一昨日、中山競馬場で行われました
秋競馬緒戦、第71回京成杯オータム
ハンデキャップは10番人気の最軽量
ハンデ53キロのピコローズがゴール前で
馬群から鋭く抜け出し、2連勝で重賞
初勝利を飾りました。
2着には5番人気のエコロブルーム、
3着には8番人気のドロップオブライトが
入り、1番人気に推されたフォルテ
アンジェロは6着に敗れました。
今週は、中山競馬場で節目となる伝統の
第80回セントライト記念が行われます。
セントライト記念は日本競馬史上初の
三冠馬セントライトを記念して
1947年に創設され、3着までの馬に
菊花賞の優先出走権が付与されます。
昭和期においては関東の菊花賞
トライアルレースという位置づけでしたが
天皇賞(秋)が1984年から走行距離が
2,000mとなり、更に1987年からは
天皇賞が現3歳馬以上の牡馬・牝馬の
出走が可能となったことにより、菊花賞
だけでなく天皇賞(秋)を目指す現3歳馬達
の秋初戦のレースという位置づけに
変わっています。
よって菊花賞を目指す馬のほとんどが
昭和期においては神戸新聞杯または
京都新聞杯からでしたが、今は神戸
新聞杯に出走しています。
昭和期にセントライト記念に勝って
菊花賞を制覇した馬にはトサミドリ、
キタノオー、ハククラマ、キタノオーザ、
グレートヨルカ、アサカオー、
アカネテンリュウ、プレストウコウ、
シンボリルドルフ等、競馬史に名を刻んだ
名馬達の名前がズラリと並びますが、
競馬体系整備の影響か、シンボリルドルフ
が優勝した後、31年間キタサンブラックが
優勝するまで、菊花賞を制覇する馬は
現れませんでした。
そして、その後は一昨年、9年ぶりに
アーバンシックが菊花賞に優勝しています。
思い出のレースは、記憶に残る名脇役
ヌアージターフが優勝した昭和48年
第27回セントライト記念です。
ヌアージターフの父は昭和期を代表する
長距離系種牡馬ガーサントで産駒の
特徴は道悪も上手いが、気性が難しい
馬が多かったという印象があります。
そして代表産駒にはカブトシローと並んで
稀代の癖馬として名高い菊花賞、天皇賞を
制したニットエイト、オークスを制した
ヒロヨシとシャダイターキン、桜花賞馬
コウユウやタイシュウ、ダッシュリュー
ハイプリンス、ヒガシライト、ハイアデス
インターヒカリ、私の記憶に残る馬
ヨドヒーローなど、数多くのクラシックを
はじめとする重賞優勝馬を輩出し、
1973年に引退するまで第一線の
種牡馬として活躍を続けましたが、
後継種牡馬には残念ながら恵まれ
ませんでした。
ヌアージターフはハイセイコー世代である
昭和48年クラシック組で同期には
怪物ハイセイコー、二冠馬タケホープ
天皇賞馬イチフジイサミ、カミノテシオ
覆面の魔王ホウシュウエイトやユウシオ
サンポウ、ニューサント、ディクタボーイ
シルバーランド、クリオンワード、
ホウシュウリッチ、スピードリッチなどの
重賞勝ち馬がいます。
ヌアージターフは旧馬齢3歳7月、後に
ダービーや菊花賞、天皇賞を制する
タケホープや後に天皇賞馬となる
イチフジイサミが出走した東京の
新馬戦でデビューし、タケホープの前に
4着に敗れました。
当時の新馬戦は短距離ばかりで長距離
血統の馬にとっては、相当な実力がない
限り、なかなか早く勝ち上がることは
できませんでした。
ヌアージターフもその後2戦して2着2回と
善戦するも勝ち上がれず、夏の新潟に
遠征して4戦目の未勝利戦で初勝利を
挙げました。
その後、条件特別で善戦するも勝てず
3歳時は、9戦1勝に終わりました。
年が明けて4歳になったヌアージターフは
4歳初戦の条件特別を勝って2勝目を
挙げ、5着を挟んで5月に条件特別を
勝って3勝目を挙げたことで、何とか
ダービーへの出走権を獲得して、怪物
ハイセイコーの出現で大いに盛り上がった
ダービーに出走しましたが、結局7着に
終わりました。
夏を無事に超し、菊花賞に向けて始動した
ヌアージターフは、菊花賞トライアル
セントライト記念に出走しました。
このレースには、ダービー3着で後に
3強と言われた天皇賞馬イチフジイサミ
後の重賞勝ち馬サンポウ、弥生賞、
スプリングステークスで3着に入り、
春のクラシックを賑わせたキクカギョク
リュウ、ストロングエイトの弟ストロング
ナインや大橋巨泉さんの持ち馬
