先週、京都競馬場で行われました歴史と
伝統の第171回天皇賞は1番人気の
ヘデントールが、最後の直線で抜け出すと
追い込んで来たビザンチンドリームを
アタマ差おさえて優勝を飾り、重賞2連勝で
G1初制覇を果たしました。
ビザンチンドリーム、3着には4番人気の
ショウナンラプンタが入りました。
また昨日、実況アナが天皇賞出走馬
15頭を紹介後、天皇賞春に4年連続で
出走し、昨年引退して誘導馬として
第二の馬生を送ることになったディープ
ボンドを一緒に紹介してくれた関西テレビの
粋な計らいに感動しました。
そして、天皇賞の発送直前に実況アナが
「心を痛める悲報から1週間、忘れえぬ
名馬の雄姿を心に刻んで、改めてまず
何よりも人馬の無事完走を切に願います」
と言った言葉に涙が溢れました。
今週は東京競馬場で第30回NHKマイル
カップが行われます。
NHKマイルカップは、1953年から
1995年まで東京優駿(日本ダービー)の
トライアル競走として施行されていた
NHK杯を前身としていて、当時クラシック
競走に出走できなかった外国産馬や
短距離系の馬に対し目標となる大レースを
4歳(現3歳)の春季に創設しようという
ことから、1996年に春の4歳(現3歳)馬
によるマイル王決定戦として新設され
ました。
思い出の馬は、社台ファームの期待の星で
幻のダービー馬とも言われたノーザン
テーストの仔 アスワンです。
アスワンの父は、日本競馬の血統を大きく
塗り替えたと言われた名種牡馬ノーザン
テーストで、代表産駒にはダービー馬
ダイナガリバー、有馬記念を制した
アンバーシャダイ、天皇賞馬ギャロップ
ダイナ、オークス馬ダイナカール、シャダイ
アイバー、アドラーブル、桜花賞馬シャダイ
ソフィアやダイナアクトレス、ダイナレター、
マチカネタンホイザ等、挙げれば切りが
ない程の重賞勝ち馬を世に送り出しました。
アスワンは昭和57年のクラシック組で
同期にはダービー馬バンブーアトラス
皐月賞馬アズマハンター、菊花賞馬
ホリスキー、黄金の馬ハギノカムイオー
幻の三冠馬サルノキングやワカテンザン
ホスピタリティ等の重賞勝ち馬がいます。
アスワンは旧馬齢3歳秋の中山ダートの
新馬戦でデビューし、ダートでスピードが
殺されたのか、評判馬として1番人気に
推されましたが、2着に敗れてしまいました。
しかし、続く芝の新馬戦では評判通りの
強さを見せて快勝し、初勝利を挙げました。
年が明けて4歳になったアスワンはまだ
1勝馬に過ぎませんでしたが、格上の
京成杯に挑戦。
このレースでは条件特別戦で後の
皐月賞馬アズマハンターをやぶった
コンゴウサバンナが1番人気に推され
実績が無かったアスワンは6番人気という
低評価での出走となりました。
レースはサクラサワヤカがハイペースで
逃げ、アスワンは最後方からの競馬と
なりました。
サクラサワヤカが先頭で第4コーナーを
回る時点でアスワンは、まだ後方のままで
最後の直線の勝負へ。
直線に入ってキョウエイダッシュが先頭に
立ち、ダッシングハグロも内から鋭く
伸びてくる中、後方にいたアスワンが
内をついて、豪脚を繰り出して追い込み、
キョウエイダッシュを一気に交わして
先頭に立つと、内から鋭く伸びて来た
ダッシングハグロをアタマ差おさえて
優勝を飾り、わずか3戦目で初重賞制覇を
成し遂げると共に一躍関東のクラシック
候補に名乗りを挙げました。
しかし、レース後、豪脚を繰り出しての
勝利の代償なのか、脚部不安を発症して
しまいましたが、懸命の治療により、
クラシックの登竜門、弥生賞には何とか
参戦することが出来ました。
このレースには関西の怪物サルノキングを
はじめ、関東の期待の星イーストボーイ
もっか3連勝中のアサカシルバー等が
出走し、1番人気はサルノキングで
アスワンは3番人気に支持されました。
レースは向こう正面で仕掛けたサルノ
キングが直線で抜け出し、必死に追い
込んできたアサカシルバーを抑えて優勝。
直線でアスワンも鋭く伸びて来たものの、
離れた3着に敗れました。
そして迎えた本番のクラシック初戦の
皐月賞は、大本命のサルノキングが脚の
故障で戦線離脱するなかで行われ、
アスワンは3番人気に支持されたものの
アズマハンターの前に8着に終わりました。
次にアスワンはダービーへの出走権を
かけて、当時はダービートライアルだった
NHK杯に参戦。
このレースには皐月賞を制したアズマ
ハンター、皐月賞で1番人気に推された
華麗なる一族の黄金の馬ハギノカムイオー
後のダービー馬バンブーアトラス、快速馬
ロングヒエン、後の重賞勝ち馬トウショウ
ペガサスやタカラテンリュウ等の豪華
メンバーが出走し、1番人気はアズマ
ハンターでアスワンは7番人気での出走と
なりました。
レースは快速馬ゲイルスポートがハナを
奪って大逃げをうち、2番手にハギノ
カムイオー、3番手にロングヒエンの快速馬
3頭が等間隔で進み、その後ろから
バンブーアトラス、そしてアズマハンターと
アサカシルバーは中団から、アスワン、
ワカテンザンは後方からという展開に
なりました。
第4コーナーで後続馬も仕掛けて差を詰め
直線の攻防へ。
最後の直線に入ってハギノカムイオーが
一旦先頭に立つと、今度はロングヒエンが
ハギノカムイオーを交わして先頭に立ち
ましたが、内からアスワン、真ん中から
アサカシルバー、外からアズマハンターが
追い込んで3頭による叩き合いとなり、
最後はアスワンがアズマハンターをクビ差
抑えて優勝を飾り、ダービーへの出走権を
獲得すると共に2つ目の重賞を
獲得しました。
ダービーでの活躍も期待されたアスワン
でしたが、その後のレントゲン検査で
種子骨の骨折が判明し、ダービーへの
出走が出来なくなっただけでなく、再び
競馬場に戻って来ることも出来ません
でした。
NHK杯でアスワンは皐月賞馬アズマ
ハンターに勝っただけでなく、この後
ダービーに優勝するバンブーアトラスを
6着にやぶっていたため、アスワンは
その後、幻のダービー馬とも言われる
ようになりました。
引退後、北海道に帰って種牡馬となった
アスワンは内国産種牡馬不遇の時代に
あっても、当時リーディングサイアーと
なっていた父ノーザンテーストの仔として
日高地方の中小牧場を中心に人気を集め
初年度産駒からは高松宮杯に優勝し、
ダービーや天皇賞でも僅差の2着などの
活躍をしたメジロアルダンを送り出し、
その後もリリーズブーケ、ツルマイアスワン
グリーンサンダー、パーソナリティワン等の
重賞勝ち馬を輩出する等、内国産馬として
優秀な成績を残しました。
記録によりますと
アスワンは2004年に用途変更となり
その後は行方不明となってしまって
いるのが、本当に残念です。
重賞に勝ち、種牡馬としても活躍した
アスワンが天寿を全うした最期を
迎えたことを、今は祈るばかりです。
今週は、東京競馬場で節目となる
第30回NHKマイルカップが行われます。
アドマイヤズーム、アルテヴェローチェ、
イミグラントソング、マピュースに注目して
います。
今週も全人馬の無事を祈りながら
レースを観ます。



