先週、阪神競馬場で行われました第68回

大阪杯は2番人気のベラジオオペラが

道中2番手で追走し、直線に入って先頭に

立つと、外から追い込んで来たローシャム

パーク、内から鋭く伸びて来たルージュ

エヴァイユとのたたき合いを演じ、これを

制して優勝、GⅠ初制覇を飾りました。

2着には3番人気のローシャムパーク、

3着には11番人気のルージュエヴァイユが

入り、1番人気に推されたダービー馬

タスティエーラは11着、5番人気の

皐月賞馬ソールオリエンスは7着に敗れ

ました。

今週は、阪神競馬場で牝馬クラシック

第一冠目、桜の女王決定戦、第84回

桜花賞が行われます。

桜花賞は、1939年にイギリスの

「1000ギニー」を範として、最もスピード

のある優秀な牝馬の選定および優秀な

繁殖牝馬を発掘するためのレースとして

4歳(現3歳)牝馬限定の競走「中山四歳

牝馬特別」を創設し、東京優駿競走

阪神優駿牝馬(現優駿牝馬)・横浜農林省

賞典四歳呼馬(現皐月賞)・京都農林省

賞典四歳呼馬(現菊花賞)と共にクラシック

競走のひとつとされました。

1947年からは名称を桜花賞に変更して

京都競馬場で施行されましたが、1950年

からは阪神競馬場で施行されています。

私は昔から桜花賞が大好きで、近年は

桜の満開の時期が早まってしまいましたが

毎年、春を告げる満開の桜の中で若い

乙女たちによる桜の女王を決める戦いは

華やかさと美しさとスピード感があって

毎年、楽しみにしています。

今年は満開の桜の中で見られそうなので

本当に楽しみです。

 

思い出の馬は、薄幸の美少女と言われ

桜花賞優勝後、怪我のため、わずか7戦で

競馬場を去ったタカエノカオリです。

タカエノカオリは昭和49年の牝馬

クラシック組で同期には幻の牝馬三冠馬

イットーやオークスやビクトリアカップを

制した牝馬二冠馬トウコウエウザ、

快速馬サクライワイ、ミトモオー、アイテイ

シロー等がいます。

タカエノカオリの父は、ダービー馬

クライムカイザーや名牝イットー、ソシアル

トウショウ、トドロキヒホウ等を輩出した

マイラー系種牡馬ヴェンチアで、母は

二冠馬の名馬トサミドリの血を引く

道営競馬で快速で鳴らしたタカエミドリで

初の産駒がタカエノカオリでした。

期待されて誕生したタカエノカオリでしたが

右後の球節が不自然にねじれている等

競走馬として大成するのは難しいのではと

思われていました。

更にタカエノカオリが生後3ヶ月と時に

母タカエミドリが腸捻転の為に急死して

しまい、離乳まで何とか人工的に母乳を

飲ませようと試みましたが、悲しみに

暮れる幼いタカエノカオリはそれを

拒絶して上手くいきませんでした。

しかし、牧場の人の努力の甲斐があって

何とか祖母ミツコがタカエノカオリを

自分の仔と一緒に母乳を与えてくれた

ため、タカエノカオリは無事に育つことが

出来ました。

 

旧馬齢3歳秋の福島でデビューした

タカエノカオリは、新馬戦をハナ差で快勝し

関係者を喜ばせましたが、続く東北3歳

ステークスでは後にアラブの怪物と

言われたイナリトウザイの5着に敗れ

ました。

その後、条件戦で2着となり、続いて新潟

3歳ステークスに挑みましたが、脚部が

悪かったためか、優勝馬から4秒以上も

離された最下位に大敗し、その後、脚部

不安を発症したタカエノカオリは休養に

入りました。

年が明けて4歳になった関東馬タカエノ

カオリは東京ではなく、中京開催の条件戦

で復帰すると、2着に5馬身差をつけて

圧勝し、2勝目を挙げました。

続く条件特別レースも勝って連勝し、何とか

桜花賞に駒を進めることができました。

この時点でまだ無名だったタカエノカオリ

でしたが、鞍上はこの2年前に桜花賞を

アチーブスターで制した名人武邦彦騎手に

決まり、桜花賞当日を迎えました。

この年の牝馬クラシックは波乱があり、

クラシックの中心と目されていたイットーと

レスターホースが揃って戦線離脱して

しまったことで、混戦模様となりました。

この桜花賞には快速馬サクライワイ、

桜花賞トライアル優勝馬エビスオールや

ミトモオー、ラッキーオイチ、フジノタカ

ザクラ等が出走し、サクライワイが

1番人気となり、タカエノカオリは武騎手

人気もあってか4番人気に推されました。

出走馬25頭による桜花賞はスタートすると

サクライワイとタカエノカオリが好スタート

を切って先頭に出ると、それを交わして

ビニーが果敢に先頭を奪って逃げ、続いて

福永洋一騎乗のユウダンサーズが続き、

3番手には人気のサクライワイ、

その後ろからエビスオール、フジノタカ

ザクラ、ラッキーオイチが続き、タカエノ

カオリは内を進んで8番手からの競馬と

なりました。

直線に入って4頭が横一線となり、

直線半ばからは逃げ粘りを図る1番

人気のサクライワイと内から差し込んで

きたタカエノカオリの一騎討ちとなり、激しい

競り合いの結果、ゴール直前でタカエノ

カオリが僅かに抜け出して、サクライワイを

押さえて優勝、第34代の桜の女王に輝き

ました。

競走馬として当初は全く期待されて

いなかったタカエノカオリでしたが、牧場に

とって初の八大競走制覇をもたらす結果と

なりました。

しかし、その後は優駿牝馬(オークス)への

出走となる筈でしたが、競走馬にとって

当時は不治の病と言われた屈腱炎を発症し

オークスへの出走を断念すると共に復帰は

極めて厳しいとの判断で桜花賞を最後に

引退することになりました。

母タカエミドリの後継として繁殖にあがった

タカエノカオリは中央での重賞勝ち馬こそ

出せませんでしたが、中央競馬で5勝を

挙げたクラシックウィナー等の活躍馬を

輩出しました。

記録によりますと1997年に高齢により

繁殖を引退し、その後は功労馬として

余生を送っていましたが、1998年10月

老衰のため、27年の生涯を終え、静かに

天国に旅立ちました。

 

今週は、阪神競馬場で春の到来を告げる

牝馬クラシックの第一冠目、桜の女王

決定戦、第84回桜花賞が行われます。

トライアル組か、ぶっつけ本番組か、

昨年と違い主役不在の混戦模様で

難しいですが、種牡馬引退を表明した

ダイワメジャー産駒のアスコリピチェーノ、

未知の魅力のチェルヴィニアやクイーンズ

ウォーク、ステレンポッシュに注目して

います。

今週も全馬の無事を祈りながらレースを

観ます。