昨日、中山競馬場で行われました第99回

中山記念は2番人気のシックスペンスが

直線で抜け出してレコードタイムで優勝。

昨年の毎日王冠に続く重賞2連勝で、

重賞3勝目を挙げました。

2着には3番人気のエコロヴァルツが入り

1番人気のソウルラッシュは3着に

敗れました。

今週は中山競馬場でクラシックの登竜門

第62回弥生賞ディープインパクト記念が

行われます。

弥生賞ディープインパクト記念は

1964年に弥生賞という名称で4歳

(現3歳)馬限定の重賞競走として

創設されました。

施行距離やコースは幾度かの変遷を経て

1984年より皐月賞と同じ中山競馬場

芝2000mとして行われ、これにより

クラシック戦線に直結する重要な前哨戦

として位置づけられています。

2020年からは、2019年に亡くなった

名馬ディープインパクトの功績を称え

同馬の重賞初勝利となった弥生賞の

競走名を改称し、弥生賞ディープインパクト

記念として開催されることになりました。

そして長年に渡り、このレースの優勝馬

からはダービーをはじめとする数多くの

クラシック優勝馬が誕生しています。

 

思い出の馬は、数奇な運命に翻弄された

西から来た凄い馬サルノキングです。

サルノキングの父はテュデナムで代表

産駒にはホスピタリティ、テュデナムキング

キョウエイボーガン等、重賞勝ち馬を多く

輩出しました。

サルノキングは昭和57年のクラシック組で

同期にはダービー馬バンブーアトラス、

皐月賞馬アズマハンター、菊花賞馬

ホリスキー、華麗なる一族のハギノ

カムイオーやワカテンザン、アスワン

ロングヒエン、アサカシルバー等がいます。

サルノキングは旧馬齢3歳秋の阪神で

デビューし、最初の新馬戦では3着に

敗れたものの、2戦目の新馬戦を

快勝すると条件特別、京都3歳ステークス

オープンの3歳ステークスに勝って

4連勝を飾り、一躍クラシック候補に

名乗りを挙げました。

しかし、続いて出走した当時の関西3歳

チャンピオン決定戦、阪神3歳ステークス

では直前に体調不良となり、出走を取り

消してしまいました。

年が明けて4歳になったサルノキングは

馬体を立て直してクラシックに向けて東上し

東京4歳ステークスに参戦しました。

関西からスケールの大きい凄い馬が

やって来たと評判になる中、関東勢では

3歳チャンピオンのホクトフラッグが故障で

戦列を離脱したため、京成杯3歳

ステークスを勝ったアローエクスプレスの仔

イーストボーイが迎え撃ち、1番人気は

サルノキングで、イーストボーイは2番人気

となりました。

レースはサクラサワヤカが逃げる中

第3コーナーで早くもサルノキングが

仕掛け、サクラサワヤカに並びかけて

直線の攻防へ。

直線に入ったサルノキングは手綱を

持ったままで先頭に立って脚を伸ばし、

内から必死に追い込んで来るイースト

ボーイをおさえて圧勝。

力の違いを見せつけると共に重賞

初制覇を果たしました。

続いてサルノキングはクラシックの登竜門

当時の弥生賞に駒を進めました。

このレースには雪辱を期すイーストボーイ

京成杯を制したアスワンや3連勝中の

アサカシルバー等、関東の有力馬が

出走したものの、サルノキングが圧倒的な

1番人気に支持されました。

レースは東京4歳ステークスと同じように

サクラサワヤカの逃げで始まり、

その後からサルノキングが続き、アスワン

イーストボーイ、アサカシルバーは

中団からの競馬となりました。

向こう正面でサルノキングが抑えきれない

ように、早くもサクラサワヤカを交わして

先頭に立つとイーストボーイ、アサカ

シルバーも仕掛けてサルノキングとの

差を詰めて直線の勝負へ。

最後の直線に入って外をまわったサルノ

キングが差を広げようとする中、アサカ

シルバーも必死に追い込みを図りましたが

サルノキングがアサカシルバーをおさえて

