な仕組みが必要です。当然、複雑なものにならざるを得ず、運用コストも大きくなります。いくら厳格にしても「紙の契約のほうが使い勝手が良くて割安」では、使えない仕組みになってしまいます。
さて、日本では、電子契約がなかなか普及してきませんでしたが、その理由としてハンコの文化が根強いことが、折に触れて挙げられます。日本では、2001年に電子署名及び認証業務に関する法律(以下、電子署名法)が施行され、すでに20年近く経っているにもかかわらず、ほとんど普及していません。
これは、この電子署名法に準拠した電子契約を締結しようとすると、厳格な運用が求められるため、面倒な上にコストも高いこと、またこの法律を改正せずに放置してきたことが、電子契約普及の妨げになったことは否めません。ハンコ文化が電子契約普及の足かせであったことは間違いありませんが、クラウド型電子契約の登場以前は、電子契約の敷居がかなり高かったのも事実です。
電子署名法ができたのは、クラウドサービスが登場するはるか以前。クラウドサービスに対応するための法改正がなされていないのは、大きな問題です。
2020/5/28付けの日本経済新聞に「クラウド上の契約に法的リスク ハンコ見直しの壁に」という記事が出ました。
『新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が進み、「ハンコ文化」見直しの機運が高まるなか、クラウド上で結んだ電子契約が抱える法的リスクが懸念材料として浮上している。20年前に制定された電子署名法が現在の技術を反映し切れていないとして、法的裏付けを持たせるよう改正を求める声が上がっている。』
記事中に、クラウド型電子署名は、電子署名法3条の推定効は働き得ないという弁護士のコメントがありますが、クラウド型は電子署名法ができたときに存在しなかったもの。日本を除くほとんどの国でDoccusignやAdobeSignなどのクラウド型電子署名が有効で普及が進んでいるのに、日本は電子署名法3条で縛られるからダメ、とはならないでしょうw。
実際、記事にもあるように、規制改革推進会議の会合で電子署名法の改正の要望が出ています。まぁ、旧来の電子署名法に基づく電子署名を生業としている電子契約事業者や一部の弁護士は、難癖つけてでも反対するんでしょうけどw。
弁護士ドットコム自身はもちろん、クラウド型電子契約は有効であるという立場です。海外での普及を鑑みれば早晩、法改正が行われることになるでしょうね。
ところで、比較的ライトな電子契約に求められるのは簡便さです。法律上の問題がなければ、前者のような高度な厳格さは不要です。世の中の大半を占めるのは上述したようなライトな契約。企業間の大きな商取引や設備投資にかかるような重要な契約はごく少数です。アルバイトの雇用契約とか注文請書、軽作業の業務委託契約等々、世の中の99.99%以上の契約は、ほとんどがこうしたライトなもの。本人が契約したかどうかが法的な争いにまで発展するような可能性はほとんどない、と考えて問題ありません。
今のところ、クラウドサインでの契約はこうしたライトなものがほとんどで当面、そうした契約の電子契約化だけでもクラウドサインは十分にビジネスが成り立つはずですから、問題なし。たとえ重要な契約が商習慣上、しばらく紙の形式で残ることになっても、クラウドサインのビジネスにほとんど影響はないでしょう。
大きな会社になればなるほど、法務部門は保守的ですから、電子契約に慎重になるのは仕方ないところです。しかしながら、ライトな契約での電子契約が普及し、近い将来、電子署名法の改正も行われ、海外との取引で電子契約が通常に行われるようになれば、重要な契約についてもクラウド型電子契約が急速に普及することになるでしょう。
