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投資は自己責任で

〜 中長期保有前提で成長株中心の”ゆるい投資”を行っています。
  目先の株価を予測したり占ったりすることには、興味がありません。

ゆうちょ銀行でトラブルが相次いでいます。
ドコモ口座やペイペイ、LINE Payなど、ゆうちょ銀行の貯金口座と繋げ(他社連携)、口座から貯金を引き出す仕組みが狙われた不正引き出しが問題となっていましたが、今度は、ゆうrと銀行のデビット・プリペイドカード、mijicaの送金機能が悪用された不正が発覚しました。

GMO-PGは、ゆうちょ銀行に「ゆうちょペイ」を提供しています。これはGMO-PGが開発した「銀行pay」というシステムで、横浜銀行や広島銀行、三井住友銀行など計10行が導入しています(2020/9/24現在、導入予定を含む)

ゆうちょペイは、自分の貯金口座から直接、支払いを行う仕組みです。つまり、今回の不正で問題となっている他社連携は行いません。
自分の口座とインストールしたアプリを直結させる際、ゆうちょ銀行は口座開設時に登録された電話番号に電話をかけて暗証番号を通知して本人確認を行うとのこと。本人確認が甘い他社連携の仕組みと異なり、安全性は高いはず。
(まぁニセの電話番号の変更届けを出しておいて実行するとか、家に侵入して本人確認の電話を待って出るとか、可能性としてはないわけじゃないけど、かなりハードルは高くなるということです)
以下のエントリに書きました。
■銀行payとバンクペイは仕組みが異なるサービス【GMO-PG】
https://ameblo.jp/2sc372/entry-12625270146.html

次にmijicaの不正ですが、このmijicaのシステム開発・運営は、クレディセゾンが受託しているようです。以下、クレディセゾンの2019/1/25付プレスリリース。
■デビットチャージ機能など新機能が追加 新しい「mijica(ミヂカ)」に「永久不滅ポイント」プログラムを提供 ~カード運営業務を受託し顧客サービス拡充をサポート~
https://corporate.saisoncard.co.jp/wr_html/news_data/avmqks000000ar2y-att/20190125_release.pdf
問題となっている送金機能「おくってmijica」が、クレディセゾンの提供するサービスかどうかは不明ですが、ともかくこちらもGMO-PGは絡んでなさそうですね。
 

ということで、今のところ今回のゆうちょ銀行等の不正問題には、GMO-PGは関係していなさそうです。


どれだけ対策をとっても、手の込んだ不正の発生可能性をゼロにすることは困難。ただ、不正を行う側が費用対効果で考えて見合わないと思えるレベルの防御がされていれば、今回のような不正は起きないはずですから、そうしたレベルのセキュリティは必須です。

今回の不正を見て思うのは、お金を扱う専門家であるはずの金融機関が、ネットの不正に対してかなり鈍感だったということ。
ゆうちょ銀行だって、自社で行うゆうちょペイで電話をかけて本人確認していたわけだから、ドコモ口座やペイペイで本人確認していないことを疑問に思わなかったのかな?というのは不可解な点。口座振替の部分はNTTデータが作ったみたいだけど、こうした大手システム会社だって、本人確認が甘ければセキュリティが脆弱になるのは、少なくとも担当レベルならわかっていたはずです。

 

それでもこのような仕組みとなったのは、システム会社がセキュリティ面が甘くなっていることをしっかり指摘できていなかったか、セキュリティを軽視というか無頓着でシェア拡大しか眼中にない金融機関の担当に押し切られてしまった、ということかな?金融機関とシステム会社の関係性を考えると、後者みたいなことも起きそうな感じがするのは偏見なんでしょうかw。金融機関に限らず、システム会社に無理強いする人たちは、将来トラブったらシステム会社のせいにすればなんとかなる、ぐらいの意識の人が多いですからね。

 

ところで今回の不正支出問題についてゆうちょ銀行は、ゆうちょペイについてほとんど言及していません。上述のように、今回の問題の温床となった他社連携とは関係ないからなのかもしれませんが、どちらもスマホ決済なので、ゆうちょペイも危ないのでは?と誤解している人もいるようです。

ゆうちょペイについてもなんらかの説明は必要なのかもしれませんが、将来的にゆうちょペイに問題が出る可能性がゼロではない以上、今の時点でゆうちょペイの安全性をアピールすることは困難なのかもしれません。

ただ、GMO-PGはこれまで、不具合や問題が生じると速やかに公表してきています。今回、GMO-PG側からは銀行pay、ゆうちょペイについて何も発表しておらず、そうした点からも、今のところ問題ないと考えても良さそうです。
このままゆうちょペイに問題なければ、GMO-PGの銀行payの不正に対する高い堅牢性が証明されるんですが..。

ドコモ口座による不正引き出しを受けて、同様の仕組みであるバンクペイの新規登録停止の報道が出ていますが、バンクペイとGMO-PGがシステム基盤を提供している銀行payはまったく仕組みが異なるサービスです。
銀行payとバンクペイ、名前が似ているしどちらもQRコード決済ができるので混同している人も多いみたいです。ケータイWatchというニュースサイトでも「ゆうちょペイが連携する決済サービス」という誤った記載がありました。
ちょっと整理しておきます。

GMO-PGは「銀行pay」というサービスを提供しています。これは銀行のOEMサービスで、自行に預金口座を開設している顧客が、自分の預金口座からスマホアプリでQRコードで即時引き落としをできるようにするものです。
銀行payはゆうちょ銀行や横浜銀行など十行程度に採用され、ゆうちょ銀行は「ゆうちょpay」、横浜銀行は「はまpay」という名称でサービス提供しています。
繰り返しになりますが銀行payは、あくまでも自行に預金口座を開設している顧客向けのもので、直接、自分の銀行口座から引き落として支払うサービスです。本人名義の預金口座しか利用できません。

