先週、東京競馬場で行われました春の

古馬牝馬マイル王決定戦、第19回

ヴィクトリアマイルは津村騎手騎乗の

14番人気のテンハッピーローズが最後の

直線で外から豪脚を繰り出し、一気に

先行馬をまとめて差し切って優勝。

私的にはダイユウサク以来のアッと驚く

G1レースとなり、改めて競馬に絶対は

無いを思い知らされました。

鞍上のデビュー21年目の津村騎手も

初のG1勝利となり、涙ながらの勝利騎手

インタビューに感動しました。

津村騎手、テンハッピーローズの関係者の

皆様、本当におめでとうございます。

2着には4番人気のフィアスプライド、

3着には1番人気のマスクトディーヴァが

入り、2番人気に推されたナミュールは

出遅れも響き、8着に敗れました。

また土曜日に行われました第69回

京王杯スプリングカップは1番人気の

ウインマーベルが直線でレッドモンレーヴ

との激しい競り合いを制して優勝。

春の阪急杯に続く重賞4勝目を飾りました。

2着にはハナ差で2番人気のレッドモン

レーヴが入り、3着には8番人気の

スズハロームが入りました。

今週は、東京競馬場で牝馬クラシック

第二冠目、第85回優秀牝馬(オークス)が

行われます。

優駿牝馬(オークス)は、1938年に

イギリスのオークスステークスを範として、

4歳(現3歳)牝馬限定の阪神優駿牝馬

競走として創設され、皐月賞、東京優駿

(日本ダービー)、菊花賞、桜花賞とともに

日本のクラシック競走のひとつとされて

います。

創設当初、桜花賞は最もスピードのある

繁殖牝馬の検定競走とされたのに対し、

優駿牝馬(オークス)はスピードと

スタミナを兼ね備えた繁殖牝馬を

選定するためのレースとされました。

施行場も1946年阪神競馬場から東京

競馬場に変更され、その際に名称も

優駿牝馬に改称され、1965年からは

オークスの副称が付けられ、現在に

至っています。

また、日本では優駿牝馬(オークス)の

優勝馬を樫の女王という通称で呼ぶことも

あります。

 

思い出の馬は、姉弟でクラシック制覇を

果たした昭和47年第33回優勝馬

タケフブキです。

タケフブキの父は昭和を代表する万能型

種牡馬パーソロンで、三冠馬シンボリ

ルドルフ、ダービー馬サクラショウリ、

天皇賞馬メジロアサマをはじめ、桜花賞馬

ナスノカオリ、優駿牝馬優勝馬ナスノ

チグサやトウコウエルザ、ヤマブキオー等

数多くの名馬を輩出しました。

また、タケフブキの1歳下の半弟には

東京優駿(日本ダービー)や菊花賞、

天皇賞春に優勝したタケホープがいます。

タケフブキは昭和47年の牝馬クラシック組

で同期には悲劇の名牝タカイホーマや

桜花賞馬アチーブスター、トクザクラ、

キョウエイグリーン、シンモエダケ等が

います。

タケフブキはシンザンの故郷谷川牧場の

生産馬で旧馬齢3歳秋の中山でデビューし

新馬戦を快勝しました。

なお、この新馬戦には後に菊花賞、有馬

記念を制し、年度代表馬にも選出され

直線の荒法師と言われたイシノヒカルも

出走していて5着に敗れています。

そして続いて、いきなり重賞レース京成杯

3歳ステークスに参戦しました。

このレースには後に3歳チャンピオンに

輝くトクザクラやノボルトウコウ、スガノ

ホマレ等が出走し、タケフブキは

トクザクラが圧勝する中、3着に入り

能力が高いところを見せました。

年が明けて4歳になったタケフブキでしたが

昭和47年初頭は馬インフルエンザが

大流行し、関東地区での競馬開催が2ヶ月

中止になるなど日程が大きく順延される

こととなり、タケフブキも3月からの再始動

となりました。

緒戦の条件特別は15着と大敗しましたが

2戦目の条件特別で勝利し、2勝目を

あげました。

その後、カーネーションCでタカイホーマの

4着になると、続いて当時のオークス

トライアルだった4歳牝馬特別に出走。

14頭中12番人気でしたが、1番人気に

応えて快勝したタカイホーマの2着に入り

ついに大一番優駿牝馬(オークス)に

駒を進めました。

この優駿牝馬(オークス)には手続きの

不手際から桜花賞馬アチーブスターは

出走できず桜花賞で1番人気に推された

シンモエダケもトライアルで惨敗したことで

オークスを断念する中、天皇賞馬ヒカル

タカイを兄に持ち4歳牝馬特別を快勝した

関東のエース、タカイホーマが1番人気に

推され、2番人気はナオユキ、タケフブキは

3番人気に推されました。

1頭が出走を取り消して18頭で行われた

優駿牝馬オークスはゲートが開きスタート

すると快速馬キョウエイグリーンが

スピードを活かして先頭に立ち、その後ろ

からセンコウミドリ、カミノチドリが続き、

人気のタカイホーマとナオユキは中団から

進み、タケフブキとシャダイカールは

後方からというレース展開となりました。

向こう正面で今度はセンコウクインが

先頭を奪い、タカイホーマ、タケフブキが

外から差を詰めて直線へ。

直線に入って横一線となる中、内をついた

カンツォーネ、真ん中からタカイホーマが

鋭く伸び、大外からタケフブキも追い込み

タカイホーマとタケフブキの一騎打ちに

なりましたが、最後はタケフブキが鋭く

抜け出してタカイホーマを振り切って

優勝、第33代樫の女王に輝きました。

なお騎乗した嶋田功騎手は、このタケ

フブキに続いて翌昭和48年のナスノ

チグサ、昭和49年人気薄のトウコウ

エルザでオークス3連覇を果たすことに

なり、更にこの3頭はいずれも父が

パーソロンという快挙を成し遂げました。

そして翌年、タケフブキの弟タケホープが

人気薄ながら日本ダービーで怪物

ハイセイコーを姉のタケフブキを彷彿

させる鋭い差し足で差し切って勝利し

更に菊花賞も制して姉弟クラシック制覇を

成し遂げました。

今後の活躍が期待されたタケフブキ

でしたが、その後は凡走を繰り返し、

年が明けて5歳になったタケフブキは

8戦したものの勝つことは出来ず、6歳に

なってからも現役を続行しましたが、

オークス優勝で燃え尽きてしまったのか、

2戦しても勝つことは出来ず、条件特別戦

での6着を最後に引退し、故郷谷川牧場に

繁殖牝馬として帰ることになりました。

タケフブキは9頭の産駒を輩出し、

重賞入着馬2頭を誕生させたものの、

重賞勝ち馬を出すことは出来ませんでした。

 

記録によりますと

1995年1月15日 タケフブキは余生を

送っていた谷川牧場で26年の生涯を終え

天国に旅立って行きました。

今週は東京競馬場で牝馬クラシックの

二冠目第85回優駿牝馬(オークス)が

行われます。

桜花賞馬ステレンボッシュ、巻き返しを図る

チェルヴィニアとクイーンズウォーク、

アドマイヤベルに注目しています。

第85代樫の女王に輝くのは、どの馬か

今週も全馬の無事を祈りながらレースを

観ます。