ただ、そうした重要な契約もライトな契約も、クラウドサインとしてはひとつの契約に過ぎません。重要な契約だろうがライトな契約だろうが、1つの契約。印紙税のように契約上に記された金額で、使用料金が上がるわけではないから、弁護士ドットコムの収益への貢献度は変わらないはず。であるならば、重要な契約をクラウド型電子契約で行うことができるような法整備等に特段、弁護士ドットコムがこだわる必要性は薄いようにも思います。
2020年3月期の決算発表ではCOVID-19の事業環境への影響について、合理的に算定することが困難であるとの理由で、2021年3月期の連結業績予想は開示されませんでした。
2020年3月期の会社説明資料資料を見ると、COVID-19によるプラス面、マイナス面が記載されていますが、中長期的にはプラス面が大きそうであることがわかります。COVID-19の関係でオンライン医療まわりばかりが注目されているような印象がありますが、損益面で最も大きな恩恵を受けるのは、MR君等の含まれる「メディカルプラットフォーム事業」です。
ちなみにオンライン医療は、簡単に利益が出せるようなビジネスではありません。(近いうちに別のエントリで説明します)
2020年3月期決算のエントリでも触れましたが、今回の会社説明資料では「医師の医療情報時間 vs.営業コスト配分」「メディカルプラットフォームの成長ポテンシャル」のページが省略されています。この2つのページは、以前からエムスリーの決算説明資料で繰り返し登場しているものです。
*2020-3Q決算説明資料 P7,P8参照
https://corporate.m3.com/ir/release/2019/pdf/012820_02_J.pdf
「医師の医療情報時間 vs.営業コスト配分」では、製薬企業全体のMR関連費用は営業コストの91%を占める1兆5000億円である一方、インターネット関連はわずか2%の400億円と説明されています。つまり、エムスリーの「MR君」のようなインターネット広告等の営業経費は、製薬会社の営業社員(MR)に使う人件費等の経費や、セミナー開催などに使うお金の、わずか3%未満に過ぎなかった、ということです。
今回の決算説明資料では、COVID-19にかかる情報提供でm3.comへのサイトアクセスが増大していることが示されています。今回のCOVID-19騒動で、製薬会社のMRはこれまでのように病院に訪問することが制限されています。緊急事態宣言が解除されても、以前のようにMRが病院を頻繁に訪れることはなくなると考える、MRの人たちも多いみたいです。
今後、製薬企業のm3.com利用は今後、急加速していくと思われますが、製薬会社のMR関連費用1兆5000億円のうち、わずか1割がインターネットに振られるかたちになっただけでも、エムスリーには大きな追い風です。
エムスリーは前々期の2019年3月期にメディカルプラットフォーム事業の再編を行い、利益が出やすいビジネスとなっています。この際、一時的に成長が鈍化して利益率が低下、株価も低迷しましたが、収益が出しやすい体質に変わり、2020年3月期には収益が大きく改善、再編を断行した結果が出しています。
このメディカルプラットフォーム事業で大きな売上が期待できる状況が生じたということですから、利益の伸びも期待できそうです。
これも前回のエントリで触れましたが、今回の決算説明資料では「メディカルプラットフォームの成長ポテンシャル」のページも省略されていました。
利用企業数と利用企業あたりの売上から、メディカルプラットフォーム事業の成長ポテンシャルを4~5倍と考えているという資料です。利用企業あたりの売上を2~3倍(5億円→10~15億円)としていました。
たまたま、COVID-19の影響の説明が多かったから省略しただけなのかもしれませんが、これまで4~5倍としていた成長ポテンシャルが、今回の騒動がきっかけで、更に大きな倍率となる可能性が高まったことから、今回の会社説明資料から敢えてこの資料を外した、と考えるのは穿ち過ぎでしょうかw?