一方「バンクペイ」は、日本電子決済推進機構が提供するスマートフォンアプリを使ったQRコード決済サービスです。
まず、バンクペイに利用登録をしてから、バンクペイが使える銀行の銀行口座を指定して連携することで入金、バンクペイでの支払いに充てます。バンクペイ側の利用登録時の本人確認、バンクペイとの連携時の銀行サイドの本人確認が曖昧で、ドコモ口座と同じような仕組みです。(銀行が自身の預金口座と他社サービスをつなげるので「他社連携サービス」と呼ばれます)

つまり、バンクペイも本人確認なしで利用登録が可能なため、適当な名前で利用登録をして、バンクペイが使える銀行の他人の預金口座につなげることができれば、ドコモ口座の不正と同じようなことができてしまうわけです。

こうした不正は、ドコモ口座やバンクペイに限ったことではなく、本人確認が曖昧な他社連携サービスと、それに連携できる銀行すべてで発生する可能性がる問題。金融庁が、決済事業者と金融機関に対して、本人確認が不十分なら入金停止するように要請したのはこのためです。

ゆうちょ銀行で被害が出て、しかもバンクペイにも同様の問題があるという報道が出たため、GMO-PGの提供する銀行pay(ゆうちょpay)にも問題があるかのように誤解している人たちもいるようですが、被害にあったのはゆうちょpayではなく、ゆうちょ銀行の預金口座(正確には通常貯金口座ですが)です。ドコモ口座やバンクペイなどの他社連携サービスの問題で、ゆうちょpayとは関係ありません。
上述のとおり、GMO-PGの提供する銀行payは自行に預金口座を持つ人向けのサービスで他社連携はなく、ドコモ口座やバンクペイのような不正は起こりえません。

さて、ゆうちょ銀行と他社連携しているのは、以下の12社です。
「ドコモ口座」(ドコモ)
「支払秘書」(ウェルネット)
「Kyash」(Kyash)
「PayB」(ビリングシステム)
「FamiPay」(ファミマデジタルワン)
「pring」(pring)
「PayPay」(PayPay)
「PayPal」(PayPal)
「メルペイ」(メルペイ)
「ゆめか」(ゆめカード)
「LINE Pay」(LINE Pay)
「楽天Edy」(楽天Edy)
当然ですが、銀行payの名前はありませんね。(バンクペイもないですw)
Kyash、PAYPAYで不正が判明しましたが、その他2社の合わせて5社で不正引き出しが確認されたとのことです。

ちなみに、銀行payのアプリ登録時に本人になりすまして登録すれば、同様の不正が働けるようにもえますが、銀行payでは、アプリに銀行口座を紐付けるときに、銀行口座開設時に登録した電話番号の入力が必要です。ゆうちょpayの利用方法のページによれば、その電話に電話がかかってきて5桁の確認コードをもらい、それを入力することで利用可能となるようです。
 

クラウドサイン=立会人型電子署名サービス と思われがちですが、クラウドサインは電子署名サービスを中核に据えた、契約管理(契約マネジメント)のサービスです。電子署名は、契約案の作成~契約締結~保管・管理という、契約の一連の流れの中におけるひとつの業務に過ぎません。

クラウドサインは電子署名サービスとしてのシェアが高く、そのことは契約関連ビジネスを展開するうえで重要なことは間違いないんだけど、電子署名自体はさほど参入障壁が高いビジネスではありません。実際、すでに多くの企業が参入してきています。
電子署名のように参入障壁が低く差別化が難しいビジネス単独で、利益をあげる仕組みを作りあげることは非常に難しいと思います。

電子署名は自社のシェアを伸ばしても"1社総取り状態"を狙えるような特性のサービスではありません。無料キャンペーンとかで自社の電子署名サービスの利用件数を無闇に増やすだけでは、将来の大きな利益につながりません。競争激化からの低価格競争が起きるし、無料サービスを拡大すれば中小企業の利用ばかり増えて利益にちっともつながらない、というのはよくあるパターンw。
先日、クラウドサインを採用する企業が10万社を突破したとのニュースがありました。現時点では多くの顧客を掴むことは重要ですが、今後は大企業の顧客をどれだけ獲得できるか、また電子署名だけではなく電子署名まわりのサービスをどれだけ提供できるかが、ポイントになるでしょう。

弁護士ドットコムは、電子署名サービスだけのビジネスが困難であることを重々承知していて、単に電子署名の利用を増やすだけの戦略は採っていません。契約行為全般の効率化と管理をサポートする、契約マネジメントのサービスの提供へと移行していくはずです。日本ではまだ、電子署名を増やすフェーズで、"○○社、電子署名導入"みたいな話題が目立ちますが、近いうちに電子署名で締結した契約の管理に焦点が移ってくるでしょう。アメリカの最大手Docusignは、少し前から、契約業務全般を管理するCLM(Contract Lifecycle Management)のシステム「Docusign Agreement Cloud」に注力しています。しね。

先日、"次世代型契約マネジメントシステム「クラウドサイン AI」を提供開始"とプレスリリースがありましたが、クラウドサインAIは「電子署名システム」ではなく「次世代型契約マネジメントシステム」を標榜しています。
クラウドサインAIは個々の契約から相手先や契約金額等を自動抽出して管理するシステム。クラウドサインによる電子署名がついた電子ファイルではなくても、またPDF化した紙ベースの契約書でも使えるもので、契約業務の効率化のための仕組みです。クラウドサインは、企業が既に導入しているSalesforceのようなビジネスソフトの多くと連携して使えるので、導入の敷居があまり高くないことも特長です。
ちなみにDocusignも契約業務にAIを積極的に活用していく方針で、昨冬にAIによる文書解析の企業(Seal Software)を約200億円で買収しています。

