先週、中山競馬場で行われました伝統の
第７２回スプリングステークスは２番人気の
ベラジオオペラが直線で外から追い込んで
ホウオウビスケッツをおさえて優勝し、
無傷の３連勝を飾り、クラシックに名乗りを
挙げました。
２着には３番人気のホウオウビスケッツ、
３着には８番人気のメタルスピードが入り
この３頭に皐月賞への優先出走権を獲得
しました。
１番人気に推されたセブンマジシャンは
６着に敗れました。
今週は、中京競馬場でGⅠ競走第５３回
高松宮記念が行われます。
高松宮記念は４歳（現３歳）以上の馬
による重賞として１９６７年創設された
中京大賞典を前身として１９７０年に
高松宮宣仁親王から優勝杯が下賜
されたのを機に１９７１年より高松宮杯に
改称のうえ、新設されました。
１９９５年までは毎年６、７月に行われて
いましたが、１９９６年の競走体系の整備
により、距離を芝１２００m短縮の上、
ＧⅠ競走に格上げされ、春の短距離王
決定戦として位置づけられました。
その後１９９８年に現名称の高松宮記念に
改称され、２０００年からは施行時期も
現在の３月に変更されました。
昭和期においては、宝塚記念の後に
行われる前半戦最後を飾る重賞レース
高松宮杯として行われていたため、
ハイセイコーをはじめ、トウショウボーイ
やナリタブライアン等、競馬史上に残る
名馬達が参戦しており、数々のドラマや
出来事が起こるレースでもありました。
思い出のレースは社会現象にもなった
怪物ハイセイコーが優勝した昭和４９年の
まだ旧名称だった第４回高松宮杯です。
ハイセイコーは昭和４８年のクラシック組で
同期にはダービー馬でライバルの
タケホープ、天皇賞馬イチフジイサミと
カミノテシオ、ホウシュウエイト、ホワイト
フォンテン、シルバーランド等がいます。
ハイセイコーは３歳の夏に大井競馬場で
デビューし、圧倒的な強さで６連勝を飾り
地方の怪物として鳴り物入りで中央に
移籍し、大きな話題となりました。
後に、このハイセイコーが巻き起こした
ブームは日本の競馬がギャンブルから
レジャーに転じ、健全な娯楽として認知
されるきっかけのひとつになったと高い
評価を受けています。
後に怪物とか国民的アイドルと呼ばれ、
昭和４８年の顔となり、競馬ブームの
立役者となったハイセイコーは中央移籍後
弥生賞、スプリングステークスに連勝し、
皐月賞でも圧倒的な人気に応えて優勝。
続く当時のダービートライアルNHK杯
でも負けたと思われた位置から一世一代の
奇跡の脚を使って優勝、ダービー優勝は
間違いなく、この馬だと言われていました。
しかし、過酷なローテーションによる体調
不良と地方上がりの馬に勝たれてたまるか
という中央側の徹底的なマーク、そして
ハイペースに巻き込まれたことにより
３着に敗れ、初の敗戦を喫してしまい
ました。
秋に巻き返しを図り、菊花賞に挑むも
またしてもタケホープにハナ差で惜敗して
しまいました。
年が明けて古馬になったハイセイコーは
ＡＪＣ杯から始動するも歴戦の疲れからか
惨敗し、怪物返上とか、落ちた偶像などと
手のひらを返したマスコミからは散々
叩かれてしまいました。
しかし徐々に体調を回復したハイセイコー
は距離が合った中山記念を大差で圧勝。
しかし、距離が長くて合わない天皇賞では
またしても６着に敗れてしまいました。
しかし、続く宝塚記念ではレコードタイムで
圧勝する等、酷使され続けたローテー
ションにおいても、いつも一生懸命に走り
距離さえ合えば、やはりハイセイコーは
怪物の名に相応しい馬だということを
自ら証明してくれました。
その後ハイセイコーは当時の高松宮杯に
出走しましたが、主戦ジョッキーだった
増沢騎手の後の話では、この時の
ハイセイコーは夏負けの症状を見せ
始めていて、体調は良くなかったそうです。
この当時、勝っても負けても、いつも
一生懸命に走るハイセイコーの姿に
多くの国民は感動し、たとえ負けても
ハイセイコーは、もはや国民的な
アイドル馬になっていました。
その国民的アイドル馬ハイセイコーが
中京競馬場に来るということで、レース当日
中京競馬場には同競馬場における史上
最多となる６万８４６９人の大観衆が押し
かける事態になりました。
このレースには前年の高松宮杯でハマノ
パレードの悲劇の中、優勝したタケデン
バードの他、かつての関西のクラシック
候補と言われたヨドヒーローやイースト
リバー等が打倒ハイセイコーを目指し、
出走しました。
当時の高松宮杯は別定重量であったため
ハイセイコーは他の馬達と６キロ差ある
６１キロの斤量を背負ってのレースと
なりましたが、圧倒的１番人気に押され
ました。
大歓声の中、レースがスタートし、まずは
ヨドヒーローが逃げ、続いてグットキラメキ
が続き、ハイセイコーは３番手という展開
になりました。
向こう正面の半ば過ぎからグットキラメキが
仕掛け、ハイセイコーも第３コーナー過ぎの
中京競馬場の仕掛けどころと言われている
ところで一気に勝負に出てグットキラメキを
交わしにかかり、中京競馬場で今まで
聞いたことのない大歓声の中、直線へ。
大歓声を受けながら最重量６１キロを
背負ったハイセイコーは直線に入っても
勢いは衰えず、そのまま押し切って優勝。
まさに堂々たる横綱相撲での勝利でした。
場内からは大きな拍手と歓声が沸き起こり
「また来いよ」「ありがとう」の声も飛び
観客はハイセイコーを称えました。
しかし、この高松宮杯が中京競馬場で見る
ハイセイコーの最初で最後の姿となり、
ハイセイコーにとっても、この高松宮杯が
現役最後の勝利となってしまいました。
天皇賞で悔しい思いをしていた私も
宝塚記念に続いてのハイセイコーの勝利
に歓喜し、涙が止まりませんでした。
今週は中京競馬場で第５３回高松宮記念
が行われます。
決して目が離せない電撃の６ハロン。
連勝中のアグリ、実力馬ナムラクレア
未知の魅力あふれるメイケイエール
長期休養明けでどんな競馬を見せて
くれるのかピクシーナイトに注目して
います。
今週も全馬の無事を祈りながらレースを
見ます。