2020年3月期の営業利益は、COVID-19によるインパクト△12億円を吸収して343億円、対前年比+11%。今回はCOVID-19の影響が算定困難との理由から業績予想の発表はなし。
■2020年3月期決算短信
https://corporate.m3.com/ir/library/financial-statements/pdf/20200515_tanshin_01.pdf
■2020年3月期決算発表資料
https://corporate.m3.com/ir/library/presentation/pdf/20200515_presentation%20.pdf
今回の決算説明資料は従前のそれとは異なり、COVID-19の事業への影響を中心に詳しく説明しています。COVID-19の事業への影響はプラス面、マイナス面がありますが、全体的には強い追い風となっていることが確認できました。
最も大きいプラス面の影響は、MR君等が含まれるメディカルプラットフォーム事業の拡大。COVID-19を契機として、製薬会社のマーケティングは、デジタルシフトが急拡大してきているようです。決算説明資料P15によれば、医師の7割超がインターネット補完による、MR訪問の抑制を望んでいるとのこと。これは2020/2/28の調査ですが、2020/3/31のミクスONLINEに、以下のような記事があります。(MR=製薬会社の営業担当者)
■MRの病医院への訪問回数 平時の約12分の1 医師の5割超、ネット経由の情報を評価
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=69032
COVID-19流行後、医師への1ヶ月あたりのMR訪問回数が、延べ20.6回から1.8回に激減、また27%の病院が完全面会禁止とのこと。これは3月末時点ですから、今(5月半ば)はさらに厳しい状況となっているでしょうね。
「e」つまり、インターネットを利用した情報提供の比率が急速に高まっているとのことですが、エムスリーも予測しているように、COVID-19騒動が収束に向かっても「e」重視の傾向は続くでしょう。以下の2020/4/23のAnswers Newsの記事でも、MR自身が同様に感じていることがわかります。
■働き方変わる?「新型コロナウイルスで訪問自粛」MRの本音【匿名座談会】
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/18241/
これまでの決算説明資料にあって今回省略されていたページ「医師の医療情報時間 vs.営業コスト配分」によると、製薬企業全体のMR関連費用は営業コストの91%を占める1兆5000億円。一方、インターネット関連はわずか2%の400億円。
これは、製薬会社の営業スタンスが少しだけインターネットの比率を上げただけでも、エムスリーのような企業が大きな恩恵を享受できる、ということ。実際、エムスリーはこれまで、そうしたデジタルシフトの流れに乗って成長してきたわけですが、今回のCOVID-19騒動でそうした流れを大きく加速させそうですね。
今回の決算説明資料では「メディカルプラットフォームの成長ポテンシャル」のページも省略されていました。利用企業数と利用企業あたりの売上から、メディカルプラットフォーム事業の成長ポテンシャルを4~5倍と考えているという資料です。利用企業あたりの売上を2~3倍(5億円→10~15億円)としていましたが、今回の騒動がきっかけで、更に大きな倍率となってきているのかもしれません。
*2020-3Q決算説明資料 P7,P8参照
https://corporate.m3.com/ir/release/2019/pdf/012820_02_J.pdf
昨日、エムスリーから以下のプレスリリースがありました。
LINEヘルスケア:2月のオンライン健康相談件数が前月比40倍、友だち数400万人超に
~新型コロナウイルスに関する質問が、相談件数の半数以上~
https://corporate.m3.com/press_release/2020/20200305_001552.html
LINEヘルスケア、やはり新型コロナウィルス関連の質問が多かったようです。
これはあくまでも「オンライン健康相談」であって「オンライン診療(telemedicine、telehealth、vertual care)」ではありません。診察してもらうことはできませんし、処方箋を出してもらうこともできません。
先日のエントリにも書いたとおり、日本ではオンライン診療は厳しく制限されています。
■オンライン診療について【エムスリー】(2020/2/27)
https://ameblo.jp/2sc372/entry-12578109903.html
さて、アメリカでは3/4、新型コロナウイルス対策の追加予算が83億ドルが可決しました。ワクチン開発支援や医療機関支援、中小企業の融資補助など幅広い対策が図られましたが、その中でオンライン診療(telemedicine)の利用促進に5億ドルの予算がついています。
このトピックにより、オンライン診療の最大手であるTeladoc Health(TDOC)は昨日(3/5)、NYSEで+7.77%と大幅な逆行高となりましたが、アメリカは新型コロナウィルス対策として、オンライン診療(telemedicine)の積極的な利用を勧める方向のようです。
新型コロナウィルスの特徴は、①感染力が高い、②重症化しにくい、③治療薬はない(対症療法のみ)です。