クラウドサインもDocusignも、AIを活用した契約業務の効率化等を目指していますが、日本語で作成された契約の解析や管理となれば、クラウドサインに一日の長があるのは明らか。DocusignのAIは英文契約の管理に資するものと思われますが、これを日本語の契約向けに作り変えるとなるとかなり困難でしょう。契約等の文章の内容の自動解析は非常に難しい分野であり、他の言語で作られた解析システムを移植することは容易じゃないでしょう。言語の構造も違うし、契約書の書き方、構成も国によってまるで違いますから。

シェア6割と言われるDocusignは直近の2020.1期の売上が約1000億円。一方、日本の電子契約の市場規模はまだ、せいぜい数十億円程度。アメリカでもコロナ禍を期に電子契約のビジネスが急拡大している状況にあります。

Docusignは日本の事業に力を入れていくと言っていますが、本音ベースでは、日本での事業強化のために、上述したような日本語の契約書を解析するAIを開発するみたいなことをやる余裕、ニーズはあまりないんじゃないかな?日本市場はパイが急拡大しているし、Docusignは海外との取引が多い企業からの引き合いも大きそうだから、現状のままでも当面、日本で急成長できそうですしね。

(8月のエントリを加筆修正しました)

エムスリーは海外事業も大きく伸ばしています。
2021年3月期1Q決算の会社説明資料によれば、
「新型コロナウイルス感染症拡大に伴いオンラインサービスに対する需要が拡大したことにより、アジア地域が大きく成長し、セグメント売上収益は8,242百万円(前年同期比18.8%増)、セグメント利益は1,960百万円(前年同期比52.9%増)となりました。」
とのこと。
海外展開はコロナ禍以前から好調でしたが、より一層、成長が加速してきているようです。中国等のアジア地域が急拡大している模様です。

中国では、エムスリーは2013年から中国企業のと合弁事業でビジネスを展開しています。直近の有価証券報告書によれば「北京金葉天盛科技有限公司(天盛)」への出資比率は50%、実質的に支配している子会社として記載されています。ケイマンだのベリーズだのにテクニカルに設立した子会社が出てきて詳しいJVの仕組みは理解できていないんですが最終的に、もともとあった中国の天盛の株式をオーナーから半分譲り受けたようなかたちみたいですw。
天盛は、中国版m3.com"医脈通"を運営しています。
http://www.medlive.cn/

さて、中国の医療が立ち遅れていることは、メディア等でしばしば指摘されますが、中国の医療の現状について、面白い記事が2020/9/1付の日本経済新聞に掲載されました。
タイトルは「低待遇が招く中国の医師不足」で、英The Economist誌の翻訳記事です。
この記事によると、中国の医療現場の惨憺たる状況がわかります。以下、抜粋。
・医師の3人に2人以上が病院で暴行や脅迫を受けたことがある。患者の怒った親族によるものが多い。
・医者の中で自分の子どもを医者にしたい人はほとんどいない。
・中国では医師は社会的に地位が高い職業でもなければ、特段に報酬が良いわけでもない。ベテランの医師でさえ平均的な年収は10万元(約150万円)強で、大都市ではとても高収入とはいえない。
・良質な医療を受けられるかどうかには驚くべき不平等が存在し、大都市の病院とそれ以外では医療の質にとてつもない格差がある。
・市民は数が少なく常に超満員の都市部の病院へ殺到し、時にはわずか1分半の診察を受けるため数日待たされる。
・村の診療所で地域医療に携わる医師のうち少なくとも医学での学士号を取得しているのはわずか0.2%。町レベルでも、一般開業医の役割を担う医師で大学を卒業しているのは半数弱にすぎない。
・医大を卒業してもほぼ3人に1人は医者にはならないらしい。大都市の病院に就職するのは至難の技で、一方で地方の総合病院は新卒の医師の採用に苦労している。地方で勤務するぐらいなら製薬会社の営業の方が高い収入を得られるから。

まったくもってひどい状況ですが、医薬品業界から見ると中国は人口も多く、ブルーオーシャン。しかしながら、中国では医師や政府高官への袖の下、賄賂、偽造薬、不良品の流通等々が横行しており、まっとうな商売をやりたい製薬会社には非常にリスキーです。ブルーオーシャンというよりは未開の地、フロンティアなのかもしれませんねw。
中国政府も賄賂や偽薬の取締を強化しているようで、数年前にはグラクソの社員が贈賄で実刑判決を受けたりしていますが、現状は上述のとおりで改善が進んでいるとは言い難いようです。

中国当局もおそらくこうした状況を改善したいと考えているはず。天盛が展開するインターネットを使った医療情報の提供やマーケティングは、改善策のひとつであることは間違いないでしょう。現地との合弁だし、中国当局にある日突然、ビジネスが潰されるような政治的なリスクは比較的小さいかもしれませんね。

中国は国土が広大だから、製薬会社のMRが地方の病院に通うことなんて物理的に不可能ですが、中国は人口も多く製薬会社には非常に魅力的な市場であることは間違いなく、効率的なマーケティングを提供している天盛の利用が急増しているのは、ある意味必然的な流れです。

