昨日、阪神競馬場で行われました

節目となる第70回大阪杯は、道中、

後方からレースを進めた1番人気の

クロワデュノールが、最後の直線で鋭く

伸びて力強く抜け出し、ゴール前で

メイショウタバルを差し切って優勝を

飾りました。

2着には最後まで逃げ粘った3番人気の

メイショウタバル入り、3着には2番人気の

ダノンデサイルが入りました。

今週は、阪神競馬場で牝馬クラシック

第一冠目、桜の女王決定戦、第86回

桜花賞が行われます。

桜花賞は、1939年にイギリスの

「1000ギニー」を範として、最もスピード

のある優秀な牝馬の選定および優秀な

繁殖牝馬を発掘するためのレースとして

4歳(現3歳)牝馬限定の競走「中山四歳

牝馬特別」を創設し、東京優駿競走

阪神優駿牝馬(現優駿牝馬)・横浜農林省

賞典四歳呼馬(現皐月賞)・京都農林省

賞典四歳呼馬(現菊花賞)と共にクラシック

競走のひとつとされました。

1947年からは名称を桜花賞に変更して

京都競馬場で施行されましたが、1950年

からは阪神競馬場で施行されています。

私は、毎年春を告げる満開の桜の中で

若い乙女たちによって繰り広げられる、

華やかさと美しさとスピード感あふれる

桜花賞が大好きです。

 

思い出の馬は、名人武邦彦騎手に初の

クラシックをもたらし、そして牝馬クラシック

初の二冠馬に輝いたアチーブスターです。

 

アチーブスターの父は昭和を代表する

長距離系種牡馬シプリアニで代表

産駒には有馬記念、天皇賞などを制した

女傑トウメイ、疾風の差し足と言われ

皐月賞、ダービーを制したヒカルイマイや

タカツバキ、シンモエダケ、アトラス、

ロッコーイチ、エクセルラナーなどの重賞

勝ち馬の他、地方競馬でも多くの重賞

勝ち馬を輩出しました。

 

アチーブスターは花の昭和47年の牝馬

クラシック組で、同期にはオークス馬

タケフブキ、最優秀3歳そして4歳牝馬に

選出されたトクザクラ、安田記念や

スプリンターズステークスを制した

快速馬キョウエイグリーンや悲運の名牝

タカイホーマ、シンモエダケ、カミノチドリ

などの重賞勝ち馬がいます。

 

アチーブスターは旧馬齢3歳秋の阪神で

デビューして7着に敗れ、その後は

未勝利戦での2着はあったものの、3歳戦

6戦するも勝つことは出来ませんでした。

年が明けて4歳になったアチーブスターは

デビュー以来8戦目となる未勝利戦で

4馬身差をつけて、初勝利を挙げました。

その後、条件特別戦で3戦するも敗退し、

デビュー以来12戦目となる3月の

条件戦で逃げ切りを決め、ようやく

2勝目を挙げました。

その後も条件特別の2戦で惨敗していた

アチーブスターは、格上となる重賞レース

当時の桜花賞トライアル阪神4歳牝馬特別

に強気に参戦すると、12頭中11番人気

ながら、既にシンザン記念を制するなど

7勝を挙げているシンモエダケの4着に

入る好走を見せ、ぎりぎりで桜花賞への

切符を手にしました。

なお、この昭和47年の上旬は馬インフル

エンザの流行により、関東地区の競馬

開催は不能となっていたため、クラシックも

延期となり、4月9日に予定されていた

桜花賞は5月21日に、オークスは

5月21日の予定から7月2日に

ずれ込むなど、混乱をきたしていました。

その影響で桜花賞トライアル阪神4歳

牝馬特別も同様に予定より遅く開催に

なりました。

 

この春のクラシック延期が功を奏したのか

アチーブスターは、ぎりぎりで桜の女王

決定戦、第32回桜花賞に駒を進める

ことが出来ました。

このレースには、シンザン記念や阪神4歳

牝馬特別を制し、既に8勝を挙げている

西の総大将シンモエダケ、京成杯3歳

ステークス 朝日杯3歳ステークスを制して

最優秀3歳牝馬に選出され、馬インフル

エンザを乗り越えて出走してきた東の

総大将トクザクラや後の重賞勝ち馬

キョウエイグリーンなどが出走。

1番人気はシンモエダケ、2番人気は

トクザクラでアチーブスターは名人武邦彦

騎手が騎乗することで、少し期待が持たれ

20頭中8番人気での出走となりました。

この年の桜花賞は、パワーのシンモエ

ダケかスピードのトクザクラかと言われ

この人気の2頭に注目が集まりました。

 