基本的に、
「風邪っぽい症状があったら、外出せず、家族との接触もできるだけ避けて、暖かくして栄養のあるものを取って十分休養する。万が一、症状が収まらずひどくなったら保健所等に相談する。」
というのが有効な対処法。
お医者さんに気軽に相談できるオンライン診療は、新型コロナウィルス対策として理に適っています。
患者がそれっぽい症状だった場合、重症でなければ「家で安静にしてなさい」というだけでしょうけど、患者の不安を軽減することはできます。また、オンライン診療であれば、症状が大したことないのに不安から病院に行き、待合室で感染してしまうリスクもなくなりますし、新型コロナウィルスを疑う人たちで病院が混雑し、他の重篤な患者の治療の妨げとなるような状況の発生も防げます。
病院に人が殺到して医療崩壊を起こした中国や、精度の低いPCR検査を無闇やたらに行い、病院がパンクした韓国を、アメリカはしっかり研究している印象です。
日本ではオンライン診療は規制されているため、LINEヘルスケアはオンライン健康診断というかたちにならざるを得ませんが、日本でもオンライン診療が充実していれば、アメリカと同様の戦略が取れたはず。今回の騒動で今後、日本でもオンライン診療の規制緩和の議論が進むのではないでしょうか。
「オンライン診療には誤診リスクがある」とか「日本ではオンライン診療は不要」とか言われていましたが、新型コロナウィルスのように感染力が強く(感染力はインフル程度っぽいけど未知な)、対症療法しかない疾病の流行の抑制には、オンライン診療が非常に有効なように感じます。
新型コロナウィルスの関係で、俄にオンライン診療が注目されています。
オンライン診療とは、病院に行くことなくインターネット等を使ってお医者さんに診てもらう診療のかたちですが、日本では一部の診療を除き、未だにほとんど認められていません。
オンライン診療は、以下の記事にあるように様々なメリットがあるにもかかわらず、事実上禁止されている状況は、将来的には改善されるべき問題です。
■新型コロナ感染が広がってるのに、オンライン診療が事実上禁止の謎(2020/2/25、アゴラ)
http://agora-web.jp/archives/2044469.html
オンライン診療であれば、病院に行って別の病気を移されるリスクはないですし、例えば偏頭痛の人が薬をもらうためだけに病院に行くことは不要になります(オンラインで診察して処方箋を出して貰えばOK)。また、体調がなんとなく悪いのに仕事が忙しくて病院に行けない人が夜遅くにオンラインで医者に診てもらうことも可能になるし、「ストレスで眠れない」みたいな人でも気軽に医師に相談できるようになります。病気は重篤になってしまうと医療にかかる費用が非常に嵩みますが、早期受診が広がれば社会的な医療コストの低減にもつながるといわれています。高額の医療費が健康保険でカバーできるとしても、結局は保険料の高騰につながるわけで、社会的コストを下げていく取り組みは必要です。
アメリカでオンライン診療は、telemedicine、telehealthなど呼ばれ普及段階に入っている状況です。
その代表的企業がTeladoc Healthという会社で24時間、365日、いつでも診療が受けられます。TeladocはNYSEに上場(TDOC)しており、自分の投資先のひとつですが、Teladocは高成長企業として注目されています(事業拡大フェーズにあり、現在は赤字の企業)。
日本では「オンライン診療には誤診のリスクがある」などとして、オンライン診療を懸念する向きもあります。診療の精度、深度という点では病院での対面診療が良いのは論を俟たないとは思いますが、病院に行かずに済むオンライン診療の手軽さや病院での感染リスクを鑑みれば、オンライン診療は一概に否定されるべきではありません。診療というのは診察行為の精度だけで評価すべきものではないはず。現在のオンライン診療の否定、規制には何か、政治的な臭いもしますね。
現にTeladocのような企業が存在しており、誤診など重大なトラブルはほとんどなく運営可能であることは証明されています。オンライン診療にあたった医師が必要と判断すれば、患者に最寄りの病院を紹介します。また、個々の医師の診療クオリティについては、Teladocでしっかり管理しています。
オンライン診療は理屈の上ではネットさえあれば、誰でも始められそうですが、各種規制の緩和に加えて、対応する医師の確保と診療行為の品質管理、対面診療が必要と判断した場合に紹介する病院との連携体制、処方箋を送付する薬局の提携、薬の配送体制の確立など、いろいろな仕掛けが必要となり、安直に一朝一夕で始められるようなビジネスではなさそうです。
ただ今回のような騒動への対処として、オンライン診療は社会インフラとして必要なものであり、中長期的には構築がマスト。今回の新型コロナウィルスと同様な騒動が将来的にも起こりうることを考えれば、国土強靭化の一環としても必須です。
こうしたオンライン診療を日本で誰ができるのかを考えた場合、広範な医師や薬剤師のネットワークを抱え、すでにオンライン医療相談であるAskDoctorsやLINEヘルスケアを運営するエムスリー以外には難しいと思われます。無論、Teladocのような仕組みをすぐに作ることは無理でしょうけど、規制緩和を段階的に行うことで、AskDoctorsの仕組みをオンライン診療的なかたちに近づけていくことは可能ではないでしょうか?