中国は一筋縄ではいかないマーケットですが、エムスリーが今後どのように展開していくのか、非常に興味深いところです。

本日2020/8/31、以下のプレスリリースがありました。
■新たな医師コミュニケーションプラットフォームを武田薬品工業と構築
 ~my MR君をベースに新規コミュニケーション機能を開発~
https://corporate.m3.com/press_release/2020/20200831_001633.html
また、2020/6/8には以下のプレスリリースがありました。
■アステラス製薬、リモートディテーリングサービス「my MR君」によるMRからの情報提供を開始
 ~デジタルトランスフォーメーションの加速を支援~
https://corporate.m3.com/press_release/2020/20200608_001609.html

my MR君はこれまで、会社説明会資料ではあまり紹介されてこなかったと思いますが、両プレスリリースでは、以下のように紹介されています
”「my MR君」とは、各フィールドMRがm3.com上でターゲット医師と直接コミュニケーションを図れる専用プラットフォームであり、医師に対するリモートでの情報提供を支援するサービスです。”
ミクスOnlineの以下の記事にもう少し詳しく記載されています。
□アステラス製薬 エムスリーの「my MR君」をMR1700人に導入 MRのリモートワークを強力に支援(2020/6/9)
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=69406
”アステラス製薬が採用した「my MR君」とは、m3.com(登録数:医師28万人以上)を活用している医師を絞り込み、アステラス製薬のフィールドMRがサイト上で直接医師にコンタクトすることができるというもの。これまでのeディテーリングとは異なり、MR自身が「顔」や「名前」をサイト上に表示させることで、双方向でのやり取りを可能とした。
具体的には、ターゲット医師がm3.comで見ている画面に、メッセージや製品情報などを表示することができる。動画の添付も可能。Web面談の申し込みもできる。さらに医師側がMRの提供情報に対し、「よかった」、「もう少し詳しく」「頼りにしています」などの反応を返信するボタンが用意されており、医師とMR間で双方向のやり取りを可能としている。MR側にしてみても、情報提供に対する反応がタイムリーに得られることから、機会損失を防ぐこともできる。”

要は、製薬会社のMRの社員が、my MR君を使って、医師とのオンライン面談、情報提供が可能となるということです。コロナ禍でMRの医師への訪問が制限されたことで、利用が急増しているようです。
6月のアステラス製薬がmy MR君を採用したとのプレスリリースには、
”本取り組みは業界全体に広がりつつあり、本プラットフォームは既に20社以上が導入済みおよび導入準備中となります(利用MR数:前年比約4倍)。また、更に利用拡大の方向で各製薬企業様と議論を推進しており、MRのe武装化は急速に進むものと考えております。”
という記載、また8月の武田薬品工業の採用のプレスリリースでは、
”医師へのリモートディテーリングを支援するプラットフォームは業界全体に広がりつつあり、既に約30社が導入済みおよび導入準備中となります。また、更に利用拡大の方向で各製薬企業様と議論を推進しており、MRのe武装化は急速に進むものと考えております。”
という記載があり、利用する企業、MRが急増していることが伺えます。
エムスリーのMR君は確か、製薬会社70社ぐらいが導入していたはずだから、まだ伸びそうですね。

(以下、昨日のエントリと同内容)
ところで「コロナ禍が収まれば、以前のようなMRによる営業体制に戻るのでは?」という人たちもいます。最近では少しずつ、MRの活動も再開しつつあるようですが、MRの人たちの営業が元通りになることはないでしょう。少なくとも、病院での直接の面談の大半はオンラインでの面談に置き換わっていくはずです。
ちなみに、エムスリーもそして製薬会社や医師の大半も「MRは不要。『MR君』ですべて代替できる。」などとは考えているわけではありません。MRは、病院を回って医師に面会する旧来の営業スタイルだけではなく、インターネットを駆使して医師への情報提供もできるMR(エムスリーは"e武装化MR"と呼んでいます)に変わるべきだ、というのがエムスリーのスタンス。
先日、アステラス製薬がMRからの情報提供を、エムスリーのリモートディテーリングサービス「my MR君」を使いインターネットで行えるようにしたのは、そうした流れのなかでの話です。

エムスリーの基本的な考え方は、WebサービスのMR君、医療情報サイトのm3.com、そしてe武装化MRを組み合わせて、医師への最適な情報提供の環境を作るということ。製薬会社のDX構造変化で、インターネットを使いこなせないMRは厳しくなるし、結果的にMRの総人数は減らざるを得ない状況でしょうけどね。実際にコロナをキッカケに製薬会社がMRも含めたリストラを行うような報道も出てきていますからね。

ここのところ、エムスリーの株価が大きく上昇しています。
株価上昇の理由について「コロナ禍でLINEとのオンライン診療事業に期待」と盛り上がっている人たちとか「ワクチンができればコロナは終わるから、オンライン診療という材料で騰ったから暴落が待っている」とか言っている人たちもいますが、個人的にはエムスリーの今回の株価上昇に、オンライン診療への期待はあまり関係ないと考えます。

ちょっと余談ですが、既にワクチンのあるインフルエンザが毎年流行して数十万人亡くなっているのに、新型コロナのワクチンが開発されると新型コロナは怖くなくなる、と決めつけるような報道が多いのは不思議。ワクチンができたところで、亡くなる人が激減することはないと思うんだけど、少なくとも日本では。まぁ、インフルエンザワクチンと同じようにある程度の効果は期待できるんでしょうけど。

それでは、なぜ今、中長期投資家や大口投資家がエムスリーに注目しているのか?

