結構使っている人が多いと思う。

 邪魔な取っ手が外れるので、家でも収納の面で重宝している。

 一方、不便な点もある。

 1つは取っ手をつけたままコンロにかけると部品が熱で変形する。

 もう1つは、錆でロック解除動作ができなくなる。

 台所用品で錆に弱いのは致命的だが、初期品からずっと改善されて

いない。

 単品売りは3000円ぐらいで余裕で鍋が2つ買える値段で結構

高い。

 鍋を全部捨てることを考えると買わざるを得ないが、これが

メーカーの戦略かと勘繰りたくなる。

 分解清掃すれば治るので、試してみるのもいいと思う。

 

 

 まずは不具合症状から。

 モデルは、すでに5回以上分解されているベテランさんである。

 性懲りもなく、またジャムってしまった。

 正常時は取っ手の両側面のボタンを押し込むと、ロックレバーが

下がり、ロックプレートがせり出す(上図)。

 錆でジャムるとこれが中途半端な位置で止まったり、最悪動かなく

なる(下図)。

 

 分解だが、工具は平口ピンセットがあれば足りる。

 嵌め合いがきつければ、必要に応じて他の工具を使用するとよい。

 

 分解前に、何度かロックボタンを押してロックレバーやロック

プレートを引いてロック解除しておくと分解がやり易い。

 

 まずは取っ手基部のカバーを外す。

 上部がカギ状に曲がっていて引っ掛けて止められているので、

ピンセットを隙間に入れて広げればよい。

 

 

 カバーの内側にねじりバネがあるので引き抜く。

 左右があるので間違えないようにメモすること。

 ついでにロックレバー付け根のピンを押し抜く。

 ロックレバーを外すが、ジャムったままでは結構外しにくい。

 前上にずらすようにして何とか外すこと。

 

 

 ここで、少し力技になるが、一旦ロックしてコイルスプリングを

外す。

 スプリングが飛んで紛失しないように気を付けること。

 そして、カバー内側のピンを押し抜いて、白いスライドを右に

スライドさせて上に抜いて外す。

 スライドについているアームは、ピンが外れやすいので、向きを

確認してメモしておくとよい。

 再度ロックボタンを押して、ロックプレートを引き抜く。

 渋いときは油を差すとよい。

 

 

 ようやく病巣であるロック部が摘出できる。

 グレーのモールドと金属ブロックのユニットがロック部である。

 周囲が錆で赤くなっている。

 ロックプレートを引く抜いてから、スプリングを飛ばさない

ように上に引き抜く。

 熱でロックボタンが変形している場合は、ここで外して変形

部分を削って修理する。

 左右のボタンが嵌め合いで結合しているので、斜めにして

取り外すとよい。

 

 

 ロック部はモールドの3カ所の爪を外して引き抜いて分解する。

 金属ブロックはテーパーになっていて、前後の区別があるので

どちら側が広いか確認してメモすること。

 

 樹脂にローラーが保持されており、これが金属ブロックの

テーパー部分によって狭められて、ロックプレートを締め付けて

固定する仕組みになっている。

 金属ブロックはなぜかスチールを使っていて、ここが錆びると

ローラーの動作が妨げられてジャムることになる。

 ステンレスにすればこんなトラブルは起きたりしないのに。

 

 

 治療だが、金属ブロックの錆を落としてグリスを塗る。

 作例では、小型のワイヤブラシを使用した。

 グリスごときではロックは滑らないので大丈夫(今までは)。

 他にも錆が付いているので綿棒などできれいにする。

 

 治療完了後、元通りに組み立てる。

 前後、左右の区別があるものは、向きを調べて取り付ける。

 わからなければ、ロックボタンを押して動作を確認しながら

組み立てるとよい。

 

 ロックプレート取り付けスプリングを付けるまでは、解除の

確認はロックプレートを引いておこなわないとわからない。

 ロックレバーを取り付けないと、ロック解除後にレバーの

リンクが自動でポップアップしないので、つまんで引いて確認

しなければならない。

 

 他に注意点を挙げておくので注意すること。

 

 スライドのアームの向きを間違えると、ロックレバーの戻りが

悪くなる。

 ロックプレートのねじりバネは、奥まで入れないと、

ロックプレートの戻りが悪かったり、あとで外れて動かなくなる。

 

 うまくできたら、新品を買わずに済んだご褒美に、1000円ぐらい

還元してくれるかもしれない。

 プラモデルライフの資金の足しになることを祈る、がんばれ。