先週、京都競馬場で行われました歴史と

伝統の第173回天皇賞は道中好位を

進んだ1番人気のクロワデュノールが

直線に入って早めに抜け出し、大外から

豪脚を繰り出して追い込んで来た

ヴェンテンベルクとほぼ同時にゴールを

駆け抜け、長い長い写真判定の結果

クロワデュノールがヴェンテンベルクを

ハナ差しのいで優勝を飾り、大阪杯に

続く父子制覇を果たしました。

3200mを走ってハナ差という名勝負に

2頭が優勝でも良いのではと思いながら

見ていました。

あまりの接戦に、まさにクロワデュノール

の1mmかと思いましたが、推定で2センチ

の差とも言われており、それでも近年

稀に見る接戦での決着に感動しました。

これぞ伝統の天皇賞にふさわしい本当に

素晴らしいレースだったと思います。

2着にはハナ差で12番人気のヴェルテン

ベルクが入り、3着には2番人気の

アドマイヤテラが入りました。

今週は東京競馬場で第31回NHKマイル

カップが行われます。

NHKマイルカップは、1953年から

1995年まで東京優駿(日本ダービー)の

トライアル競走として施行されていた

NHK杯を前身としていて、当時クラシック

競走に出走できなかった外国産馬や

短距離系の馬に対し目標となる大レースを

4歳(現3歳)の春季に創設しようという

ことから、1996年に春の4歳(現3歳)馬

によるマイル王決定戦として新設され

ました。

 

思い出の馬は、昭和48年のクラシックで

怪物ハイセイコーに果敢に立ち向かった

名脇役カネイコマです。

カネイコマの父は昭和を代表する

マイラー系種牡馬バーバーで

代表産駒には有馬記念を制した

カネミノブやスルガスンプジョウ、カネミカサ

カネオオエ、ヨネミノル、ハザマファーストの

重賞勝ち馬や中央、地方競馬ともに

多くの活躍馬を輩出しました。

 

カネイコマは青森県の青森牧場で誕生し

兄には昭和44年のNHK杯に勝った

カケハヤテがいます。

カネイコマは昭和48年のクラシック組で

同期には怪物ハイセイコー、ダービー馬

タケホープ、天皇賞馬カミノテシオと

イチフジイサミやホウシュウエイト、

ユウシオ、ヤマブキオー、サンポウ

ホワイトファンテン、ディクタボーイ、

ヌアージターフ、シルバーランド、

スピードリッチなどの重賞勝ち馬がいます。

 

カネイコマは旧馬齢3歳夏の札幌で

デビューし、新馬戦を快勝。

続いてカネイコマは、いきなり格上の

北海道3歳ステークスに挑みましたが

ユウシオの前に7着に終わりました。

その後、東京に戻ったカネイコマは

条件戦で、2戦連続で2着となり3歳戦を

終えました。

 