コロナ禍前のエムスリーの会社説明資料に繰り返し掲載されていた調査によれば、
■製薬会社の営業コストは年間1兆6400億円
 ・MR関連:1兆5000億円(約91%)
 ・インターネット:400億円(約2%)
 ・その他:1000億円(約7%)
■医師の情報収集時間
 ・MRから:17%
 ・インターネットから:39%
 ・その他(学会や医学誌等):44%
    ※2020/03期3Q決算の資料P7参照
     https://corporate.m3.com/ir/release/2019/pdf/012820_02_J.pdf

インターネットからの情報収集の比率(39%)が大きい割に、製薬会社の営業コストがMR関連(91%)に偏重しすぎていることは明らかな状況でした。いかに製薬会社のインターネット利用を増やすのかが、エムスリーとしては、ずっと重要課題でした。
さて、そんな中、COVID-19の流行により、医師にアポを取って直接会いに行くMRの営業活動が大きく制限されることになりました。製薬会社はインターネットによる営業活動を強化せざるを得ない状況です。製薬会社から見れば、これまで変えられなかった旧態依然かつ費用対効果が低いMRの営業活動にメスを入れる、千載一遇のチャンスなのかもしれません。

仮に製薬会社が、MR関連の営業費用の1割をインターネットに振っただけでも、インターネットにかける年間営業コストは、400億円から1900億円(400億+1500億)と約5倍になるわけです。2割を充てれば8倍強ぐらいのお金が、インターネット関連の情報提供サービスに流れ込んでくることになります。まぁ、そんな単純な話ではないかもしれないけどw、エムスリーのような企業には強烈な追い風が吹いているということです。メドピアとか、他社の業績が良いのも同様の理由だと推察します。

直近の1Q決算の会社説明資料には以下のような記載があります。
「製薬会社のDX構造変化が急速に進展中」
「マーケティング支援の1Q受注は前年比2.5倍以上」
この記述から、製薬会社がインターネットによる営業に軸足を移してきていることがわかります。1Qだけで受注がいきなり2.5倍ですから、まだまだ伸びそうですね。
MR君などのインターネット関連はメディカルプラットフォーム事業に分類されますが、この事業はエムスリーの利益の半分以上を出す主力事業です。主力事業で市場が一気に拡大しそうだということですから、エムスリーの業績にもインパクトはかなり大きいはずです。

加えて、メディカルプラットフォーム事業は、奇しくも2019年3月期に大規模な営業強化、先行投資を行ったところ。コロナ禍による業界の急激な構造変化の恩恵を十分に享受できる体制が出来上がっていると推察されます。
メディカルプラットフォーム事業の大規模な営業強化、先行投資を行ったことについては当時、「今後の高成長が期待できそうもないのに敢えて投資するの?」みたいな懐疑的な見方をする人たちも多かった。そんななか、分割とかヘッジファンドの仕掛け売りとかもあって2018年末に株価が4割超、1400円台まで大幅下落しました。
結果的にこの大規模な営業強化、先行投資は、非常に良いタイミングだったということですね。

ところで、メディカルプラットフォーム事業の絶好調の影に隠れて、あまり注目されていないけど、海外事業も大きく伸びています。
1Q決算の会社説明資料によれば、
「新型コロナウイルス感染症拡大に伴いオンラインサービスに対する需要が拡大したことにより、アジア地域が大きく成長し、セグメント売上収益は8,242百万円(前年同期比18.8%増)、セグメント利益は1,960百万円(前年同期比52.9%増)となりました。」
とのこと。
日本のメディカルプラットフォーム事業で起きたことと同じような状況が、中国やアジア地域でも起きているようです。海外展開はコロナ禍以前から加速しつつありましたが、より一層、成長が加速してきているようです。

国によって製薬会社の営業方法は異なるのでしょうけど、医師の情報収集の手段としては、諸外国ではおそらく日本以上にインターネットに依存していると思われます。病院や医師の絶対数が少なく医療システムが脆弱な国では、以前の日本のようにMRが足繁く通って、医師に情報提供してくれる体制ではないでしょう。コロナ禍をきっかけに、世界中で自国の医療精度の充実を求める声が上がっている状況は、エムスリーのような企業には追い風となっているはずです。

ところで「コロナ禍が収まれば、以前のようなMRによる営業体制に戻るのでは?」という人たちもいます。最近では少しずつ、MRの活動も再開しつつあるようですが、MRの人たちの営業が元通りになることはないでしょう。少なくとも、病院での直接の面談の大半はオンラインでの面談に置き換わっていくはずです。
ちなみに、エムスリーもそして製薬会社や医師の大半も「MRは不要。『MR君』ですべて代替できる。」などとは考えているわけではありません。MRは、病院を回って医師に面会する旧来の営業スタイルだけではなく、インターネットを駆使して医師への情報提供もできるMR(エムスリーは"e武装化MR"と呼んでいます)に変わるべきだ、というのがエムスリーのスタンス。
先日、アステラス製薬がMRからの情報提供を、エムスリーのリモートディテーリングサービス「my MR君」を使いインターネットで行えるようにしたのは、そうした流れのなかでの話です。
エムスリーの基本的な考え方は、WebサービスのMR君、医療情報サイトのm3.com、そしてe武装化MRを組み合わせて、医師への最適な情報提供の環境を作るということ。製薬会社のDX構造変化で、インターネットを使いこなせないMRは厳しくなるし、結果的にMRの総人数は減らざるを得ない状況でしょうけどね。実際にコロナをキッカケに製薬会社がMRも含めたリストラを行うような報道も出てきていますからね。

■決算短信
https://corporate.m3.com/ir/library/financial-statements/pdf/20200729_02.pdf
■会社説明資料
https://corporate.m3.com/ir/library/presentation/pdf/20200729_03_presenJ.pdf

コロナ禍のなか、非常に良い決算でした。
2021年3月期1Q決算、製薬会社のDXが急速に進んだことで、主力のメディカルプラットフォーム事業のセグメント利益は+70%と、COVID-19の影響で低調だった他部門を尻目に大幅に増加しました。
製薬マーケティング支援の受注金額が前年1Q比で2.5倍以上。これはCOVID-19の感染拡大に伴い、製薬会社からの需要が急増したことによるものです。
以下、2020/7/6のエントリです。
◎市場急拡大の可能性
https://ameblo.jp/2sc372/entry-12609172300.html
重要な部分を転載しておきます。
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エムスリーの会社説明資料に掲載された調査(COVID-19以前)によれば、製薬会社の総営業コストは年間1兆6400億円。そのうちMR関連費用は1兆5000億円と約91%を占めますが、インターネットにかける費用はわずか400億円で約2%。
一方、医師の情報収集時間を見ると、MRからは17%、インターネットからは39%、その他学会や医学誌等からは44%。

