昨日、東京競馬場で行われました
国内外から強豪が集まった世界頂上決戦
第45回ジャパンカップは天皇賞秋と
同じように後方からレースを進めた
1番人気のドウデュースがスローペースを
ものともせず直線で豪快に伸びて、差し
返してきたシンエンペラーとドゥレッツアを
力でねじ伏せて優勝を飾り、天皇賞秋に
続いてG1連勝を果たしました。
2着にはジャパンカップ史上初めての同着で
欧州帰りの8番人気のシンエンペラーと
7番人気のドゥレッツァが入りました。
今週は、中京競馬場で第25回
チャンピオンズカップが行われます。
日本において1970年代より世界に
通用する強い馬づくりが提唱され、
1981年には念願の国際招待競走
ジャパンカップが創設されました。
その後1995年より中央競馬と地方競馬
との交流が飛躍的に拡大されるように
なるとダートにおける重賞競走が注目され
日本のダート競走においてもダートの
国際競走を開催しようという気運が高まり
を見せ、2000年にチャンピオンズカップ
の前身となる日本初のダート国際招待
競走ジャパンカップダートが創設され
ました。
そして2014年からは施行場を阪神から
中京競馬場に移行し、これを機に名称も
チャンピオンズカップに変更され、また
回次についてはジャパンカップダートから
引き継いで通算されることになりました。
思い出の馬は安定感抜群で最優秀ダート
ホースに2回輝き、記念すべき第1回
優勝馬となったウイングアローです。
ウイングアローの父はノーザンダンサー系
種牡馬アサティスで代表産駒には
ダート重賞を勝ったスマートボーイや
帝王賞、かしわ記念の優勝馬ボンネビル
レコード等がいて、多くのダートの名馬を
輩出しています。
ウイングアローは旧馬齢4歳の京都で
デビューし、新馬戦では3着と2着に敗れ
ましたが、3戦目の名古屋競馬場で
行われた中央交流競走で圧勝し、
初勝利を挙げました。
その後5戦目の条件レースで2勝目を挙げ
続く京都で行われましたオープン特別に
出走しましたが16頭中13着に大敗した
ことで、その後はひたすらダート路線を
歩むことになりました。
そして東京で行われたオープン特別に
勝って3勝目を挙げると、続く名古屋で
行われました統一重賞の名古屋優駿に
勝って、重賞初勝利を挙げると、続く
旭川の統一GⅢグランシャリオカップ、
中山でのユニコーンステークス、大井での
スーパーダートダービーと重賞競走を
4連勝し、ダート競走で5連勝を飾りました。
この成績が評価され、1998年の最優秀
ダートホースに選出されました。
年が明けて古馬となったウイングアローは
更なる活躍が期待されましたが、球節や
膝などの脚部不安により、満足な調整が
出来ず、5戦して善戦はしたものの
勝つまでには至りませんでした。
年が明けて6歳になったウイングアローは
平安ステークスで5着となった後、GⅠ競走
となったフェブラリーステークスに出走。
このレースにはクラシックを賑わしたキング
ヘイローや岩手の英雄メイセイオペラ、
シンボリインディ等の芝・ダートにおける
精鋭達が顔を揃え、ウイングアローは4番
人気で出走しました。
レースはオリオンザサンクスが逃げ、
メイセイオペラが先行する中、ウイング
アローは最後方からの競馬となりました。
直線に入ってメイセイオペラが抜け出して
先頭に立ち、このままメイセイオペラの
優勝かと思われた瞬間、大外からウイング
アローが豪脚を繰り出して一気に差し切り
GⅠ初優勝を飾りました。
続く大井での帝王賞は5着に敗れたものの
旭川で行われたブリダーズゴールドカップに
優勝して6つ目の重賞を獲得。
その後盛岡で行われたマイルCS南部杯を
2着とした後、現在のチャンピオンズカップ
の前身である2000年に新規創設された
記念すべき第1回ジャパンカップダートに