ちなみにソフトバンクは中国でオンライン診療を展開する平安健康医療(平安好医生、平安グッドドクター)にビジョンファンドで投資しており、確か以前、日本でも展開するみたいなことを言っていましたが、そんなに簡単ではないでしょう。平安グッドドクターは規模はバカでかいんですが、診療の品質管理とかいったことを考えると、日本にそのまま持ち込めるかは甚だ疑問です。中国の医療体制、特にプライマリケアは日本に比べて遅れているので、多少いい加減な仕組みでも「ないよりはマシ」みたいな側面もあるような状況ではないでしょうか?偏見かもしれませんがw。もっとも政商?の孫正義が、国に規制緩和を働きかけてくれれば、それはそれでありがたいんですがw。
日本でも遅かれ早かれ、オンライン診療の本格的な導入に向けた議論が始まるのでは、と考えます。
西山ファームのクレカ決済トラブルで、引っかかった200人が集団訴訟を起こすとのニュースがありました。
この件については2019年6月にもエントリを書きましたが、要するに、個人にクレカ決済によりいったん化粧品等を購入させた後、広告代金数%を上乗せした額で買取業者に売却することで儲かることに加えてクレカのポイントも稼げる、というような謳い文句で"個人投資家"を集めたものの、買取代金等の入金が滞り、クレカの支払いが不可能となったという、ある種の詐欺的な事件ですが、GMO-PGが決済代行事業者としてこのクレカ決済の部分で絡んでいたようです。
投資家から30億円を集めて破産したけど、西山ファームには投資家への返済能力がない状況。弁護団はGMO-PGに賠償責任を求める方針のようですが、結論から言うと、個人的にはかなりの無理筋の話のような印象を受けます。
被害者の会のHPではGMO-PGへの公開質問状を見ることができるので、ざっと目を通しましたが、西山ファーム側の事件の主謀者であるY氏の(GMO-PGに責任があるという)供述に一定の合理性があるとしてGMO-PGに責任があるとしています。"盗っ人猛々しい"といった感じです。
また、公開質問状には以下の件があります。
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Y氏は『(GMO-PGは)うち絡みで去年だけで100億以上あるはずなんですよ、100億って西日本で多分、一番多いと思うんです』と殊更に述べていますが、これはA氏、B氏が本件に関わる理由、つまり動機付けを示す発言ともとれます。
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要はGMO-PGにとって西山ファームは大きな取引先であり、GMO-PGはこの取引を続けて利益を出したいから、西山ファームに知恵をつけてこのスキームを作った、みたいなことが言いたいんだと思います。
しかしながら、西山ファームの決済額が"100億以上"で西日本で一番多いわけがありませんw。ここで言う「100億以上」は決済額(取扱額)であって、売上高ではないでしょう。
GMO-PGは日本有数の決済代行事業者であり、年間の決済額は4兆円ぐらいありますから、そのうちの100億円なんて取るに足らない規模。Y氏は、GMO-PGの売上高が200~300億円ぐらいだったことをどこかで知って、そんな風に主張した(話を組み立てようとした)のかもしれません。公開質問状を作った弁護士が決済額と売上高の違いを知らないわけがなく、本人の主張を敢えてそのまま公開質問状に載せることで、これを見た第三者への印象操作をしたようにも見て取れます。
このようにGMO-PGの西山ファームとのビジネスのボリュームは大きなものではなく、GMO-PGが詐欺まがいの仕組みを提供するというリスクを犯すとは、ちょっと考えられません。
ところで、GMO-PGは年間4兆円規模の決済を行う日本有数の決済会社ですが、以前から「決済代行ビジネスの対象として、公序良俗に反するような企業と取引を行わない」と株主総会などで何度も説明しています。