製薬会社の営業コストが、MR関連(≒人件費)に偏重しすぎていることは明らか。そんな中、COVID-19の流行で、医師にアポを取り対面で面談するオーソドックスなMRの営業活動が制限されたことで、MRの業務が変わらざるを得ない状況になってきています。

仮に製薬会社が、MR関連の営業費用の1割をインターネットに振っただけでも、インターネットにかける年間営業コストは、400億円から1900億円と約5倍になるわけです。2割を充てれば8倍強。
まあ、そんな単純ではないでしょうけど、エムスリーの主戦場であるインターネットの市場規模が急拡大する可能性の話で、エムスリーのような企業には強烈な追い風が吹いているということです。
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「製薬マーケティング支援の受注金額が前年1Q比で2.5倍以上」というのは、製薬会社がインターネットに営業コストをシフトし始めたということだと考えます。ほぼ予想通りの展開w。

"2.5倍"というのはすごいけど、上述(赤字の部分)のとおり製薬会社がMR関連の営業費用の1割をインターネットに振っただけで、MR君のようなインターネットでのビジネス規模が5倍になるわけですから、いきなり2.5倍でもまだ端緒についたばかり、といったところですね。「営業チームは前年比で+47%の体制」とのことですから、当面の需要増への対応にも問題なさそうですね。

さて今回、注目のLINEヘルスケアが開始予定のオンライン診療サービスについては特に新しい情報はありませんでした。以前から書いているように、国民皆保険があり、街中に医院やクリニックがある日本において、オンライン診療で利益が出るサービスを作るのは非常に難しそう。

無論、社会に必要な仕組みであり、なんとか成功してほしいとは思いますが、アメリカの最大手Teladoc Health社ですら、まだ利益が出せていません。COVID-19で利用者が急増し、ようやく軌道に乗りつつある状況ですが。
個人的には、初診の患者がネットを通じていつでもすぐにお医者さんに診てもらえるようなTeladoc Healthのスタイルより、糖尿病や高血圧、肥満といった持病を抱える人たちにネットに繋がる機器を配布し、そこから送信される健康データに基づいて食事や運動の指導をオンラインで適時適切に行う、Livongo Healthのビジネスモデルのような仕組みのほうが、導入のハードルも低く、収益化も容易いように思います。

どんな仕組みとなるのか楽しみなところですね。
また、メディカルプラットフォーム事業の影に隠れて、あまり注目されていないけど、海外事業も大きく伸びています。決算短信によれば、
「新型コロナウイルス感染症拡大に伴いオンラインサービスに対する需要が拡大したことにより、アジア地域が大きく成長し、セグメント売上収益は8,242百万円(前年同期比18.8%増)、セグメント利益は1,960百万円(前年同期比52.9%増)となりました。」とのこと。
国内のメディカルプラットフォーム事業で起きたことと同じような状況が、中国やアジア地域でも起きているのではないでしょうか? こちらも今後の展開が非常に楽しみですね。

1Q決算は以下の通り。
売上高 :1,160百万円(前年同期比+24.0%)
営業利益:  7百万円(前年同期比-95.9%)

営業利益を見てショックを受けている人もいるようですがw、ビジネスは順調です。クラウドサインについては導入企業数や送信件数といったKPIで見る限り、特に問題はなさそうです。

1QはクラウドサインのテレビCM実施により広告宣伝費が一時的に増加したとのことで、営業利益が大きく減ることになりました。今期の業績予想で、営業利益は非開示としていますが、1Qの決算説明会で内田社長は「黒字の継続は大前提だが、クラウドサインへの機動的な投資を行うため非開示」とのことでしたから、営業利益がわずかにプラスとなったことに特に驚きはありません。
決算説明会動画によれば、コロナ禍の影響で、比較的廉価で効果的に広告宣伝の全国展開ができたとのことで、今後も機動的に広告を出していくようです。広告宣伝を展開して、すぐに売上が増えるようなビジネスではないけれど、普及期に差し掛かった電子契約、電子署名の認知度アップは重要な課題です。

最近、「クラウドサイン」という単語が「電子契約」「電子署名」という意味で使われることが増えてきているのは良い傾向ですね。

さて、クラウドサインの導入企業数は92,929社。前四半期末は75,480社だったので1.7万社(+23%)ほど増えました。また、契約送信件数については491,707件。4月が15.7万件(決算発表資料)、6月が18.3万件(7/13の寄付金に関する報告)だったから、四半期計がちょっと少ない印象だけど、よく考えたら5月は大型連休がありましたねw。決算説明動画によれば、導入企業数、契約送信件数ともに当初計画を上回り、順調に伸びているとのことです。

ある程度以上の規模の企業だと、会社として電子契約の利用開始を決議しても、文書管理規程等の社内規程の変更、決裁ルートの見直しにともなう業務分掌の修正等に加え、社内のシステム改修、契約マニュアルの整備など、下準備がいろいろと大変で時間もかかります。そもそも契約方法の変更となると、どうしても保守的にならざるを得ない面もあり、電子契約は段階的に利用を拡大していく企業が多いでしょう。自分が法務の責任者なら、社内環境が整い従業員の意識が高いような会社でもなければ、いきなり全面移行なんて過激なことはさせないですw。
送信件数は順調に伸びてはいますが、大企業とかの利用が増えてくれば、そのうち指数関数的に増え始めるのはほぼ確実。そうした傾向が出てくるのがいつになるかはわかりませんが、多くの企業や役所が速やかな導入を検討している現状を考えれば、何年もかかることはないでしょう。今年度下期からか、あるいは来年度からになるのか、楽しみなところですw。


