先週、阪神競馬場で行われました第43回

エリザベス女王杯は4番人気のGⅠ7勝の

名牝ジェンティルドンナの子、ジェラル

ディーナが直線に入って大外から鋭く

伸びて、先に抜け出したウインマリリンを

捕らえて優勝、GⅠ初制覇を飾りました。

2着には5番人気ウインマリリンと追い

込んで来た12番人気ライラックとの接戦

となり、最後は同着となりました。

応援していたデアリングタクトは伸びずに

6着に敗れ。2番人気の秋華賞馬

スタニングローズは見せ場もなく

14着に終わりました。

今週は今年も阪神競馬場で第39回

マイルチャンピオンシップが行われます。

日本競馬は長年にわたり競走体系は

長い間、長距離の競走が重要視されて

来ましたが、世界的にもスピード能力も

重視されるようになってきたことを受け

1984年に競走体系の見直しを行い

短距離競走の充実を図る目的でマイル

チャンピオンシップが創設され、春に

行われる安田記念と共にマイル(1600m)

のチャンピオン決定戦として位置づけ

られています。

 

思い出の馬は、昭和63年第5回優勝馬

サッカーボーイです。

サッカーボーイは昭和の最後となった

昭和63年のクラシック組で、同期には

ダービー馬サクラチヨノオー、皐月賞馬

ヤエノムテキ、菊花賞馬スーパークリーク

メジロアルダン等がいます。

サッカーボーイは旧馬齢3歳の夏の函館

でデビューし、評判どおり新馬戦を9馬身

の差をつけて圧勝しました。

続く函館3歳Sは出遅れが響いて4着に

敗れたものの、次の条件特別レースでは

またしても10馬身差をつけて圧勝し、

一躍関西期待のクラシック候補に名乗り

をあげました。

そして、当時関西の3歳チャンピオン

決定戦に位置付けられていた阪神3歳S

に出走しました。

スタートして中団を進んだサッカーボーイ

は逃げ粘るジンデンボーイを外から差す

とあとは突き放す一方の独り舞台となって

独走し、後方に8馬身差をつけて圧勝、

更にレコードタイムでGⅠ初勝利をあげ

ました。

この8馬身差の勝ちっぷりは、昭和50年

同競走を7馬身差で圧勝したテンポイント

を思い起こさせ、スポーツ紙各紙は

こぞってテンポイントの再来と報じました。

そして、サッカーボーイは、この年の

最優秀3歳牡馬に選出されました。

年が明けて4歳になったサッカーボーイ

は満を持して東上し、弥生賞に出走。

このレースにはサクラチヨノオーも参戦し

東西の3歳チャンピオン同士の対決と

なりましたが、逃げるサクラチヨノオーを

サッカーボーイは直線で捕らえることは

できずに3着に敗れてしまいました。

続く皐月賞は脚部不安が発生したため

断念し、目標を日本ダービーに切り替え

ました。

しかし、やはり順調さを欠いたのが影響

したのか、当時のダービートライアル

NHK杯では外から追い込んだものの

4着に敗れ、それでも本番のダービーでは

巻き返しを期待され1番人気に推された

ものの、距離の疑問もあったのか、直線

に入ってからも全く伸びずに15着に

大敗してしまいました。

その後休養に入ることなく中日スポーツ賞

4歳Sに出走し、さすがに大敗後という

こともあって1番人気を皐月賞馬ヤエノ

ムテキに譲りましたが、レースでは

いつものように直線大外から強襲して

先に抜け出したヤエノムテキをゴール前

で差し切って優勝、見事復活を果たす

と共に重賞2勝目をあげました。

続いて夏の北海道シリーズ函館記念に

出走し、古馬との初対決に挑みました。

このレースにはメリーナイスとシリウス

シンボリの両ダービー馬や牝馬クラシック

二冠馬マックスビューティ、重賞勝ち馬

トウショウサミット、マイネルグラウベン等

が参戦する等、GⅠ競走のような豪華

メンバーによる一戦となりました。

レースはメイショウエイカンが逃げる中、

サッカーボーイはいつものように後方から

進み、第3コーナーで一気に上がって

行くと、直線では大外から一気に先頭に

立つと、好位から差してくるメリーナイスや

シリウスシンボリをまるで子供扱いにして

全く寄せ付けずに独走し、最後は5馬身差

をつけてレコードタイムで圧勝。

あまりの衝撃的な勝ち方に競馬ファンは

驚きと共に新たなスター馬の誕生に歓喜

しました。

その後、菊花賞を目指していましたが、

再び脚部不安が発生しため、調整が間

に合わず菊花賞を断念しました。

脚部不安と戦いながら馬体を立て直した

サッカーボーイはマイルチャンピオンシップ

に当然1番人気に推され出走しました。

レースは関屋記念馬ヒシノリフオーが逃げ

続いてミスターボーイが先行し、安田記念

馬フレッシュボイスは中団を進み、ホクト

ヘリオス、サッカーボーイは例によって

後方からの競馬となりました。

第3コーナーでサッカーボーイも一気に

仕掛けて差をつめて行きました。

第4コーナーをまわって良い手ごたえで

ミスターボーイが先頭に立って引き離しに

かかって逃げ粘る中、直線で5馬身も差を

つけられていたサッカーボーイは大外から

強烈な末脚を見せて追い上げて、残り

200m地点で交わすと、後続を一気に突き

放し、最後は4馬身差をつけて圧勝。

重賞3連勝を飾ると共にGⅠ2勝目を

あげました。

実況の杉本アナもあまりの衝撃的な圧勝

劇を見せられ、テスコガビー以来となる

「これは恐ろしい馬です」と絶叫しました。

そして、サッカーボーイはオグリキャップ

とタマモクロスの対決となった伝説の

有馬記念に出走。

オグリキャップ、タマモクロス、スーパー

クリーク等、時代の最強馬達との戦いに

挑みました。

しかし、枠入り後にサッカーボーイは発馬

機内で暴れて、歯を折って鼻血し、更に

スタートでも出遅れる等、大トラブルに

見舞われてのレースとなりました。

出遅れたため、最後方からのレース展開

となりましたが、直線に入って大外から

怪我を押して必死に追い上げたものの

先に抜け出したオグリキャップやタマモ

クロスには届かず、4位で入線。

その後スーパークリークが進路妨害で

失格となったため、3着となりました。

年が明けて古馬になったサッカーボーイ

はスピードと強さを持って中距離路線を

歩んでいく予定でしたが、骨折や蹄の病気

等で休養を繰り返し、スタッフによる懸命の

治療の甲斐もなく、再び競馬場に戻って

来ることはありませんでした。

引退後、種牡馬になったサッカーボーイは

種牡馬としても大活躍し、産駒からは

菊花賞馬ナリタトップロード、秋華賞馬

ティコティコタック、菊花賞・天皇賞(春)

宝塚記念を制したヒシミラクルを送り出し

その他多くの重賞勝ち馬を輩出しました。

種牡馬引退後は静かに牧場で余生を

送っていましたが、2011年になって

競走馬時代から悩まされていた蹄葉炎が

更に悪化し、

2011年10月7日蹄葉炎のため、26歳で

天国に旅立って行きました。

今週は、今年も阪神競馬場で第39回

マイルチャンピオンシップが行われます。

アイドル馬ソダシ、巻き返しを図る

シュネルマイスター、ジャスティンカフェ

ダノンスコーピオンとソウルラッシュに

注目しています。

今週も全馬の無事を祈りながらレースを

観ます。