先週、東京競馬場で行われました記念

すべき第60回アルゼンチン共和国杯は

6番人気の伏兵ブレークアップが、好位

3番手から直線に入って横一戦となる中

鋭く抜け出し、そのまま押し切って優勝。

初の重賞制覇となりました。

2着には5番人気のハーツイストワール、

3着には3番人気ヒートオンビートが入り、

1番人気に推されたテーオーロイヤルは

6着に敗れました。

今週は今年も阪神競馬場で第43回

エリザベス女王杯が行われます。

1975年にエリザベス女王が来日したこと

を記念して1976年にエリザベス女王杯が

創設され、1995年まで牝馬クラシック

3冠目という位置づけで4歳牝馬限定競走

として行われていました。

その後、1996年に牝馬競走体系の

見直しに伴い、競走条件が4歳牝馬から

4歳以上牝馬に変更され、施行距離も

芝2200mに短縮され、更にエリザベス

女王杯に代わる4歳牝馬三冠の最終戦

として新たに秋華賞が新設されたことに

伴い、エリザベス女王杯は牝馬クラシック

を歩んできた旧4歳牝馬と古馬牝馬による

日本一の女王を争うレースという位置づけ

になりました。

今年はエリザベス女王即位70周年を

記念し、エリザベス女王の名前を付した

レースに記念品が贈られることとなり、

エリザベス女王杯の優勝馬主にも記念品

を贈呈することが発表されていました。

そして、同時にエリザベス女王即位70年

記念の副題付与もする予定でしたが

2022年9月8日にエリザベス女王が

崩御したため、取りやめとなってしまった

ことは本当に残念です。

 