クラウドサインの利用者が増えると、すぐに大きな利益が出るのが当たり前かのように勘違いしている人たちもいるけど、電子契約はようやく環境が整い利用者が増え始めたばかりで、今は投資フェーズ。つまり、今はクラウドサイン事業の将来を占う重要な時期であり、積極的な投資、宣伝活動により全力で顧客獲得に動くべき時期で、目先の利益なんかどうでもいいということです。

ちなみに電子契約の最大手、アメリカのDocusign社ですら、まだ利益を出していません。利益を出そうと思えば出せるんだろうけど、利益を出すよりも投資、事業拡大を優先しています。ちなみにDocusignの売上は約1000億円ですが、彼らは電子契約ビジネスの周辺事業も含めた世界の潜在市場規模(TAM)は5兆円超と見ているようで、まだまだ伸ばせると見ているようです。
Docusignは自分の投資先でもありますが、こちらもコロナ禍で事業が好調。ようやく損益がプラ転しそうなところまできましたが、利益よりも投資を重視、というスタンスは当面変わらないでしょう。おそらくクラウドサインも同じように、当面は事業拡大、投資に注力していくはずです。

弁護士ドットコムは小型株で浮動株比率も小さく、個人投資家の売買が中心の株。クラウドサインの話題性と値動きの軽さから、事業内容の把握などそっちのけでギャンブルまがいの短期勝負の売り買いをしている人たちも多い株です。昨今の株価急騰は、そうした人たちの売買によるところも大きかったと推察しています。コロナ禍で証券口座の解説が急増しているようですが、初心者でいきなり弁護士ドットコムのような株に飛びついてしまうケースも増えていそう。最近は初心者でもすぐに信用売買ができるから、大やけどして即刻退場、みたいな人も出ていそう。授業料と言えばそれまでだけど、授業料を払って即退学というのは気の毒ですね。


決算発表を受けてPTSは急落したようですが、今回の決算の営業利益だけを見て判断して失望売り、狼狽売りをする人たち(ギャンブラーw?)も多そうですが、一方で、株価が大きく下落するのであれば買い増しのチャンス到来、と考える中長期スタンスの投資家も多そうです。

成長株投資の経験が豊富な投資家なら、掲示板やツイッターの書き込みから、こういう状況になるのはある程度予測できているはず。書き込みから初心者がたくさん売買参加していることに加え、小型株だから機関投資家がほとんど売買参加しておらず、そうした個人の動向が株価にダイレクトに反映されるということが経験的にわかっている投資家なら、決算発表後の急落に備え、保有する弁護士ドットコム株を一部売却して急落後に買い増す準備をするとか、急落後に買い増すために資金を準備しておくとかしていた人も多いはずです。

 

1Q決算発表後のネットの書き込みは悲観で一色という感じです。ただ、株式投資に限ったことではないけれど、能力の低い人ほど饒舌、懸命な人ほど寡黙というのが世の常。大きく下げたところを拾おうと狙っている中長期投資家は案外いるんじゃないかな?

エムスリーの会社説明資料に掲載された調査(COVID-19以前)によれば、製薬会社の総営業コストは年間1兆6400億円。そのうちMR関連費用は1兆5000億円と約91%を占めますが、インターネットにかける費用はわずか400億円で約2%。
一方、医師の情報収集時間を見ると、MRからは17%、インターネットからは39%、その他学会や医学誌等からは44%。

製薬会社の営業コストが、MR関連(≒人件費)に偏重しすぎていることは明らか。そんな中、COVID-19の流行で、医師にアポを取り対面で面談するオーソドックスなMRの営業活動が制限されたことで、MRの業務が変わらざるを得ない状況になってきています。

仮に製薬会社が、MR関連の営業費用の1割をインターネットに振っただけでも、インターネットにかける年間営業コストは、400億円から1900億円と約5倍になるわけです。2割を充てれば8倍強。
まあ、そんな単純ではないでしょうけど、エムスリーの主戦場であるインターネットの市場規模が急拡大する可能性の話で、エムスリーのような企業には強烈な追い風が吹いているということです。

機関投資家や中長期スタンスの個人投資家は、このように製薬会社の営業が抜本的に変わりそうな状況にあることに注目しているわけです。
ちなみにオンライン診療は、収益化が見えてくるのはまだまだ先の話。オンライン診療に注目こそすれど、そこに期待して株を買うタイミングだとは考えていない投資家が多いんじゃないかな?
そもそも皆保険があって病院がたくさんある日本で、オンライン診療で十分な利益が出せる仕組みが作れるのかはまだ不透明。20年近くオンライン診療ビジネスをやっているアメリカのTeladoc Healthだって、COVID-19で利用者急増の今期の業績予想ですらまだ赤字だしw。

ちょっと補足しておくと、エムスリーもそして製薬会社や医師の大半も「MRは不要。『MR君』ですべて代替できる。」などと考えていません。ただ、MRは病院を回って医師に面会する旧来の営業スタイルだけではなく、インターネットを駆使して医師への情報提供もできるMR(e武装化MR)に変わるべきと考えています。
先日、アステラス製薬がMRからの情報提供を、エムスリーのリモートディテーリングサービス「my MR君」を使いインターネットで行えるようにしたのは、そうした流れのなかでの話。
ちなみにこの「e武装化MR」って単語は確か数年前、エムスリーマーケティングを設立してコントラクトMRの事業を始めた頃から会社説明資料に登場しているはず。

エムスリーの基本的な考え方は、WebサービスのMR君、医療情報サイトのm3.com、そしてe武装化MRを組み合わせて、医師への最適な情報提供の環境を作るということです。

