先週、東京競馬場で行われました3歳の
最強マイラーを決定する大一番第28回
NHKマイルカップは、9番人気の内田博幸
騎手騎乗のシャンパンカラーが直線で鋭く
抜け出して勝ち、東京マイル戦3戦3勝で
重賞初制覇を果たしました。
2着には頭差で8番人気のウンブライル、
3着には3番人気のオオバンブルマイが
入りました。
今週は東京競馬場で土曜日に第68回
京王杯スプリングカップ、日曜日に牝馬の
マイル王決定戦第18回ヴィクトリアマイル
が行われます。
昭和期において、牝馬は早期に引退
させて繁殖のため生産界へ戻すべきと
考えられていて、古馬牝馬にとって目標と
なるようなレースも設けられていません
でした。
その後1996年にエリザベス女王杯が
条件変更され、4歳(現3歳)以上牝馬の
GⅠ競走として行われるようになって
からは、牝馬重賞競走の増設等、体系の
整備や充実が図られるようになり、競走馬
として長く活躍する牝馬が多くなりました。
そして、長く現役として活躍した牝馬からも
優秀な産駒が誕生するようになったことで
生産界の考え方にも変化が生じ、海外に
おいても牝馬の価値を重視する傾向が
強まってきたことから、2006年に4歳以上
牝馬による春のマイル王決定戦として
ヴィクトリアマイルが新設されました。
京王杯スプリングカップは1956年に5歳
(現4歳)以上の馬による重賞として
「スプリングハンデキャップ」の名称で創設
され、1960年に京王杯スプリングハンデ
キャップと改称されました。
その後1981年より距離も1400mに
短縮され、更に1984年からは現名称の
京王杯スプリングカップとなり、現在は
安田記念の重要な前哨戦として位置
づけられています。
思い出のレースは昭和48年第18回
優勝馬インターブレインです。
インターブレインは当時の京王杯スプ
リングハンデキャップで初の重賞を制した
馬でしたが、これからという時に脚部不安
を発症して長期休養に入ってしまいました。
当時、現在のような馬の情報がなかなか
手に入らず、休養中の馬の情報は競馬
四季報で確認するしかありませんでした。
そのため、私は当時、大胆にも直接厩舎に
往復はがきを送って休養中の馬の情報を
問い合わせていました。
ほとんどの厩舎から、きちんと返事が
もらえたので、子供心にも、とても
嬉しかったです。
そして当時インターブレインを管理して
いたミスター競馬と異名をとった野平祐二
騎手の父である野平省三厩舎に休養中の
インターブレイン号は、いつ頃カムバック
できるのでしょうかと往復はがきで問い
合わせをしたところ、まだ脚の状態が悪く
もうしばらく時間がかかるでしょうとの
お返事を頂きました。
そういったこともあってインターブレインは
私が印象に残っている馬の1頭です。
インターブレインは私が競馬史上、最強の
世代と思っている花の昭和47年の
クラシック組で同期にはダービー馬
ロングエース、皐月賞馬ランドプリンス
天皇賞馬タイテエムや菊花賞馬イシノ
ヒカルの他、タニノチカラやハクホオショウ、
ストロングエイト、スガノホマレ、トーヨー
アサヒ等、名前を上げれば切りがない程、
名馬達が揃った年でした。
インターブレインは野平祐二騎手を背に
旧馬齢3歳の夏にデビューして新馬戦を
快勝、その後、特別競走にも勝って朝日杯
3歳ステークスに駒を進めましたが、トク
ザクラの4着に敗れました。
年が明けて4歳になったインターブレインは
春のクラシックに向け京成杯や弥生賞に
参戦したものの、史上最強のメンバーが
揃った中ではさすがに勝つことは出来ず
結局クラシック戦線に参加することは
出来ませんでした。
その後、重賞競走や特別競走に出走し
善戦するものの、勝つまでには至りません
でした。
そして暮れの特別戦で1年ぶりにようやく
3勝目を挙げることが出来ました。
年が明けて古馬になったインターブレイン
は特別競走を快勝して好スタートを切り
続く目黒記念ではオンワードガイの4着、
ダイヤモンドステークスではトーヨーアサヒ
の2着に入る等、古馬になって成績も安定し
遅ればせながら史上最強と言われている
花の昭和47年組メンバーとして頭角を
現してきました。
そしてインターブレインは当時の京王杯
スプリングハンデキャップに参戦しました。
当時の京王杯スプリングハンデキャップは
現在の体系のような短距離系の重賞競走
では無かったため、このレースにはヒンド
スタン最後の傑作と言われたハクホオ
ショウをはじめ、逃げる精密機械トーヨー
アサヒ、オープン大将コーヨーやツキサム
ホマレ、イナボレス、キョウエイアタック等
の同期や雨の鬼と呼ばれたラファール等
の精鋭達が出走しました。
レースはいつものようにトーヨーアサヒが
逃げ、その後からコーヨー、ラファール
ワンサバンナが先行し、ハクホオショウと
インターブレインは後方からという展開で
全馬一団となって進みました。
第3コーナーの手前でコーヨーとツキサム
ホマレ、ワンサバンナが仕掛けてトーヨー
アサヒに並びかけ、第4コーナーに差し
掛かるところではハクホオショウも外から
上がっていき先頭集団にとっつきました。
直線に入って一旦ツキサムホマレとワン
サバンナの先頭争いになりましたが、
外から伸びてきたハクホオショウが2頭を
交わして先頭に立ち、このまま行くかと
思われましたが、内を突いたインター
ブレインが鋭く伸びて、何とハクホオショウ
を差し切って優勝を飾り、重賞初制覇を
果たしました。
しかし、このレースがインターブレインに
とっての最後の勝利であり最後のレースと
なってしまいました。
これからの活躍が期待されたインター
ブレインでしたが、その後に脚部不安を
発症して休養に入り、1年以上にわたり
懸命に治療を行いましたが、一進一退を
続けるばかりで、完治せず、結局引退して
種牡馬となりました。
種牡馬となったインターブレインでしたが
八大競走の優勝が無かったことや内国産
種牡馬不遇の時代ということもあって、
種付け頭数も少なく、産駒数もごく
わずかに留まりました。
しかし、その少ない頭数の中から勝ち馬を
輩出したことは、内国産種牡馬として
本当に立派だったと思います。
記録によりますとインターブレインは
1980年に11歳で死亡したとあります。
最後はどこで、何が原因で死亡したのか
という記録が残っていないのが残念です。
それでもいつ亡くなったのかという記録が
あるだけ、マシなのかも知れません。
今週は東京競馬場で土曜日は京王杯SC
日曜日は4歳以上牝馬のマイル王決定戦
ヴィクトリアマイルが行われます。
京王杯スプリングカップは巻き返しを図る
レッドモンレーヴ、ダノンスコーピオン、
ピクシーナイト、そして堅実なアヴェラーレ
に注目しています。
ヴィクトリアマイルは文句なしの実力馬
スターズオンアースとソダシ、巻き返しを
図るソングライン、ナミュールに注目して
います。
今週も全馬の無事を祈りながらレースを
観ます。