年が明けて4歳になったカネイコマは

4歳初戦の条件戦で2勝目を挙げ

続く条件特別では後のダービー馬

タケホープの6着に敗れましたが、

条件戦、条件特別を連勝して4勝目を

挙げ、ぎりぎりでクラシックへの出走に

漕ぎつけ、皐月賞に挑みました。

このレースには、大井競馬で6連勝後

鳴り物入りで中央に移籍して弥生賞、

スプリングステークスを連勝し、暗い

世相の中で競馬ブームの立役者となり

後に昭和48年の顔に選出された

怪物ハイセイコーをはじめ、後の天皇賞馬

カミノテシオとイチフジイサミ、西のエース

ホウシュウエイトやディクタボーイ、

ユウシオ、スピードリッチなどが出走。

ハイセイコーが圧倒的1番人気に推され、

カネイコマは6番人気での出走となり、

雨が降りしきる中、重馬場で行われました。

レースは大歓声の中、ゲートが開き、

激しい先頭争いの中、ユウシオが先頭に

立って逃げ、向こう正面でハイセイコーが

3番手に上がり、その後ろからカネイコマと

スピードリッチが続き、ホウシュウエイトは

中団、ディクタボーイとイチフジイサミは

後方からの競馬となりました。

第3コーナーで早くもハイセイコーが

先頭に立ち、それを追ってカネイコマも

仕掛けて2番手に上がって直線の勝負へ。

外に持ち出したハイセイコーを内から

イチフジイサミとシャダイオー、馬場の

真ん中からカネイコマ、大外から

ホウシュウエイトが追い込みましたが、

ハイセイコーがぐんぐん伸びて後続馬を

引き離して優勝を飾り、カネイコマも

ホウシュウエイトとの激しい叩き合いを

演じながら、最後はホウシュウエイトを

振り切って2着に入りました。

皐月賞でハイセイコー相手に大健闘の

2着に入ったカネイコマは現在のNHK

マイルカップの前身である当時ダービー

トライアルだったNHK杯に出走。

このレースには東京コースが未経験との

理由なのか、今では考えられない厳しい

ローテーションでハイセイコーも参戦。

その他にも皐月賞組からディクタボーイ

ニューサント、サンポウ、シャダイオー、

ベルロイヤルなどが出走しました。

1番人気は既に社会現象にもなっていた

ハイセイコーが圧倒的な人気で支持され

皐月賞で2着にはいったカネイコマは

2番人気での出走となりました。

レースはゲートが開き、好スタートを切った

サンポウが先手を取りましたが、すぐに

大外からニューサントが交わして先頭に

立って逃げ、その後ろからサンポウ、

オークスを制した名牝ヤマピットの仔

ボージェストやベルロイヤルが続き、

スタートで若干立ち遅れたハイセイコーは

6番手を進み、カネイコマはハイセイコーを

マークするような展開で進みました。

第3コーナー手前で早くもハイセイコーが

仕掛けて3番手に上がると、カネイコマも

仕掛けてハイセイコーを負かしにかかり、

第4コーナーではハイセイコーがもたつく中

カネイコマが早くも2番手に上がって

直線の勝負へ。

内を通って逃げ込みを図るニューサントを

馬場の真ん中からカネイコマが追い込み

内をついたハイセイコーに伸び脚がなく、

まだ4番手で苦しんでいる中、カネイコマが

鋭く伸びて先頭に躍り出て残り200mに

差し掛かったところで実況の盛山アナも

たまらず「ハイセイコー負けるな、

あと200だ、あと200しかないよ」と当時、

私にはそう聞こえていて、盛山アナが

思わずハイセイコーを応援してしまった

のだと、その後もずっと信じていましたが、

後に実況をよく聞くと

「ハイセイコー負けるか、あと200だ、

あと200しかないよ」と言っていて

「負けるな」ではなく、「負けるか」と

言っていたことが分かり、ちょっと

がっかりしてしまいました。

直線で堂々と先頭に立ったカネイコマ

ついにハイセイコーは敗れると誰もが

思った瞬間、残り100mのところで

内からハイセイコーが信じられないような

奇跡的な一世一代の豪脚を使って

追い込み、ゴール前でカネイコマを捉え

2頭がほとんど同時にゴールしましたが

カネイコマは惜しくもハイセイコーに

アタマ差およばず2着に敗れました。

このハイセイコーとカネイコマによる

NHK杯での死闘は、今でも伝説となって

語り継がれています。

そして迎えた日本ダービー、当時の

ダービーでのフルゲートは28頭であった

ため、日本ダービーは見る側からすると

スタートからいつも壮大で迫力ある

レースが展開されていて、私は毎年

感動して見ていましたが、騎手の立場から

すると、これほど危険なレースはなかった

そうです。

この年のダービーはカミノテシオが出走を

取り消したため、27頭で行われ、

ハイセイコーが圧倒的1番人気に推され

クリオンワードが2番人気、3番人気には

ホウシュウエイトで、カネイコマは血統的に

距離に疑問があると思われのか、

4番人気での出走となりました。

このレースはホワイトファンテン、サンポウ

ニューサント、ユウシオ、スピードリッチ

ボージェスト、チェッカーフラッグなど

多くのスピード馬が出走していたため、

激しい先行争いによって超ハイペースに

なるだろうと予想されていましたが、

その予想どおり、ゲートが開き、スタート

すると激しい先行争いが展開され、

その中からホワイトファンテンがハナを

奪って逃げ、その後ろからニューサント

スピードリッチ、ユウシオ、クリオンワードが

続き、ハイセイコーは当時ダービーに

勝利するための絶対的ポジションと

言われた10番手以内で進み、カネイコマも

ハイセイコーをマークするようハイセイコー

の外側を進みました。

ハイペースでレースが進む中、人気を

背負ったハイセイコーはニューサントを

追って、早くも第3コーナーで仕掛けて

3番手に上がり、カネイコマも先頭集団に

入って直線の勝負へ。

ハイペースの影響で先行馬が総崩れと

なって馬群に沈んで行く中、ハイセイコーも

無謀で過酷なローテーションでの疲れも

ついに出てしまったのか、直線で失速、

場内からは悲鳴があがり、それでも

先行集団の中で唯一3着に頑張って

入りましたが、ついに初の敗北を喫して

しまいました。

カネイコマも直線に入って全く伸びずに

馬群に沈み、15着に大敗してしまいました。

 

その後、カネイコマは故障を発症して

長期休養を余儀なくされてしまいました。

そして1年半の休養後、6歳で復帰した

カネイコマはオープン競走など3戦するも

もう往年の走りを見せることなく敗れ、

静かに引退して競馬場を去りました。

 

引退後、1976年から生まれ故郷青森の

牧場で種牡馬になったカネイコマは、

内国産種牡馬不遇の時代にあって、更に

青森という厳しい環境での種牡馬生活と

なり、勝ち馬を輩出するも代表産駒には

恵まれませんでした。

 

記録によりますと

1987年10月26日、カネイコマは

突然腸ねん転を発症してしまい、治療の

甲斐なく、17年の生涯に幕を下ろし

天国に旅立って行きました。

私にとってカネイコマはハイセイコー時代に

おける記憶に残る名馬の1頭です。

 

今週は東京競馬場で第31回NHKマイル

カップが行われます。

ダイヤモンドノット、ロデオドライブ

アドマイヤクワッズ、エコロアルバに

注目しています。

今週も全人馬の無事を祈りながら

レースを観ます。