BABYMETALのマネージャー兼プロデューサーのKOBAMETAL(他3名)のインタビューが、YAHOO!ニュースに配信されました。
デジタル時代にリアルの魅力―― 音楽の未来と価値とは
KOBAMETALのパートのタイトルは、「<人間のアナログ的な欲求は普遍的だ>」。
「今はデジタル全盛の時代ですが、その一方で興味があるものに対して『もっと生で見てみたい』『本当にすごいのかどうか自分の目で確かめたい』という人間のアナログ的な欲求は普遍的で変わらないと思います。」
と語っています。
「人間のアナログ的な欲求は普遍的」というのは、KOBAMETALの考えというより、アミューズという会社の考え方です。
以下、今から14年前、2002年上場時の大里会長のインタビューの一節です。
-------------------------------------------------------------
・・・(インターネットなどの新しい)メディアに対応していくだけの進化と進歩がアミューズにはなくちゃいけないと思います。それを圧倒的にやりきれた時には、少なくとも最低アジアは完璧な共通マーケットになっていくだろうと思います。あとは欧米諸国のものすごく進んだエンターテインメントに、どこまで我々が肉迫して、一矢報いることができるかということと、逆に、やっぱりいつまでも生のエンターテインメントの原点を忘れちゃいけないと思うんです。例えば三宅裕司がやっているSET(劇団スーパーエキセントリックシアター)とか、岸谷五朗&寺脇康文の「地球ゴージャス」とか、伊東四郎さんと三宅(裕司)がやっているコントライブ、それにサザンオールスターズや福山雅治のコンサートとか、そういう生の魅力がアナログの原点だと思います。
・・・
音楽でもアートでも、表現者が歌やギターや芝居という形で表現する。お客さんがそこにいて、生でそれを見る。汗をかいている姿もぜったい同じものじゃないし、コピーじゃない。毎日違うんです。コンサートの曲目は一緒でも、歌い方もノリで違うし、お客さんの反応も違えば、トークの内容も変わるんです。この生でアナログで本当の、平安時代や江戸時代から続いているエンターテインメントの原点の仕事と、今言ったデジタルの仕事の両方をうまくバランスを取りながらやっていく。アミューズの原点はそこです。それがうまく融合したものが、陽の目を見るときこそ、アミューズが本当に僕がやりたかった会社になっていくのかもしれないと思います。
-------------------------------------------------------------
2002年、まだYouTube(2005年開始)も音楽配信(着うたフルは2004年、日本でのiTunesは2005年の開始)もない時代のインタビューですが、大里会長は先見の明がありますね。
「生でアナログで本当の、平安時代や江戸時代から続いているエンターテインメントの原点」というのは、KOBAMETALの言う「『生で見たい』というアナログ的(で普遍的)な欲求」と基本的には同じです。
BABYMETALはYouTube等によるバイラル(口コミ)で世界に拡散しました。最初はギミチョコなどのオフィシャルのミュージックビデオで話題となり、その後、ライブやフェスのファンカム映像(ファンが勝手に撮ったビデオ映像)でライブバンドとしての知名度を上げ、国内外での観客動員につなげてきました。
YouTube等にアップされたファンカム映像をアミューズは徹底的に削除せず、敢えて一部を残してバイラル展開されるようにしていることが戦略的です。
BABYMETALはミュージックビデオだけでは、メタラーだとライブにまで足を運ぶのに二の足を踏みそうだけど、ファンカム映像で筋金入りのメタラーらが異様に盛り上がってクラウドサーフィンまでしているのをYouTubeで見たら、ライブやフェスに行ってみたくなるはず。「十代の東洋人の女の子3人がダンスしながらメタル」というのを音楽雑誌で読んだだけなら「へぇ」となるだけの人がほとんどだろうけど、今は他のメタラー連中の反応も含めてYouTubeですぐにチェックできますから。
これは、十数年前に大里会長が語った、アナログ(ライブ)とデジタル(インターネットの活用)のバランスを取りながらやっていくという「アミューズの原点」にほかなりません。BABYMETALは、アミューズが昔から考えていたことを実現した存在、ということです。
真偽は定かではありませんが、2014年の夏、BABYMETALの海外進出の転機となったメタルフェス、Sonisphere出演後のBABYMETALのロスアンゼルス公演を大里会長が観ていたという噂がありましたね。
また、上記の部分の前段に以下の件もあります。
-------------------------------------------------------------
音楽と映像とはますます密接になってきますので、そういうことをもっとどんどんやるべきだと思っています。今までもプロモーションビデオがありましたが、ああいうものか、もっと進化したものかはわからないですが「映像と音」もしくは「映像と音とプラスアルファ」が合わさったもので、エンターテインメントにまた一つ大きな流れが出てくると思うんです。そういう流れに対応できるだけの映像技術をアミューズの中に取り込んでいかなきゃいけないと思っています。
・・・映像分野のクリエーターと、ミュージシャンやプロデューサーをいろいろコラボレーションさせて何か作っていくっていうことをやっていきたいです。・・・
-------------------------------------------------------------
この部分はまさに、Perfumeがやってきたこと。Perfumeのライブでは、アミューズ所属でBABYMETALも手掛ける振付演出家のMIKIKOやメディアアーティストの真鍋大度らが重要な存在となっています。Perfumeのライブは音楽を聞くだけのものではなく、いろんな才能を持ったクリエイターとのコラボレーションによって作られる「映像と音とプラスアルファ」の総合エンターテインメント。
先日のリオ・オリンピック閉会式のフラッグハンドオーバーセレモニーのパフォーマンスは大きな話題となりましたが、Perfume等の音楽を手掛ける中田ヤスタカが音楽、振付・演出をMIKIKO、AR(拡張現実)を真鍋大度が担当しています。このパフォーマンスも「映像と音とプラスアルファ」のエンターテインメントです。こういうエンターテインメントが、メジャーになりつつあるということでしょう。
この記事の最後に「あなたはここ数年で、音源を聞いたりライブに行ったりするなど、音楽を楽しむ機会が増えましたか?」というアンケートがあり、現時点で約4割以上の人が「増えた」と回答しているのは興味深いですね。ライブ・コンサート市場がここ数年急成長している事実と、この結果は合致しています。
CDは買わなくなったけど、YouTubeの影響で音楽に接する機会が増えたことが刺激となり、ライブを見る人が増えていると言われています。BABYMETALファンに、若いころにライブ・フェス通いをしていた中高年層が多いのも明らかにYouTubeの影響です。