「オンラインカジノやアダルト・風俗系など、いかがわしい会社の決済を取り扱えば利益は増えるだろうが、会社の信用にはマイナス。税金やユティリティなどの公共ビジネスを受託していくためには、健全なビジネスを続けていることが肝要」みたいなことを、社長の相浦さんは折に触れて話してきました。
GMO-PGが決済代行事業者として西山ファームのビジネスに関わっていたのは事実のようです。GMO-PGは取引先のビジネスが拡大すれば決済金額を増やすことに繋がることから、取引先の事業サポートをしばしば行うようですが、だからといって、西山ファームと結託して詐欺(まがい?)のビジネスに手を出すというのは、ちょっと考えられません。本件については、GMO-PGは決済代行業者として巻き込まれただけなのでは、と個人的には思います。
お金がありそうなGMO-PGが相手なら、勝訴できれば(あるいは示談に持ち込めれば)被害者の損害を補填できるというような弁護団の算段かもしれませんが。
「被害者が可愛そう」という印象が持たれるような朝日新聞の記事が出ていますが、これは弁護士の主張。お金を無くした人たちからすれば、藁にもすがる思いで「取れそうなところに圧力をかけてお金を払わせる」と考えるのかもしれませんが、新聞が一方的な主張にのっかり支援するのはいかがなものかと思います。"自称弱者"の人たちのなかには、本当に騙された気の毒な人たちもいるのかもしれませんが、多くは怪しいスキームに乗っかって一攫千金を狙った人たちでしょうしね。
以下、本件について2019年6月に書いたエントリです。
□西山ファームの件【GMO-PG】(2019/6/27)
https://ameblo.jp/2sc372/entry-12486725044.html
弁護士ドットコムは、潜在市場規模が巨大な電子契約事業「クラウドサイン」の今後の黒字化、急成長への期待により、株価が大きく上昇してきました。
クラウドサインは日本の電子契約市場においてシェア80%と言われているものの、現在は事業拡大フェーズであり、まだ利益は出していません。弁護士ドットコムの現在の利益は、クラウドサイン以外の事業が生み出したものです(クラウドサインは赤字ですから会社の利益の足を引っ張っている存在です)。
ところで「弁護士ドットコムの株価はPERが300倍超で高すぎる」という意見があります。
PERは株価÷EPS(一株あたり利益)で算定しますが、分子の株価がクラウドサインへの期待を反映した価格であるにもかかわらず、分母のEPSはクラウドサイン以外の事業によるものとなっています。
これは弁護士ドットコムは、上述の計算式で単純計算したPERは「本質的には」あまり意味がないということです。そもそも成長企業の場合、PER自体にあまり意味がないんですが、PERが300倍であることを以て、弁護士ドットコムを「割高」「買われすぎ」と決めつけるのは、ちょっと拙速な感じです。
ちなみにアメリカの電子契約大手Docusignの直近EPS(TTMベース)は△$1.31とマイナスですが、2/11の終値は$85.33で、最高値を更新中。先月時点では売り推奨しているアナリストはいませんでした(BUY:10人、HOLD:4人、SELL:0人)。これはDocusignの株主、アナリストがPER以外で会社を評価していることの証左。この会社、時価総額は1.7兆円近くもあります。
弁護士ドットコムがクラウドサイン単独事業の会社だとすれば、Docusign同様にEPSはマイナス。PERは算出できませんから、PER基準で割高とか言う人たちもいなかったでしょう。
以上、現在の株価が割高か割安かはだれにもわかりませんが、高成長株をPERで判断すべきではない、というお話でした。
これは中長期スタンス投資の話ですので悪しからず。PER至上主義の大勢の人たちが短期売買する状況なら、美人投票である株価形成では短期的に「割高説」が株価に反映されますから。
自分の投資判断基準に弁護士ドットコムを照らし合わせてみました。
1.成長市場でビジネスを展開していること。
