先週、中京競馬場で行われました第23回

チャンピオンズカップは3番人気のジュン

ライトボルトが直線でクラウンプライドが

先に抜け出して先頭に立つ中、鮮やかに

差し切って優勝、3連勝でGⅠ初勝利を

飾りました。

鞍上の石川騎手もデビュー9年目でGⅠ

初制覇となりました。

2着には4番人気のクラウンプライド、3着

には6番人気のハピが入り、圧倒的1番

人気に推されたテーオーケインズは

反応が鈍く、4着に敗退しました。

今週は、阪神競馬場で第74回阪神ジュベ

ナイルフィリーズが行われます。

1949年、関西所属の旧3歳馬による

チャンピオン決定戦として阪神ジュベ

ナイルフィリーズの前身となる阪神3歳

ステークスが創設されました。

そして1991年より牡馬・牝馬の旧3歳馬

のチャンピオン決定戦を明確にすることを

目的に阪神3歳ステークスは牝馬限定戦

とし、競走名も阪神3歳牝馬ステークスに

変更され、旧3歳牝馬によるチャンピオン

決定戦として位置づけられました。

2001年より馬齢表記が国際基準に改め

られたことに伴い、現在の阪神ジュベ

ナイルフィリーズの名称になり、今日に

到っています。

歴代優勝馬からはクラシックや重賞勝ち馬

が多く出ており、3歳のクラシックに直結

する競走として重要視されています。

 