レースはスタートして強引にハナを奪って

キョウエイグリーンが逃げ、その後ろから

センコウクイン、センコウミドリが続き、

トクザクラは4番手から、シンモエダケと

アチーブスターは中団からという展開に

なりました。

キョウエイグリーンが超ハイペースで

他馬を引き離して逃げる中、第4コーナー

手前では、内々を通ってアチーブスター、

外からトクザクラも仕掛けて、徐々に差を

詰めて直線の勝負へ。

逃げ込みを図るキョウエイグリーンを

内からハジメローズ、真ん中からセンコウ

ミドリ、外からトクザクラが交わしに

かかると、内からアチーブスターが豪脚を

繰り出し、まさに異次元の追い込みで

一気に先頭に立ち、後続馬に3馬身差を

つけて圧勝。

重賞初制覇を成し遂げる共に、名人と

言われるもクラシックに縁がなかった

武邦彦騎手に初のクラシック制覇を

プレゼントしました。

通常は桜花賞後、優駿牝馬(オークス)を

目指すことになるのですが、そこまで期待

されていなかったのか、アチーブスターは

オークスへの出走のための登録が

行われていなかったため、オークスを

回避せざるを得ませんでした。

 

秋まで長期休養となってしまい無事に夏を

越したアチーブスターはオープン特別で

復帰するも7着に敗れ、続く神戸新聞杯で

6着後、当時の牝馬クラシック3冠目の

ビクトリアカップの前哨戦、京都牝馬

特別に出走しましたが、精彩を欠き

16頭中の9着に惨敗しました。

そして迎えた牝馬クラシック最終戦、

ビクトリアカップに挑みました。

このレースには、オークス馬タケフブキや

トクザクラは出走せず、今度こそはと牝馬

クラシック制覇を目指すタカイホーマや

春のクラシックを賑わしたシンモエダケや

タイラップなどが出走。

1番人気はタカイホーマが推され、成績が

上がらないアチーブスターは5番人気での

出走となりました。

レースは、スタートして大方の予想どおり

シュウエイホープが先頭に立って逃げ、

これに続く2番手には、いつも後方から

レースを進めるアチーブスターが続く

という予想外の展開となり、スタンドは

騒然となりました。

この2頭が先行して後続馬を引き離して

進むものの、スローペースでの展開となり

人気のタカイホーマは中団からの競馬と

なったため、他の有力馬はタカイホーマを

マークする形で後方から進む形となり、

この位置取りが勝負の明暗を分けることに

なりました。

そして勝負どころの第3コーナーに入った

ところでタカイホーマに異変が発生して

急激に失速し、しかしそこで停止させる

ことが出来ずに第4コーナーまで来るも、

コーナーを曲がり切ることが出来ずに

タカイホーマは崩れ落ちるかのように

転倒し、競走を中止しました。

終始2番手につけてレースを進めた

アチーブスターは、第4コーナーで先頭に

躍り出て、そのまま直線の勝負へ。

人気のタカイホーマが競走中止という

アクシデントの影響を受け、後方から

レースを進めたシンモエダケやタイラップは

追い上げが遅れてしまい、直線でようやく

追い上げてきたタイラップをアチーブ

スターはクビ差おさえて優勝を飾り、

牝馬クラシック二冠を達成しました。

 

その勝利の陰で、競走を中止した

タカイホーマの状態は酷く、脚の

第一指関節完全脱臼、右後ろ脚

浅屈腱断裂を起こしていて、更に折れた

骨が心臓に刺さってしまったことで

出血多量を起こし、それが原因で

死亡してしまいました。

わずか4年にも満たない本当に短い

生涯となってしまいました。

突然起こった悲劇にスタンドはどよめき、

若き名牝の死を多くの人が悼みました。

そして、この勝利がアチーブスターに

とっての最後の勝利になってしまうとは

この時、誰が思ったでしょうか。

牝馬クラシックの二冠を制したアチーブ

スターはトクザクラと共に、この年の

最優秀4歳牝馬に選出されました。

 

その後、年が明けて古馬になったアチーブ

スターは、ビクトリアカップ優勝後、重賞や

オープン競走12戦に参戦しましたが、

まるで4歳で燃え尽きたように、勝つことは

出来ず、それでも現役最後のレース

となった京都記念秋では、14頭中14番

人気という屈辱的な低評価の中で4着に

入り、牝馬クラシック二冠馬の意地を

最後に見せて引退しました。

 

引退後は、1975年から生まれ故郷の

牧場で繁殖牝馬となり、重賞勝ち馬は

輩出することは出来ませんでしたが、

オープン馬2頭をはじめとする勝ち馬を

輩出するなど、繁殖牝馬としても優秀な

成績を残しました。

 

記録によりますと

1984年に別の牧場に移り、1991年に

11番仔を誕生させたまでの記録は

ありますが、その後の記録が見当たらず、

アチーブスターが、その後、どのような

運命を辿ったかは、不明です。

牝馬クラシック二冠を達成し、名人武邦彦

騎手に初のクラシックをもたらす等、

頑張ったアチーブスターが幸せな余生を

おくれたことを、今はただ願うばかりです。

 

今週は、阪神競馬場で春の到来を告げる

牝馬クラシックの第一冠目、桜の女王

決定戦、第86回桜花賞が行われます。

スターアニス、ドリームコア、アランカール

スウィートハピネスに注目しています。

今週も全人馬の無事を祈りながら

レースを観ます。