思い出の馬は競走条件が4歳牝馬から

4歳以上牝馬に変更されてから初めて

行われた平成8年第21回優勝馬

ダンスパートナーです。

ダンスパートナーは平成7年のクラシック

組で牝馬の同期には桜花賞馬ワンダー

パフューム、エリザベス女王杯優勝馬

サクラキャンドルや女オグリキャップと

言われたライデンリーダー、そして牡馬

では皐月賞馬ジェニュイン、ダービー馬

タヤスツヨシ、菊花賞馬マヤノトップガン

等がいます。

また、その後誕生した兄弟には菊花賞馬

ダンスインザダーク、桜花賞馬ダンス

インザムードやエアダブリン等の名馬達が

いる等、まさに超良血な華麗なる一族を

形成しました。

ダンスパートナーは旧馬齢4歳の小倉で

デビューし、出遅れたものの評判どおり

見事新馬戦を勝利しました。

その後出遅れ癖のため、後方からの

競馬を余儀なくされ、オープン特別や

トライアル競走では2着に敗れ、本番の

桜花賞でもワンダーパフュームの2着

敗れてしまいました。

続くオークスに参戦し、3番人気だった

ものの、まずまずのスタートを切った

ダンスパートナーは中団より後方を進み

直線に入って大外から猛然と追い込んで

抜け出し、桜花賞馬ワンダーパフューム

とユウキビバーチェをおさえて圧勝し

GⅠ初制覇を果たすと共に桜花賞での

雪辱を晴らしました。

オークス後、ダンスパートナーはフランス

に遠征し、ステップレースで2着した後

本番のGⅠ競走ヴェルメイユ賞に挑み

ましたが6着に終わりました。

帰国後、ダンスパートナーは当時まだ4歳

牝馬限定だった牝馬三冠目のエリザベス

女王杯ではなく菊花賞に挑戦することに

なりました。

エリザベス女王杯が翌年から古馬に開放

されることが決まっていたためエリザベス

女王杯は来年以降でも取れるということや

オークスでの走破タイムがダービーに優勝

したタヤスツヨシよりも速い勝ちタイム

だったこともあって牝馬として18年ぶりの

歴史的挑戦に挑みました。

しかし、やはり牡馬の壁は厚く、1番人気

に推され善戦したものの、マヤノトップガン

の5着に敗れてしまいました。

菊花賞後、阪神牝馬特別に出走し、2着に

敗れてしまったもののオークスでの勝利が

高く評価され、この年の最優秀4歳牝馬

に選出されました。

年が明けて古馬になったダンスパートナー

は、AJC杯と京都記念に参戦するも

いずれも2着に敗れ、続く大阪杯でも4着

敗れる等、惜敗が続きました。

しかし京阪杯では古豪ナイスネイチャや

レガシーワールド等をやぶって優勝し

久しぶりに3勝目をあげました。

その後、安田記念や宝塚記念に出走し

好走したものの、勝利を上げる事は

出来ませんでした。

そして、秋初戦の京都大賞典の4着を

経て、出走条件が4歳以上となって

初めて行われるエリザベス女王杯に

出走しました。

このレースには女傑ヒシアマゾンも参戦し

ダンスパートナーとの新旧女王対決が

注目されました。

しかし、スタート直前、ヒシアマゾンが

ゲート内で暴れ、首をゲート下に挟んで

しまうというアクシデントがあり、ゲートを

一旦出されたヒシアマゾンは大外からの

スタートとなる波乱の幕開けとなりました。

スタートするとシーズグレイスが先手を

取って逃げ、大外から出たヒシアマゾンも

積極的に先行集団にとっつき、そのヒシ

アマゾンをマークするようにダンス

パートナーが進み、さすらいの砂の女王

ホクトベガは後方から行くというレース

展開となりました。

第4コーナーをまわって軽快に逃げる

シーズグレイスを大外からヒシアマゾン、

内をついたダンスパートナーが追い込み

ダンスパートナーが鋭く伸びてシーズ

グレイスをとらえ、追い込んで来るヒシ

アマゾンとフェアダンスを退けて優勝。

GⅠ2勝目をあげました。

しかし、この勝利がダンスパートナーに

とっての最後の勝利となりました。

その後、ジャパンカップと有馬記念に

参戦し、勝てなかったものの、ダンス

パートナーはこの年の最優秀5歳以上

牝馬に選出されました。

年が明けて6歳になったダンスパートナー

は現役を続行し、香港のクイーン

エリザベス2世カップに出走するも8着に

敗れ、続く鳴尾記念と宝塚記念に出走

するもいずれも3着に惜敗しました。

秋になって京都大賞典をクビ差の2着を

経て、連覇を目指し再びエリザベス女王杯

に出走しました。

レースはエイシンサンサンが逃げ、中団

からビワハイジが進み、ダンスパートナー

は中団より後ろ、最後方からエリモシックと

いう展開の中、第4コーナーをまわって

例によって内をついたダンスパートナーは

前をふさがれる不運に見舞われ、体制を

立て直し、鋭く伸びて来たエリモシックとの

競り合いに持ち込みましたがクビ差

及ばず2着敗れ連覇はなりませんでした。

続く有馬記念では、もう燃え尽きてしまった

かのように終始後方のままで14着に

大敗し、ダンスパートナーはこのレースを

最後に現役を引退しました。

引退後は繁殖牝馬となり、期待どおり

産駒は中央地方を合わせて11頭中

10頭が勝ち上がり、その内フェデラリスト

は金杯や中山記念に優勝し、産駒初の

重賞制覇を果たしました。

そして2016年10月14日、

ダンスパーノナーは蹄葉炎のため、

24歳の生涯を終え、静かに天国に

旅立っていきました。

今週はエリザベス女王崩御という悲しみ

の中、阪神競馬場で第43回エリザベス

女王杯が行われます。

秋華賞馬スタニングローズ、ダンスパート

ナーと同じステップで挑むウインマイティー

女傑の娘ジェラルディーナ、流れに乗る

テルツエットに注目しています。

そして復活を信じてデアリングタクトを

応援しています。

今週も全馬の無事を祈りながらレースを

観ます。