圧勝。

重賞2連勝を飾ると共にクラシックの

最有力候補に躍り出ました。

続いてサルノキングは自身の運命を変える

こととなるスプリンターズステークスに

出走しました。

このレースには関西から新たに華麗なる

一族として2連勝中のハギノカムイオーと

きさらぎ賞を制したワカテンザン、そして

関東のアズマハンターが参戦し、ここでも

サルノキングが1番人気に支持されました。

力のサルノキングかスピードのハギノ

カムイオーか、関西両雄の対決が注目

される中、後世に語り継がれる疑惑を

呼んだレースがスタートしました。

スタートしてまもなく、ハギノカムイオーは

いつものように先頭に立つとハギノ

カムイオーに競っていくのではないかと

見られていたサルノキングは予想に反して

ハギノカムイオーから20馬身以上離れた

最後方から進むというレース展開となり、

場内は騒然となりました。

そしてその後サルノキングは第3コーナー

の手前で突然加速して、まさに異次元の

スピードで一気に先頭集団に取り付いた

ため、場内はまたしても騒然となりました。

私もテレビで観戦していましたが、まさに

1頭だけ別次元の走りに唖然となり、

このままサルノキングがもし勝ったならば、

この馬は怪物を通り越して化け物だと

思って観ていました。

軽快に逃げるハギノカムイオーを追って

ワカテンザン、アズマハンターも一気に差を

詰めて直線の勝負へ。

逃げ込みを図るハギノカムイオーを内から

ワカテンザン、外からサルノキングとアズマ

ハンターが猛然と追い込みましたが、

ハギノカムイオーが振り切って優勝を飾り

3連勝で重賞初制覇を果たしました。

サルノキング僅差の4着は確保したとは

いえ、このサルノキングの不可解なレース

ぶりは波紋を呼び、田原騎手の無謀な

騎乗は世間から大批判を浴びることに

なりました。

サルノキングがハギノカムイオーと同じ

馬主の所有馬であったことから、本賞金

の足りないハギノカムイオーに皐月賞の

出走権を確保させるため、サルノキングを

故意に後方からレースを進ませて負け

させたという八百長ではないかとの疑念が

マスコミやファン、関東の調教師から巻き

起こりました。

これが世にいうサルノキング事件です。

レース後、サルノキングに騎乗した田原

騎手は、これは決して八百長ではない

という弁明に終始しました。

後に田原騎手は自らの著書で「向こう

正面でペースが遅いと判断したため、

徐々に上がるイメージでハミ圧を少し

上げたところサルノキングが過剰反応し

一気に引っ掛かってしまった」と説明して

います。

 

レース後、サルノキングはレース中に

重度の骨折をしていたことが判明。

サルノキングは骨折から復帰することは

できず、そのまま競走馬として引退を

余儀なくされてしまいました。

サルノキングはスケールが大きくて

素晴らしい競走馬だっただけに、もし

無事であったならば、クラシックを大いに

賑わしてくれたのではないかと思うと

今でも本当に残念です。

 

引退後、サルノキングは種牡馬となり

代表産駒には恵まれなかったものの、

内国産種牡馬不遇の時代にあって

勝ち馬を出すなど、頑張ったと思います。

そして1993年10月付で用途変更という

名のもとに種牡馬を引退しましたが、

その後処分されたとの情報もある等、

処分されたことが事実であるならば

本当に残念だし悲しい限りです。

波乱万丈の馬生だったサルノキング、

今の時代なら静かな余生を送れたのでは

ないかと思うと返す返すも残念でなり

ません。

 

今週は中山競馬場でクラシックの登竜門

第62回弥生賞ディープインパクト記念が

行われます。

ナグルファル、ヴィンセンシオ、

ミュージアムマイル、ファウストラーゼンに

注目しています。

今週も全人馬の無事を祈りながら

レースを観ます。