ロックプリンスなどが出走。
1番人気はダービー2着のイチフジイサミ
ヌアージターフは8頭中の6番人気という
低評価での出走となりました。
レースはスタートしてベルロイヤルが逃げ
その後ろからオンワードバリー、サンポウ
が続き、ヌアージターフは中団から、
イチフジイサミは後方からという展開に
なりました。
第4コーナー手前で、外から一気に
イチフジイサミが仕掛けて差を詰め
ヌアージターフは、まだ中団のままで
直線の勝負へ。
内で粘るベルロイヤルを外からイチフジ
イサミが交わしにかかりオンワードバリーも
差し返してくる中、内からヌアージターフが
鋭い脚を使って追い込み、3頭による
叩き合いになりましたが、ゴール前で
ヌアージターフが抜け出してイチフジ
イサミを押さえ、レコードタイムで優勝を
飾り、初重賞制覇を果たしました。
この勝利でヌアージターフは一躍、夏の
上り馬として菊花賞の有力候補に躍り
出ました。
セントライト記念での強い勝ち方と
血統的な背景からも誰もがヌアージ
ターフの菊花賞をはじめ、今後の活躍を
期待しました。
しかし、この勝利がヌアージターフに
とっての最後の勝利になるとは、この時
一体誰が想像したでしょうか。
その後、ヌアージターフは西下し、当時の
菊花賞トライアルレース京都新聞杯に
出走するも9着と惨敗し、そして本番の
菊花賞でも見せ場なく14着に大敗して
しまいました。
東京に戻ったヌアージターフは、当時
存在したクモハタ記念で5着に敗れると
暮れの長距離重賞競走ステイヤーズ
ステークスに参戦しました。
このレースには逃げる精密機械と言われた
トーヨーアサヒ、新潟記念の優勝馬
ヤマテスコや後に障害競走で大活躍する
サクラオンリーなどが出走。
圧倒的1番人気はトーヨーアサヒが推され
ヌアージターフは2番人気での出走と
なりました。
レースはスタートして大方の予想どおり
トーヨーアサヒが先手を取って逃げ、
その後ろからタカジョー、カシハタが続き
ヌアージターフは中団からという競馬に
なりました。
軽快な逃げを展開するトーヨーアサヒを
第3コーナーでヌアージターフが仕掛けて
3番手に上がり、第4コーナーで更に
トーヨーアサヒとの差を詰めて
直線の勝負へ。
逃げ込みを図るトーヨーアサヒをヌアージ
ターフも必死に追い込みましたが、トーヨー
アサヒのスピードは落ちることなく、
トーヨーアサヒが堂々とレコードタイムで
優勝を飾り、ヌアージターフも2着に入る
など実力があることを証明しました。
年が明けて古馬になったヌアージターフは
ハイセイコーとタケホープが参戦した
AJCC杯に出走。
ここでもタケホープの僅差の3着に食い
込むなど、好発進し、
続く目黒記念では斤量軽量のヒロクニに
足下をすくわれたものの、2着に入るなど
やはり距離が長いレースでは実力が
あるところを見せました。
しかし、その後は重賞レースでの常連
として出走するものの、決め手が欠いて
いたのか、距離が合わなかったのか、
なかなか勝ち星には恵まれず、5歳秋の
サンケイオールカマーでイチフジイサミの
2着に入ったのが目立つぐらいでした。
それでも秘めた能力を持ったヌアージ
ターフが出走してくると、いつ大器晩成の
血が開花して穴をあけるのではないかと
不気味な存在として穴党や個性派の
馬ファンには、とても人気がありました。
しかし、その後、目黒記念7着、天皇賞秋
では8着に敗れ、期待を裏切り続けて
しまいました。
年が明けて6歳になったヌアージターフは
ダートの条件特別に2戦するも、ダートが
合わなかったのか、何れも最下位に敗れ
次の芝での条件特別に出走するも、
もう走る気が無くなったかのように、またも
最下位に敗れ、このレースがヌアージ
ターフにとっての最後のレースとなりました。
そして、引退し種牡馬にならなかった
ヌアージターフがその後、どのような
運命を辿ったかについては残念ながら
不明となっています。
晩年のガーサントの代表産駒であった
ヌアージターフは、私にとって記憶に
残る名馬の1頭です。
今週は、中山競馬場で節目となる伝統の
第80回セントライト記念が行われます。
バステール、ゴーイントゥスカイ
アウダーシア、サヴォアフェールに
注目しています。
今週も全人馬の無事を祈りながら
レースを観ます。




