先週、中京競馬場で行われました記念

すべき第70回日経新春杯はジャパンC

3着以来の今年緒戦となる2番人気で

トップハンデ59キロを背負った実力馬

ヴェルトライゼンデが直線で力強く抜け

出して差し切り、昨年年鳴尾記念以来の

重賞2勝目を挙げました。

2着には首差で10番人気のキングオブ

ドラゴン、3着には4番人気のプラダリアが

入り、1番人気のロバートソンキーは

5着に敗れました。

また今年もレース直前に実況アナの

「時は過ぎてところ変われど、全馬の

無事を思う気持ちは永遠に」との言葉に

今年も天に召された今は亡きテンポイント

に想いを馳せながら、涙しました。

今週は中山競馬場で今年の関東の古馬

戦線を占う重要なレース第64回アメリカ

ジョッキーカップが行われます。

 

アメリカジョッキークラブカップは1960年

に日米友好の一環としてニューヨーク

ジョッキークラブから優勝杯の贈呈を受け

創設されました。

最近ではレース名をAJCCやアメリカJCC

と表記していますが、昭和期ではAJC杯の

略称が一般的でした。

そして西の日経新春杯と並んで大阪杯や

春の天皇賞に向けて今年緒戦として関東

の古馬達が参戦するレースでもあります。

 

思い出のレースは、二冠馬に輝き、本番

に強き名ステイヤーだったタケホープが

優勝した昭和49年第15回AJCC杯です。

私が大好きだったハイセイコーが騎手の

ダービーでの失敗の教訓を活かせず、

初めて大敗してしまった悔しい思い出の

レースでもあります。

タケホープは昭和48年のクラシック組で

同期には言わずと知れたハイセイコー

イチフジイサミ、ホウシュウエイト

シルバーランド、ホワイトフォンテン

ディクタボーイ、ヌアージターフ、クリオン

ワード等がいます。

 

タケホープの父は昭和期ステイヤー血統

の代表的種牡馬インディアナで、姉は

オークス馬タケフブキでシンザンの故郷

谷川牧場で生まれました。

タケホープはデビューして短い距離の

レースで苦労したものの、ダービー

トライアル4歳中距離ステークスに優勝

して何とかダービーに間に合いました。

この年は怪物ハイセイコーで日本中が

盛り上がる中、本番のダービーで10連勝

の怪物ハイセイコーを破り、菊花賞でも

再びハイセイコーをハナ差でやぶって

二冠馬に輝きましたが、同時に国民的

英雄ハイセイコーをクラシックで負かした

ことで世間から悪役の汚名を着せられ

ることもありました。

年が明けて古馬となったタケホープは

天皇賞(春)に向けた初戦として第15回

AJCC杯に出走。

このレースには前年の有馬記念でタニノ

チカラと顔を見合わせて仕掛けが遅れた

ため、敗戦を喫したハイセイコーも参戦。

その他にも3強の一角イチフジイサミ

桜花賞、ビクトリアカップの牝馬二冠を

制し有馬記念でハイセイコーとタニノ

チカラを苦しめた快速馬ニットウチドリ、

天皇賞馬で古豪のベルワイド、逃げる

精密機械トーヨーアサヒ、シンザンの

代表産駒ブルスイショーやヌアージ

ターフ等、豪華メンバーが揃いました。

レースは大方の予想どおり、トーヨー

アサヒが逃げ、その後ろからニットウ

チドリが先行し、そのニットウチドリを

マークするようにハイセイコーが続き、

例によってタケホープ、イチフジイサミ

ブルスイショーは後方からという展開で

レースが進みました。

第3コーナーで早くもニットウチドリと

ハイセイコーの2頭が動き、一気に

トーヨーアサヒを交わして、スピードを

上げ、ハイペースで2頭が競り合う形で

他馬を引き離しました。

その瞬間、私はダービーでの悪夢を

思い出してしまいました。

弥生賞で先行したニューサントに苦しめ

られたためか、超ハイペースでレースが

進む中、ハイセイコーはニューサントを

捕まえに行き、直線半ばで失速して、

後方から行ったタケホープに差され

3着に敗れてしまいました。

同じ東京の2,400mで今度は有馬記念で

苦しめられたニットウチドリを何故また

追っかけて行ってしまったのか。

予想どおり、ダービーの時と同じように

残り400mで先頭に立つも、スタミナが

無くなり後退し、一旦ヌアージターフが

躍り出ましたが、後方からレースを進めた

タケホープが外から一気追い込んで

先頭に立ち、その外からブルスイショーも

猛然と追い込みましたが届かず、

またしてもタケホープが優勝。

写真

なぜか早々と先に動いたハイセイコーと

ニットウチドリは勝った馬から2秒以上も

離されて屈辱の9着、10着に大敗して

しまいました。

翌日の新聞は、ハイセイコーに対し怪物

返上とか、落ちた偶像等とか屈辱的な

報道をしました。

私は本当に悔しかったです。

当時のハイセイコーは国民的アイドル馬

だったため、プレッシャーは半端じゃ

なかったと思いますが、ダービーでの

教訓を活かせずに、同じ過ちをして

しまったことは本当に残念です。

あの時、武豊騎手やルメール騎手だったら

どう乗っていただろうかと、ふと思って

しまうくらい、悔しいレースとして鮮明に

記憶に残っています。

今週は今年も中山競馬場で第64回

アメリカジョッキークラブカップが

行われます。

巻き返しを図るガイアフォース、ノース

ビリッジ、上り馬エピファニー、好調の

スタッドリーに注目しています。

今週も全馬の無事を祈りながらレースを

観ます。