昨日、京都競馬場で行われました伝統の
第49回エリザベス女王杯は3番人気の
スタニングローズが直線で力強く抜け出し
2022年の秋華賞以来、約2年1ヶ月ぶり
の勝利と共に2度目のG1タイトルを獲得
しました。
デムーロ騎手、本当に小細工や無理を
しない見事な騎乗でした。
2着には12番人気のラヴェル、3着には
3番人気のホールネスが入り、圧倒的1番
人気のレガレイラは5着に敗れました。
なお、レガレイラに騎乗したルメール騎手は
最後の直線で十分な間隔がないにも
関わらず、先行馬を追い抜いたことにより
ハーパーとシンティレーションの進路に
影響を与えたことで5万円の過怠金を
科せられました。
テレビで見ていて、大事故が起きても
不思議でないくらいの危険な騎乗であり
人馬共に怪我がなく無事に終わって本当に
良かったです。
今週は、京都競馬場で第41回マイル
チャンピオンシップが行われます。
日本競馬は長年にわたり強い馬づくりを
目指すため、長距離の競走を重要視して
行って来ました。
しかし、世界競馬において、スピード
能力も重要視されるようになって来たこと
を受け、日本中央競馬会は1984年に
競走体系の全面的な見直しを行い、
短距離競走の充実を図る目的でマイル
チャンピオンシップ競走を創設しました。
現在、春に行われる安田記念と共に
秋に行われるマイル王決定戦という
位置づけで行われています。
思い出の馬は遅咲きの花、電光石火の
豪脚と言われた第7回優勝馬パッシング
ショットです。
パッシングショットの父は、昭和を代表する
名馬、天馬トウショウボーイで、兄には
小倉記念等を勝ったスナークアロー等が
います。
パッシングショットは昭和63年の牝馬
クラシック組で、同期には桜花賞馬
アラホウトク、オークス馬コスモドリーム
エリザベス女王杯馬ミヤマポピーや
シヨノロマン等がいます。
パッシングショットは旧馬齢3歳の中京で
デビューし、緒戦の新馬戦は2着だった
ものの、2戦目の新馬戦で初勝利を
挙げました。
年が明けて4歳となったパッシング
ショットは条件戦で2着を連続3回する等、
なかなか勝ちきれず、春の牝馬クラシック
に参戦することは叶いませんでした。
秋に入り、条件特別を圧勝して2勝目を
挙げ、連闘で牝馬クラシック最終戦、
エリザベス女王杯に7番人気で挑み
このレースはミヤマポピーから離された
9着に終わりました。
しかし、続く条件特別では4馬身差を
つけて快勝し、3勝目を挙げました。
年が明けて古馬になったパッシング
ショットは古馬の牡馬や牝馬が出走する
重賞競走に挑みましたが、京都牝馬
特別やマイラーズカップで2着、京王杯
スプリングカップで3着等、善戦はする
ものの、なかなか勝ちきれず、結局
この年は未勝利に終わりました。
年が明けて6歳になったパッシングショット
は現役を続行したものの、オープン特別
競走でも、重賞競走でも相変わらず惜敗が
続きました。
阪急杯で5着に入ったパッシングショットは
デビューの地である中京に遠征し、
CBC賞に参戦すると、6番人気ながら
直線で好位から鋭く伸びて、追い込んで
来た断然1番人気のバンブーメモリーを
おさえて、レコードタイムで快勝し、初重賞
制覇を果たしました。
しかし続く高松宮杯ではバンブーメモリーの
返り討ちにあい、10着に大敗してしまい
ました。
秋に入り、パッシングショットはスワン
ステークスに出走し、ナルシスノワールを
とらえ切れずに2着とした後、秋のマイル王
決定戦、マイルチャンピオンシップに駒を
進めました。
このレースには安田記念や高松宮派杯を
制した宿敵バンブーメモリー、前走の
スワンステークスを快勝したナルシスノ
ワール、後のマイル王ダイタクヘリオス等
が出走し、圧倒的な1番人気はバンブー
メモリーでパッシングショットは10番人気
での出走となりました。
レースはスタート時、パッシングショットが
立ち遅れる中、ナルシスノワールが逃げ
バンブーメモリーは中団のやや後方から
進み、パッシングショットは後方からの
競馬となりました。
第4コーナーでバンブーメモリーが先頭
集団に上がる中、パッシングショットは
まだ後方のままで、直線の勝負へ。
直線に入ってホリノウイナーが先頭に立ち
ラッキーゲランが内をついて伸びてくる中
1番人気のバンブーメモリーが馬群を
割って猛然と追い込み、先頭に躍り
出ようとした瞬間、外からパッシング
ショットがものすごい末脚を繰り出して
追い込み、あっという間にバンブー
メモリーを交わしてゴール板を駆け抜け
初のG1優勝を果たしました。
そしてパッシングショットは秋に開催されて
いたスプリント王決定戦、スプリンターズ
ステークスに出走しました。
1番人気は雪辱を期すバンブーメモリーで
パッシングショットは2番人気での出走と
なりました。
レースは、スタート時にパッシングショットが
立ちあがって大きく出遅れてしまい、
短距離レースでは致命傷となる出遅れで
先頭からかなり離された最後方からの
競馬となりました。
直線に入ってバンブーメモリーが馬群を
割って抜け出して優勝を飾る中、全くの
圏外に居たパッシングショットも大外から
豪脚を繰り出して必死に追い込み、結果は
8着に終わったものの、驚異の上り時計
での豪快な追い込みは後に奇跡の8着と
称える人もいました。
しかし、このレースがパッシングショットに
とっての引退レースとなりました。
引退を決めたパッシングショットは北海道の
浦河町の牧場で繫殖牝馬となり、マイルの
名牝の2世誕生が期待されました。
しかし、1992年5月14日
初年度の相手に選ばれたニッポーテイオー
との種付け準備中に転倒してしまい、
頭蓋骨を骨折して死亡し、あっという間に
天国に駆け上がってしまいました。
享年8歳という若さでした。
パッシングショットは現在、新ひだか町の
桜舞馬公園で静かに眠っています。
今週は京都競馬場で秋のマイル王決定戦
マイルチャンピオンシップが行われます。
英国のチャリン、ジュンブロッサム
ブレイディヴェーグ、ナミュールに注目して
います。
今週はあのような危険な騎乗が無いように
全人馬の無事を祈りながらレースを観ます。