無論、e武装化MRに"行動変容"できないMRは今後、業界内での生き残りが厳しくなっていくのは間違いないでしょうね。

クラウド型電子署名ビジネスの急成長は始まったばかりですが、電子署名市場にはクラウドサイン以外にも多くの企業が存在します。巨大な市場であり、しばらくは限られたパイを奪い合う競争ではなく、急速に拡大するパイでどれだけシェアを伸ばせるかの競争となると思われ、メジャーな電子署名の企業はどこもオーガニックに成長していくはずです。
電子署名ビジネスはネットワーク外部性は働くものの、特定の企業だけが生き残るような、一社総取りの状況にはなりにくいビジネスですから、潰し合いみたいな状況になることは考えにくい。

ただ経験的には、セキュリティ関連ビジネスは安全性だけで差別化するのは困難であり、ベースの部分はコモディティ化していく傾向があります。(無論、機密性の高い書類への高度な安全性を提供する差別化はありえます。)

電子署名ビジネスは中長期的には、電子署名に関する付帯的な業務で、他社との差別化が図れるかカギとなる、と考えます。主な電子署名の特徴を記述してみます。

○クラウドサイン

日本では業界のリーダー的存在。日本でトップシェアであることに優位性。日本独自の押印文化や法令への対応能力が高く、リーガルテック分野での先進的な取り組み等が強み。

○Docusign
世界でトップシェア(6割以上)、国際的にビジネスを展開する企業には有利か。契約の交渉時から締結、更新管理まで一気通貫で行う、契約ライフサイクル管理のシステム(CLM)"Agreement Cloud"に注力。

○Adobe Sign
Adobeは文書管理の世界企業。Adobe Signは文書管理ソリューション"Adobe Document Cloud"に組み込まれている。

昨秋、電子署名ビジネスへの投資を決める際にこのように考え、自分は弁護士ドットコムとDocusignに投資しました。(最近、Adobeにも投資開始)

○GMO電子印鑑Agreeについて
株価の暴騰で話題?のGMOクラウドのAgreeについてですが、Agreeはクラウドサインとほぼ同時期にスタート(2015/秋)したクラウド型電子署名です。以前は「GMO電子契約サービスAgree」という名前でサービス提供していましたが、1,2ヶ月前に「GMO電子印鑑Agree」へ名前を変えたようです。

 

昨秋から昨冬にかけて電子署名ビジネスをいろいろ調べても、Agreeの情報や利用状況はほとんどつかめませんでした。自分はGMO-PGに十年来投資しており、GMO-PG絡みでなにか情報が入ってきても良さそうなものなのでしたが、まったくつかめませんでしたから投資していません。
AgreeはGMOグループ内の利用が中心かな、と考えていましたが、記憶では、GMOグループがCOVID-19でいち早く在宅勤務を開始した後も、しばらくはAgreeは話題にのぼらず、うまく普及させられなかったからもうやめたのかな、と考えていました。2月初旬ころからGMOの在宅勤務の取り組みについてメディアで取り上げられ始めた後でも、熊谷さんがAgreeについて口にすることはなく、3月下旬か4月上旬に突然「Agreeが人気ナンバーワン」とか言い出してちょっとビックリした記憶があります。

熊谷さん、儲かりそうだとわかって急に本気出してきたんじゃないでしょうかw。いかにもGMOらしい動きですww。

直近のGMOクラウドの決算説明資料によれば、Agreeのアカウント累計数は4,800件弱とのこと。アカウントなので1社で複数アカウントを保有するケースもあるだろうし、GMOインターネットグループ各社内のアカウントだけでも相当数あるはずです。そもそも"累計数"ですから、実際の利用者はもっと少なかったはず。感覚的には日本のDocusignやAdobe Signより利用数ははるかに少なそうです。

 

ツイッターで「クラウドサイン」を検索すると、企業の法務担当者や司法書士、弁護士等が実務関連のツイートがたくさん見つかり実際の利用者は多そうですが、「GMOクラウド」「GMO Agree」等で検索しても、株価の話ばかりで利用者のツイートがほとんどありません。グーグルトレンドで調べても、検索数はクラウドサインが圧倒していますから、実際に使っている人がどのくらいいるのかは不明です。未だに実態がよくわからないので、中長期スタンスの自分の投資対象にはなりません。
 

ただ個人的にはGMOインターネットグループがこれまで、なぜAgreeに力を入れてこなかったのか不思議です。

これはひょっとすると、GMOクラウドの主力事業である電子証明ビジネスを旧来型の電子署名を行う企業が利用しており、クラウド型電子署名ビジネスは競合してしまうことから、この事業に二の足を踏んでいたのかもしれません。(あくまでも邪推の域を出ませんが)
 

GMOのAgreeは先日、クラウドサインとともに商業登記に利用可能な電子署名サービスに指定されたし、GMOのネームバリューもあるし、今後は利用者が増えてくるかもしれません。

ただ、電子署名ビジネスの主要な顧客は企業。資本力に任せた廉価キャンペーンや広告宣伝だけでは有力顧客はなかなか増やせません。Agreeは無料キャンペーンを始めたみたいですが、一般的に安売りキャンペーンは個人が利用する比較的単純なアプリであれば一気に顧客増に繋げられるのかもしれないけど、企業顧客となると"無料"部分に食いつきやすい小企業の利用ばかり増え、問い合わせやクレーム対応が増大してビジネスリソースが割かれてしまうのが難点。小企業の利用は直接的な利益につながらないですが、お手並み拝見といったところです。

 

(Agreeを腐す意図はありません。国内の膨大なニーズにクラウドサイン1社だけで対応できるわけないですし、ネットワーク外部性を考えれば電子署名の普及に貢献する企業が育ってくるのは、ウェルカムです。)