76年ぶり牝馬の偉業か、牡馬の意地かで

先週、中山競馬場で行われました

クラシック3冠初戦、第84回皐月賞は

2番人気に推されたジャスティンミラノが

直線で先頭に立ったジャンタルマンタルを

鋭く伸びて差し切り、外から追い込んで

来たコスモキュランダをおさえ、無傷の

3連勝で、更に驚異のレコードタイムで

優勝を飾りました。

2着には7番人気のコスモキュランダ、

3着には3番人気のジャンタルマンタルが

入り、76年ぶりの牝馬優勝に挑んだ

1番人気のレガレイラは6着に敗れました。

勝ったジャスティンミラノの1週間前の

追い切りには落馬事故により10日に

亡くなった藤岡康太騎手が騎乗しており

戸崎騎手は(勝利は)康太が後押し

してくれたと涙ながらに話し、友道調教師も

この勝利は彼のおかげ、直線では思わず

『康太!康太』と叫んでいましたと号泣し、

フジテレビの競馬中継では井崎先生も

涙ぐみ、細江純子さんも泣いていて、私も

もらい泣きしてしまいました。

藤岡康太騎手は優勝してもいつも馬の

おかげと言っていて、レース中に故障して

命を失った馬に対しては、もっと早く自分が

気づいていれば救えたのではないかと

号泣した、馬を本当に大事に思っていた

優しい騎手でした。

かえすがえすも残念でなりません。

藤岡康太騎手のご冥福を心からお祈り

致します。

また皐月賞のレース直前、ダノンデサイル

が馬体に異変を生じ、競走除外となり

ました。

大事に至る前に気づいてくれた横山典弘

騎手、勇気ある行動に感謝です。

息子さん達も勇気ある判断を行ってくれて

エフフォーリアやタイトルホルダーが

大事に至らずに済みました。

ダービーで第4コーナーから直線に入って

馬に異変を感じたにも関わらず、最後まで

走らせて馬が倒れる寸前まで騎乗していた

某外国人ジョッキーとは違いますね。

横山典弘騎手、本当にナイス判断でした。

今週は、京都競馬場で春のマイル

戦線を占う上で重要な第55回マイラーズ

カップが行われます。

マイラーズカップはマイル路線の拡充

および短距離系の馬にも活躍の場を

設けることを目的として、1970年に創設

され、現在はGⅠ競走である安田記念や

ヴィクトリアマイルの前哨戦として位置

づけられていて、春の短距離路線を歩む

馬にとって重要なレースとなっています。

昭和期においては、まだレース体系が

現在ほど整っておらず、出走できるレース

も限られていたためか、歴代の優勝馬や

出走した馬にはクラシック優勝馬をはじめ

現在のGⅠ優勝馬等、名立たる名馬達の

名前が連なっています。

 

思い出のレースは、公営金沢競馬から

移籍し、短距離競走では圧倒的な強さを

誇ったマイルの皇帝ニホンピロウイナーを

やぶってローラーキングが勝った

昭和59年第15回マイラーズカップです。

 

ローラーキングの父はファーストファミリー

で代表産駒には有馬記念や天皇賞に

優勝したホウヨウボーイがいます。

ローラーキングは大井競馬の出身で

中央競馬での同期にはダービーと

皐月賞に優勝したカツトップエース、

菊花賞馬ミナガワマンナやサンエイソロン

がいます。

旧馬齢3歳の暮れに大井競馬でデビュー

したローラーキングは2戦目で勝ち上がり

4歳時には19戦して3勝、5歳から6歳に

かけては19戦5勝を挙げました。

6歳の春に大井競馬から金沢競馬に

移籍したローラーキングは、本格化し

金沢では10戦して重賞競走を含めて

6勝を挙げました。

年が明けて7歳になったローラーキングは

公営競馬49戦15勝の成績を引っ提げて

引っ提げて、遅まきながら中央に移籍

しました。

ローラーキングは中央緒戦、東京新聞杯

に出走しましたが初の相手、初のコースに

戸惑ったのか、力の差だったのか、

12着に敗れました。

しかし、続いてローラーキングは阪神

競馬場で行われるマイラーズカップに

参戦しました。

このレースには後にマイルの皇帝と

呼ばれ3年連続で最優秀スプリンターに

選出されたニホンピロウイナーや

ダービー馬オペックホース、ミスラディカル

ハッピープログレス等が出走し、実績の

無いローラーキングは当然のごとく、

13頭中12番人気という低評価での出走

となりました。

レース当日は天候が回復したものの、

不良馬場でのレースとなりました。

レースはスピードの違いか、ニホンピロ

ウイナーが先手を取って、軽快な逃げを

展開し、その後ろからリードアイリスが続き

ローラーキングは4番手から進み、

ハッピープログレスは中団、オペックホース

は後方からの競馬となりました。

第3コーナーでニホンピロウイナーが

スピードを上げて差を広げ、独走態勢に

入ろうとしている中、ローラーキングも

仕掛けて3番手に上がり、ハッピー

プログレスも外から差を詰め、

最終コーナーをまわって直線の勝負へ。

先頭のまま、馬場の良い真ん中を通った

ニホンピロウイナーがこのまま圧勝かと

思われましたが、内を通ったローラー

キングが徐々にニホンピロウイナーとの

差を詰め、残り100mで何とまさかの

ニホンピロウイナーを捉えて、交わして

先頭に立ち、実況アナも観客も驚く中、

そのまま押し切って優勝。

中央2戦目で大金星となる中央での

初重賞制覇を成し遂げました。

今週は、京都競馬場で第55回マイラーズ

カップが行われます。

セリフォス、ソウルラッシュ、セッション

ソーヴァリアントに注目しています。

そして二度と悲しい出来事が起こらぬよう

今週も全人馬の無事を祈りながらレースを

観ます。