駒を進めました。
記念すべき第1回このレースには、国際
招待馬として米国のユーカーとロード
スターリング、砂の女王ファストフレンド、
エリザベス女王杯馬サンドピアリスを母に
持つタマモストロングやサンフォード
シチー、そして大井からは東京ダービー馬
オリオンザサンクス等が出走し、1番人気は
ファストフレンドでウイングアローは4番
人気での出走となりました。
レースはレギュラーメンバーがハナを奪って
果敢に逃げ、米国のロードスターリングが
続き、ファストフレンドは中団から、ウイング
アローは後方からの競馬となりました。
向こう正面ではレギュラーメンバーとロード
スターリングが3番手以下をかなり離す
展開でレースが進みました。
第3コーナーでウイングアローが仕掛け
第4コーナーでは3番手まで上がり
レギュラーメンバーが先頭で直線の勝負へ。
直線に入って逃げるレギュラーメンバーを
ウイングアローが鋭く伸びて、あっと
いう間に交わして先頭に立つと、更に
2番手以下を引き離してレコードタイムで
圧勝し、初代王者に輝きました。
年が明けて7歳になったウイングアローは
G1優勝の勢いのまま、連覇を目指し
フェブラリーステークスに参戦。
いつものように後方からレースを進めた
ウイングアローは直線で豪脚を繰り出して
追い込んだものの、先に抜け出した
ノボトゥルーに僅かに及ばず2着に敗れ、
連覇はなりませんでした。
その後、8月に旭川で行われたブリダーズ
ゴールドカップでは1番人気に応え、
連覇を達成しました。
そして、秋に入り連覇を目指してジャパン
カップダートに参戦しました。
このレースには4歳の新鋭、開放の使者
白い怪物の異名を取ったクロフネが
出走して1番人気に推され、ウイング
アローは3番人気での出走となりました。
レースはディグフォーイットが逃げ、
ノボトゥルーは3番手につけ、クロフネは
中団から進み、末脚にかけるウイング
アローは例にとって後方からの競馬と
なりました。
第3コーナーの手前でクロフネが一気に
仕掛けて3番手に上がり、第4コーナー
手前では桁違いの脚で先頭にたって
直線へ。
直線に入るとクロフネは更に脚を伸ばし
ウイングアローも外から豪脚で追い込み
レコードタイムとなった前年と同じタイムで
駆け抜けましたが、クロフネがウイング
アローに7馬身差をつけるレコードタイムで
圧勝し、ウイングアローの連覇は
なりませんでした。
そしてこのレースがウイングアローに
とっての最後の見せ場となりました。
その後、ウイングアローは暮れの大井で
行われた東京大賞典で1番人気に推され
ましたが、10着に敗れてしまいました。
年が明けて8歳になったウイングアローは
現役を続行し、昨年同様にフェブラリー
ステークスに出走しましたが9着に終わり
このレースを最後に引退しました。
通算成績は30戦11勝 2着7回 3着5回
掲示板を外したのは僅か3回という
好成績を残しました。
引退後は2002年から北海道の牧場で
種牡馬生活を送り、中央での重賞勝ち馬
には恵まれませんでしたが、地方競馬では
重賞勝ち馬を輩出しました。
記録によりますと
2014年10月1日付でウイングアローは
用途変更されて種牡馬を引退し、その後は
功労馬繋養展示事業の助成を受け、
功労馬として余生を送りました。
そして2019年11月21日未明、
老衰のため、24年間の生涯を終え
静かに天国へと旅立って行きました。
今週は、中京競馬場で第25回
チャンピオンズカップが行われます。
ダート重賞戦線は芝からの転向組もいる等
毎回非常に難しいレースになります。
ラストランとなるレモンポップ、ウイルソン
テソーロ、サンライズジパング、
ペプチドナイルに注目しています。
今週も全人馬の無事を祈りながら
レースを観ます。



