目に持病を抱える夫。
祈ることしかできないので、眼病に効くという仏さまを見かけるとつい足を伸ばしてしまいます。
そしてそこに通ってみたり。

…などと書くとなんだか良妻のように思えたりしてしまうかとも思いますが、夫にとってはまさに悪妻の鑑で、私もまたその自覚がございます。


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そんな眼病に霊感あらたかといわれる群馬県みどり市の【穴原薬師】さまにお参りしてまいりました。


ここ、穴原薬師堂を知ったのはほんの偶然から。
地元で有名な『貴舩神社』さんへの参拝へと向かう途中で、小さな案内板を見つけたことに始まります。

そしてこちらへ初めての参拝をして、こちらが眼病に効くといわれるお薬師さまであることも知ったくらいでありました。
無住の、お堂自体はあまり大きくはないものの、どういうわけなのか仁王門、しかも十六羅漢さまがおられる楼門を構えた、どこか不思議なお堂であります。

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参拝に来て人と出会ったことはないくらい、貸し切り状態で、高台から見下ろす田園風景の素晴らしさは本当に大好き、…なのですが、なにやら今年は獣臭が漂っており、お参りをしても早々に立ち去ることとなるのですが…。



今回、楼門のシロアリ駆除と草刈りに見えた保存会の会長さまのご厚意で、御本堂と楼門の中を拝観させていただくことができました。

今回初めて知ったのですが、今は地元の保存会の方が維持され運営されているとのことで宗教法人ではないのだといいます。

年一回の大祭には紫陽花で有名な松源寺さんからお坊さんが二人おみえになられるとのことでありました。

御本堂におられる日光月光菩薩さまと十二神将さま。
それはそれは大きくて立派な須弥壇でありました。



かつてはお護摩もなされていたようですが、今は年一回一月の第二日曜日に大祭が開かれる際の御開帳のみだとおっしゃっておられました。





御本尊の薬師如来さま。
お優しいお顔であられます。
お手元を隠された立像は初めて拝見いたしました。



見事な格天井の絵。
優しいタッチの花鳥画で、美しい瑠璃色が印象的でした。
やはりこれは薬師如来さまをお祀りする御堂であることを意識されてのものでありましょうか。
本当に美しい瑠璃色でありました。
この絵の絵師は墨書きなどがなく、絵師名はわからないのだといいます。

また御堂内の柱が全てが美しい円柱でありましたのもまた印象的でありました。



かつては山門の辺りに庵があってそこにご住職がおられたといいます。
信州から来られた名のあるお坊さまであったといい、その頃は大変栄えていたのだが…と寂しそうに保存会の会長さんはおっしゃっておられました。

ここ二年ばかりの間に山門の修理、御本堂の修理が立て続けに行われていましたが、現在の会長さんの代になってからのことのようです。
(ちょこちょこ参拝させていただいていたのでその様子も拝見しておりました)


仁王門、楼門におられます、お釈迦さまと十六羅漢さま。






今回、山門の修理にあたり、新たな棟札を作成して、山門に納めてあるといいます。

こちらはかつての棟札。


昭和六十年の仁王像の解体修理の際に、楼門の修理改築も行われ、その際奉納された絵で構成された格天井。
絵を描かれた方のお名前はわからないとのことでしたが、とても美しい絵で心癒されるものでありました。
一枚一千円の奉納金であったとおっしゃっておられました。



可愛らしいリスなども描かれておりました。見事な白い牡丹の絵は、松源寺さんの和尚さんの奉納されたものでありました。


本日もお読みいただきありがとうございました。