上弦の月、雨の夜。
嫌なことを全て洗い流してくれてるのかな。
人事異動で明日から病棟が変わる最後の日。
かねてから美容院に行くために外出させようとご家族さんが計画しても当日にキャンセルしてしまう患者さんに
わたし、今日が最後だから、一緒に行きましょうって説得して、タクシーに乗って出かけてきました。
カットとカラー、2時間余りのトキ。
待ってる間に、かれこれ20年以上前から大ファンの栗原はるみさんの本を見つけました。
手に取り飛び込んできたコトバ。
Start over
仕切り直し
美しく生まれ変わった姫路城も白鷺城という名のごとく、まぶしく輝いてました。
終わりにすることではなく、新たにスタートすること。
嫌なことがあっても翌日まで引きずらず、気持ちを切り替える。
自分を信じて先にすすむために、ここから始めるという意味を込めた‘Start over’‘’仕切り直し’は、まさに私にぴったりの言葉。
イマのわたしにこそ、まさにぴったりのコトバでした。
お母さんが倒れた1年半前。
わたしの事情を考慮され、異動になってからちょうど1年、受け持ちした患者さんがいます。
こないだ誕生日を迎えるにあたって、ご両親に来て頂いて、一緒にケーキ作りを計画しました。
言葉を失い、行動制限されている中で長期間の入院生活を過ごし
ご家族との関係性の再構築、ご両親から娘である彼女を受けとめる変容のトキを手助けさせて頂きながら、学ばせてもらうことも多くありました。
ケーキ作りを計画したトキは異動になるとは思っていなくて、なんだかお別れ会のようになってしまったことが無性に悲しくて
目の前で喜んでくださるご両親や、一生懸命、ケーキを作る彼女の姿を見ていて、とても複雑なオモイでいっぱいになりました。
お母さんが話して下さいました。
高校生のトキ、パティシエになりたくて、お菓子の専門学校のオープンキャンパスに行ったことがあるんです。
時々、クッキーを作ってくれたりしてたんです。
はー・・そうなんだ。
緊張して手をプルプル震わせながら切り分けてくれたケーキ。
カタチはいびつでも、そこにいるみんなのめいっぱいのオモイがいっぱい詰まってる。
キラキラしてた。
これまで。お父さんが面会に来られたあとに必ずと言っていいほど、不穏行動を起こしたり
何処かに行くにしても、家族よりもわたしとって言ってたり
家には帰りたくないと頑なに言ってた彼女。
筆談や口の動きでしか読み取ることができない彼女。
ケーキを食べ始めたトキ、お父さんを見てしきりに話し始めたコトバ。
お父さん、いつも来てくれてありがとう。
きっとそうだと思った。
きっとそうだと思う。
家族のトキがそこにはあった。
今年もススキの高原は天空のラピュタのように輝いてるらしい。
終わりにすることではなく、新たにスタートすること。
同じように繰り返される季節の流れの中にも毎年、違う顔があるというのに
異動を告げられ、心残りでいっぱいなわたしは
切り替えよう切り替えようと思ってもなかなかうまくいかなくて、どんより曇り空気分でした。
そこへ、このコトバとの出会い。
なんかすっきり。
単純ですからw
自分を信じて先にすすむために、ここから始めるという意味がこもったコトバ。
ほんとそう。
まさにその通り。
明日から11月。
気持ち新たに、このトキを真摯に受けとめていこう。
自分の信じた道をまっすぐ歩いていこう。
自分のルーツな場所で。
うん。
そんな感じ♩
明日はお天気になるといいな。