先週、東京競馬場で行われました春の

マイル王決定戦第74回安田記念は

香港からの2頭を含め18頭立てで行われ

1番人気の香港馬ロマンチックウォリアー

が、最後の直線で前が開いたところを鋭く

抜け出し、外から追い込んで来た

ナミュールやソウルラッシュを振り切って

優勝。

G1を5連勝すると共にG1競走通算

8勝目を飾りました。

2着には4番人気のナミュール、3着には

2番人気のソウルラッシュが入りました。

初めてのコースに左回り、返し馬での

入れ込みや発汗などの不安材料を

ものともせずに勝ったロマンチック

ウォリアーには恐れ入りました。

今週は、G1競走がひと休みとなり、

東京競馬場で第41回エプソムカップが

行われます。

エプソムカップは1983年に東京優駿

(日本ダービー)が50回を迎えたのを機に

東京競馬場と英国ダービーが開催される

エプソム競馬場が姉妹競馬場として提携

した際に記念植樹(東京競馬場からは桜、

エプソム競馬場からは柏が贈られた)と

カップの交換が行われ、これを記念に

1984年からエプソムカップが創設され

ました。

 

思い出の馬は昭和60年第2回優勝馬

スズマッハです。

スズマッハは昭和59年のクラシック組で

同期には三冠馬で日本の競馬史上

における最強馬とも言われる皇帝シンボリ

ルドルフ、ライバルだったビゼンニシキ、

宝塚記念等を6つの重賞を制した従兄弟の

スズパレードやニシノライデン等がいます。

スズマッハは旧馬齢3歳の暮れの中山で

デビューし、初戦は敗れたものの2戦目の

新馬戦に勝つと年が明けて4歳初戦の

特別戦にも勝って2連勝し、関東の

クラシック戦線に名乗りをあげました。

しかし、この年のクラシック戦線はシンボリ

ルドルフとビゼンニシキ2頭による対決の

様相を呈していました。

スズマッハは初の重賞競走皐月賞トライ

アル、スプリングステークスに出走し

ビゼンニシキに敗れたものの、3着に

健闘しました。

しかし、続く皐月賞ではシンボリルドルフの

7着に敗れ、そしてダービー出走を目指し

当時のダービートライアルだった

NHK杯に出走しましたが、ビゼンニシキの

6着に敗れてしまい、2頭の実力馬の

高い牙城を崩すことはできませんでした。

それでも何とか日本ダービーに駒を進めた

スズマッハでしたが、クラシック戦線での

成績不振から21頭中20番人気と低評価

での出走となりました。

馬場のコンディションが悪い中、

日本ダービーは行われました。

シンボリルドルフとビゼンニシキの一騎打ち

ムードの中で、スタートして果敢に

逃げたのは20番人気のスズマッハでした。

思い切って逃げに出たスズマッハでしたが

誰もがスズマッハは直線で失速だろうと

予想する中、直線に入って内をついた

スズマッハはスピードが衰えず逃げ粘り、

あわや大金星かと思われましたが、

ゴール前で真ん中をついて伸びて来た

皇帝シンボリルドルフには交わされた

ものの、2着に入るという大健闘を

見せました。

皇帝シンボリルドルフ相手にダービーで

2着に健闘したスズマッハは秋の飛躍を

期待されました。

夏を休養したスズマッハは菊花賞を目指し、

セントライト記念で再びシンボリルドルフに

挑みましたが3着に敗れ、続く京都新聞杯

でも3着に敗れる等、なかなか勝つまでには

至りませんでした。

結局、本番の菊花賞や暮れの有馬記念で

善戦するも、またしてもシンボリルドルフの

後塵を拝して4着となり、この年のレースを

終えました。

年が明けて古馬になったスズマッハは休み

明けのぶっつけで安田記念に挑み、

短距離の王者として君臨していたニホン

ピロウィナーの2着に食い込みました。

そしてエプソムカップに参戦すると、

トップハンデ58キロとなりましたが、

これまでの戦績や出走メンバーからも当然

圧倒的1番人気に推されました。

レースはキョウエイレアが逃げる中、

スズマッハは2番手を追走し、直線に入ると

鋭く脚を伸ばして先頭に立ち、大外から

追い込んで来たハーバークラウンを力で

ねじ伏せ、格の違いを見せて1年半ぶりに

優勝して3勝目を飾り、待望の重賞制覇を

果たしました。

ところがこの勝利がスズマッハの最後の

勝利となってしまいました。

続いて高松宮杯に参戦し、1番人気に

推されましたが11着に大敗してしまい

ました。

これでツキが落ちたのか、その後

スズマッハは重賞レースに出走するも、

突然燃え尽きたように惨敗を重ね、6歳で

出走した天皇賞秋での13着を最後に

引退し、北海道のイーストスタッドで

種牡馬入りしました。

しかし、代表産駒には恵まれず、2000年

からは功労馬としてイーストスタッドで

余生を過ごしました。

そして2010年3月24日、スズマッハは

29歳で静かにこの世を去りました。

今週は、東京競馬場で第41回エプソム

カップが行われます。

グランディア、アルナシーム、サイルーン、

トゥデイイズザデイに注目しています。

今週も全人馬の無事を祈りながら

レースを観ます。