GMO-PGの2017年9月期 2Qの決算発表がありました。既存事業は絶好調です。
(カッコ内は対前年同四半期比)
売上高 9,992百万円(+74.4%)
営業利益 2,536百万円(+35.0%)
経常利益 2,370百万円(+23.5%)
当期利益* 1,084百万円(△5.9%)
*親会社株主に帰属する四半期純利益
□決算短信
https://corp.gmo-pg.com/newsroom/pdf/170501_gmo_pg_ir_tanshin.pdf
□決算説明資料
https://corp.gmo-pg.com/newsroom/pdf/170501_gmo_pg_kessan.pdf
GMO-PGは営業利益ベースで25%成長をコミットしていますが、営業利益が+35%と好調維持。期初業績予想(2Q累計)の営業利益は2,499百万円だったので、この業績予想も上回っています。
経常利益については、持分法による投資損失193百万円の影響のため+23.5%。期初業績予想(2Q累計)が2,351百万円だったことから、当初から予想に織り込んでいたものと考えられます。GMO-PGは国内外のベンチャー等に幅広く投資しており、こうした投資損失が出るのは、ある程度仕方のないことです。
親会社株主に帰属する四半期については、前年を下回っていますが、これは情報漏洩問題にかかるコスト(情報セキュリティ対策費270百万円-受取保険金160百万円=110百万円)に加え、後払い子会社GMOペイメントサービス(GMO-PS)の業績急拡大のため、繰延税金資産を2Qで計上しないこととしたことで、法人税の負担率が上昇した影響とのこと。
情報漏洩問題にかかるコストは実質、110百万円。決算説明会資料によれば今後、カードの再発行や不正利用の費用が生じたとしても、保険でカバーされるので影響は軽微とのことです。セキュリティ強化のため、売上原価・販管費の増があったとしても、大した額にはならなさそうです。
野村證券のアナリストレポートでは、「お詫び金による費用が3.6~7.2億円で、保険金でカバーされるから全額負担はなく、影響は軽微」とのことでしたが、それ以上に少なかった模様です。
また、GMO-PSの繰延税金資産未計上の影響は、通年では解消される(年度末には繰延税金資産を計上)見込みとしており、2Q決算だけの一時的なもの。特に問題なさそうです。
GMO-PSは2013年に設立され昨年から単月黒字が出るレベルの会社となったところ。累積損失がある状態で黒字化しても当面は税金が発生しない程度の利益見込みだったのが、ZOZOTOWNのツケ払いで予想以上に利益が出そうな状況になったことが原因、ということなのかな?後述しますが、与信審査モデルの調整が落ち着き、収益性がある程度見えてきて、将来の収益の合理的な見積もりが立てられるようになった時点で税効果を適用する、ということかな? 詳細不明ですが、一時的な特殊要因によるもので問題ないでしょう。
通期業績予想の修正がありましたが、売上高以外は据え置きです。決算説明資料によれば、業績予想にZOZOTOWNのツケ払いは含めていないとのことです(期初業績予想でもツケ払いは含まれていません)。
情報漏洩問題に加えて、ZOZOTOWNのツケ払いでもなにかと批判を受けている状況ですから、現時点でヘタに増益予想など出せば、イチャモンをつけて叩く連中が出てくるのは明らか。控えめにしておくのが得策だと、個人的には思いますw。
さて、ZOZOTOWNのツケ払いですが、決算説明資料(P11)を見ると、売上計画の上ブレ16億円の約四分の三が金融関連事業によるとのことで、この約12億円のほとんどがZOZOTOWNのツケ払いの手数料収入だと思われます(ZOZOTOWNは予算に入っていないので)。B/Sを見ても未収入金、未払金がそれぞれ124億円、112億円と、前年同期の数倍規模に膨らんでおり、急激に増えているのがわかります。一方、決算短信のセグメントの業績を見ると、後払いの含まれる「金融関連事業」のセグメント利益は△61百万円と損失を計上しています。