思い出の馬は、まだ阪神3歳ステークスと

いう名称だった第24回優勝馬キシュウ

ローレルです。

キシュウローレルはあの怪物ハイセイコー

と同じ昭和48年クラシック組で同期には

牝馬二冠馬ニットウチドリ、オークス馬

ナスノチグサの他、レディースポート、

ケイリュウシンゲキ、ケイスパーコ、

牡馬ではハイセイコー、タケホープ、

イチフジイサミ、ホウシュウエイト、

ディクタボーイ等がいます。

キシュウローレルは旧馬齢3歳秋の阪神

でデビューし、新馬戦を何と3秒も離す

大差で圧勝し、続くデイリー杯3歳Sでは

評判馬のヨドヒーロー等をレコードタイム

でやぶって圧勝し、一躍関西期待の

クラシック候補として名乗りをあげました。

そして続くオープン競走も圧勝し、牝馬で

ただ1頭、関西3歳馬ナンバーワン決定戦

阪神3歳ステークスに出走しました。

このレースには関西のクラシック候補の

ヨドヒーロー、ディクタボーイ、アマツカゼ等

が参戦しましたが、キシュウローレルの

スピードは誰も止めることは出来ず、

ここでもヨドヒーロー以下に5馬身差を

つけて圧勝し、無敵の4連勝を飾りました。

この勝利が高く評価され、この年の

最優秀3歳牝馬に選出されました。

年が明けて4歳になったキシュウローレル

はオープン特別競走を難なく勝って5連勝

を飾り、無敗のまま、牝馬クラシックの

大本命となりました。

そして桜花賞トライアル阪神4歳牝馬特別

で関東期待の牝馬ニットウチドリと対戦

しました。

レースは、いつものようにスピードの違いを

見せ、先手をとって逃げたキシュウ

ローレルは直線でもスピードは衰えず

このまま逃げ切るかと思いましたが、好位

につけていたニットウチドリが猛然と追い

込み、ゴール前でキシュウローレルを

クビ差捕え、レコードタイムで優勝。

キシュウローレルは体調が万全では

無かったものの、まさかの初の敗戦を

喫してしまいました。

この結果、本番の桜花賞では関東の

ニットウチドリが本命となり、キシュウ

ローレルは2番人気となりました。

桜花賞に合わせ体調が万全となった

キシュウローレルは雪辱に燃え、馬体を

立て直し、ニットウチドリに挑みました。

レースはニットウチドリが好スタートを切り

はじめニットウチドリも先頭を譲らず

キシュウローレルと競り合う形になり

ましたが、何とかキシュウローレルが先頭

を奪って逃げ、直線に入って逃げ込みを

図りましたが、トライアルと同じように

ニットウチドリが直線で鋭く差してキシュウ

ローレルを交わし、3馬身半差をつけ、

レコードタイムで優勝を飾りました。

その後、距離適性も考慮したキシュウ

ローレル陣営は、オークスは見送って

休養に入りました。

秋に復帰したキシュウローレルはオープン

競走等2戦したものの、結局勝つことは

出来ませんでした。

年が明けて古馬になったキシュウローレル

は金杯に参戦したものの、距離が合わ

なかったのか9着に大敗してしまいました。

その後、オープン競走に出走すると

5馬身差をつけて圧勝、久しぶりの勝利と

なりました。

その後、休養し、8月の小倉でのオープン

特別レースで持ち前のスピードで先行して

逃げると、そのまま他馬を寄せつけず、

レコードタイムで圧勝。

改めて快速馬キシュウローレルの実力を

見せつける形になりました。

しかし、このレースが快速馬キシュウ

ローレルの生涯最後の勝利となりました。

小倉で復活したキシュウローレルは、秋の

京都牝馬特別を最後に引退し、次世代に

そのスピードを受け継ぐべく繁殖入りする

ことが決まりました。

そして運命の昭和49年10月27日、

今でもその悲劇が語り継がれる第9回

京都牝馬特別に出走しました。

このレースには牝馬ナンバーワンと

言われながら故障のため、春のクラシック

に出走出来なかったイットーが秋に復活

をかけて出走して来た他、後の重賞

勝ち馬ミトモオー、ケイスパーコ、ラッキー

オイチ、フジノタカザクラ等が参戦しました。

幻のクラシック馬イットーと快速馬キシュウ

ローレルの結局、最初で最後になって

しまった対決に注目が集りました。

1番人気は復活をかけるイットーで

キシュウローレルは引退レースという

こともあって2番人気に推されました。

スタートすると内枠を利してケイスパーコが

先頭に立ち、その直後からキシュウ

ローレルがいつものスピードでケイス

パーコに並びかけ、その後ろの好位置に

イットーとラッキーオイチが続き、ミトモオー

は中団からという展開になりました。

第3コーナーで満を持してキシュウ

ローレルがケイスパーコを振り切って

先頭に躍り出て、これを受けてイットーや

他馬も一斉に仕掛けてペースが早くなり

キシュウローレルが先頭で第4コーナー

に向かおうとした瞬間、キシュウローレル

は左脚から前のめりに崩れ落ちるように

落馬、その直後にいたミトモオーは騎手の

咄嗟の判断で大外に吹っ飛んで難を

何とか逃れましたが、ミトモオーの直後に

いたイットーは接触して最後方まで下がる

結果となり、大怪我をしながら10着に

敗退してしまいました。

落馬し転倒したキシュウローレルは必死

に痛みを堪えながら立ち上がりましたが

左脚は無惨にも完全に折れてぶらぶら

の状態となっていました。

それでも競走馬の本能なのか左脚が

ぶらぶらの状態にもかかわらず、必死に

ゴールを目指して、走り始めました。

この悲惨な光景にスタンドからは早く

止めてやれとか泣いているファンもいて

場内は騒然となりました。

実況の杉本アナも早く止めてあげて欲しい

ですねと悲しみに満ちた実況を行って

いました。

見るも無残な状態でゴールを目指した

キシュウローレルは直線半ばで力尽き

ようやく厩務員が到着しました。

キシュウローレルはメンコもズレ、悲しげに

スタンドを見つめていました。

まるで今まで応援してくれたスタンドの

ファンの人達に最後のお礼とお別れを

言っているようでした。

今でもその悲惨な光景を思い出すと涙が

止まりません。

後に判ったことは、落馬したのは

第3コーナーの坂の下りで馬場に空いた

蹄の跡に脚を取られ、転倒してしまった

そうです。

怪我の状況は左第一指関節多開脱臼、

第一指骨種子骨複骨折並びに第一指骨

骨折で、すぐに安楽死の措置がとられ

ました。

この悲惨な光景を見た視聴者から競馬会

やマスコミ各社にキシュウローレルの安否

を心配する問い合わせが殺到したそうです。

これを受け、後日馬主の木村氏は今まで

キシュウローレルを応援してくれたファン

へのお礼も兼ねて新聞にキシュウローレル

の死亡広告を掲載しました。

快速馬キシュウローレルは、最後まで

ゴールを目指し、そしてその快速であっと

いう間に天国に駆け上ってしまいました。

引退レースという最後の舞台で大怪我を

しながらも、最後までゴールを目指した

快速馬キシュウローレル。

こんな素晴らしい馬がいたことを、そして

こんな悲劇があったことを、忘れては

なりません。

私は命ある限り、語り継いでいきますし、

後世にも語り継いでいって欲しいと

願っています。

今週は、阪神競馬場で第74回阪神ジュベ

ナイルフィリーズが行われます。

将来性豊かなラヴェル、リバティーアイ

ランド、未知の魅力のウンブライル、

モリアーナに注目しています。

今週も全馬の無事を祈りながらレースを

観ます。