弁護士ドットコムは、メディア事業、弁護士・税理士のサポート事業、電子契約サービス事業(クラウドサイン) 等を行っています。いずれも将来性のある事業ですが、特に電子契約サービス事業は今後の急成長が期待されています。電子契約サービスは日本では未発達の分野。電子契約は日本では以前から存在していますが、煩瑣な手続きが必要で実用的ではありませんでした。手続きが簡単で使いやすいクラウドサインが登場し、業務の効率化の観点から、紙とハンコの契約を見直す機運が高まっており、利用が急増してきたところです。
2.業界のリーディングカンパニーであり、展開している市場と同等以上の伸び率で成長を継続していること。
メディア事業、弁護士・税理士のサポートはほとんど、競合他社が存在しない状況です。また、クラウドサインはクラウド型電子契約サービスのシェアが80%で圧倒的。急成長するビジネス領域ですが、市場を席巻している状況ですから、その成長率は市場の成長率とほぼ同等と推察されます。
3.新規参入が困難、または新規参入が容易であっても簡単に追いつけないこと。
弁護士・税理士の大半が登録しており、他に同様な事業を行う企業もないこと、またさほど潜在的なマーケット規模が大きくないことを考えれば、メディア事業、弁護士・税理士のサポートビジネスは新規参入の可能性は高くなさそう。
電子契約サービスは急成長しているビジネスなので、今後、新規参入が相次ぐ可能性はあります。ただクラウドサインの現在のシェアは80%と圧倒的ですし、電子契約にはネットワーク外部性があり、利用者が増えるほど利便性が高まります。また電子契約のビジネス領域は、世界的にはデジタルトランスフォーメーションの流れが始まる以前から導入が進んでいるものの、日本ではようやく動きし始めたところ。電子契約は、複雑かつデリケートな契約から単純で形式的な約束的なものまで、多技にわたりる、非常に大きな市場であり、市場が飽和状態となることには当面、心配無用でしょう。
ちなみに同業のDocusignによれば、世界全体で電子契約の潜在市場価値(TAM)は250億ドル、契約にかかる前後の業務システムまで含めればTAMはその2倍、500億ドルと予想しています。
4.継続的な成長のために、海外展開や新規分野に積極的に先行投資をしていること。
クラウドサイン事業自体が新規分野的な存在であり、事業規模拡大のフェーズ。当面の収益は考えず、しばらくは積極的な先行投資を続けていくと思われます。
また弁護士ドットコムは、法務まわりのサービスを提供するテクノロジー、いわゆる"リーガルテック"分野のスタートアップ企業に投資を行っています。2019年7月、契約書の作成を支援するツール「LAWGUE」を開発した日本法務システム研究所、登記書類の作成を支援する「LegalScript」を開発したサンプルテキストにそれぞれ数千万円規模の投資を行っています。
5.ビジネスの内容や業界動向をある程度、理解できること。
弁護士ドットコムの行う事業内容はどれも、難解なものではありません。ただし、クラウドサインについてはどの程度の規模になると利益が出ると見込んでいるのかについては不透明です。
Docusignは、売上が1000億円近くになってようやく、利益が出始めている状況。もっともDocusignの場合これまで、利益度外視で世界規模の拡大戦略を取ってきているし、契約まわりのシステムも含めてエンタープライズ企業に提供するようなビジネスを展開しているので、今のところクラウドサインとちょっとビジネスの内容が違いますが。
弁護士ドットコムは、大きく2つの事業があります。1つはメディア事業及び弁護士・税理士のサポート事業、もう一つは電子契約事業(クラウドサイン事業)です。今のところ両者ともに成長しているビジネスであり、弁護士ドットコムは、自分の投資判断基準に適合していると考えています。
しかしながら、投資については留意すべき点、懸念する点が全くないというわけではありません。こうした留意点については別途。