決算説明資料(P16)をみると、金融関連事業の営業損失は「GMO後払いにおける合理的な会計処理が要因(通年での黒字化にむけ対応中)」「後払いの与信審査モデルを調整中」との記述があります。
ZOZOTOWNのツケ払いは、GMO-PGにとっても未知の部分があるビジネス。期限後の連絡で気づき慌てて払う人の割合や属性、督促状が届くと支払う人の割合や属性、全く払わない人の割合や属性等々、そういったデータを蓄積しながらビジネスを行っている状況だと思われます。
こういった経験則が適用できないビジネスの場合の会計処理は、保守的に行うのが一般的であり、その結果、営業損失が出た、ということだと推測します。(例えば、期限内に支払わなくても遅れて支払う人がかなりいるはずですが、保守的に延滞発生後直ちに全額を貸し倒れ引当金計上してしまう、というような会計処理が行われているのかもしれません。)
また以前にも書きましたが、もし最終的に支払われないようなケースが想定以上に多く収支が悪いならば、与信審査を厳しくすれば、取扱高は減ったとしても収支改善は可能で、赤字が膨らみ続けることはありえません。決算説明資料に「年度決算での黒字化に向けて対応中」「バランスを考慮したリスクテイク」とあるのは、こういったことでしょう。
GMO-PGはおそらく当初から、ツケ払いは、運営してデータを蓄積しながら与信審査モデルの最適化(与信審査の厳しさ加減と取扱高の増減のバランスを取るということ)を図り、利益を極大化することを目指すビジネスモデルと考えていたと推測します。調整にはデータの蓄積が必須ですから、現時点で一時的な営業損失が出るのはやむを得ないでしょう。
ということで、2Qの金融関連事業の営業損失をみて、ZOZOTOWNのツケ払いが失敗だというのは勘違いです。スタートトゥデイの決算説明会でも「ツケ払いは4Qの増益ファクターのひとつてであり、今後も継続する。GMO-PGとは良好な関係を築いており、問題があれば協力して対処する。」みたいな話がありました。ツケ払いに本当に問題がある(あるいは、しつこくメディアが問題視してネガキャンを張られる)のであれば、やめればいいだけの話です。やめたところでスタートトゥデイにもGMO-PGにも業績に与える影響は軽微ですからw。
ネガキャン対応のためだけに中止するといった、便利と感じて利用している大半の利用者の利便性を削ぐようなことは、スタートトゥデイもGMO-PGも、利用者も望まないとは思いますが。
現在の株価水準(4,900円台)になったのは、ZOZOTOWNのツケ払いで騒がれた後の下落によるところが大きいと思います。今回の決算発表は絶好調だと個人的には解釈していますが、当期利益レベルで後払いに関する特殊要因から対前年同期比較で減益、セグメント利益もマイナスとなっています。
当期利益の減益要因が少々わかりづらいので、個人の中には「ZOZOTOWNのツケ払いビジネスでトラブって、減益となった」と誤った解釈をしている人もいそう。慌てて投げる人が増えて株価が急落してくれれば絶好の買い場なんですが、これは希望的観測かな?ww
さて本日、「不正アクセスによる情報流出に関する報告書」も公開されました。
問題のApache Struts 2は、GMO-PGでは脆弱性リスクを考慮して1年ほど前から新規のシステム開発に利用していないものの、それ以前のシステムについては切り替えが困難な状況から使い続けざるをえず、今回は1年以上前に開発したシステムが攻撃された模様です。
また、セキュリティコードが抜かれたのは、コードレビュー後の検証が不十分だったことに起因するとのこと。要はプログラムのチェックが甘くて、セキュリティコードが出力されるバグが残っていたということのようですね。
報告書にはいろいろな問題点が書かれていますが、ひととおり目を通した印象では、GMO-PG自体に組織的な、重大な過失があったわけではなさそうです。報告書には理想的な環境と比較しての問題点が書かれていますが、人的資源の問題とか現実的に対応困難な、システム開発・運営を行う会社ならどこも抱えている問題の指摘も多いような印象を持ちました。