先週、新潟競馬場で行われました第57回関屋記念は

最後は逆転で1番人気に推されたウインカーネリアンが

直線で逃げ粘るシュリとの叩き合いを制してリステッド

競走連勝に続く3連勝で重賞初制覇を果たしました。

2着には逃げ粘った12番人気のシュリが入り、

途中まで1番人気に推されていたダノンザキッドは

レース前での入れ込みや道中での折り合いを欠いて

いたのが影響したのか直線で追い込むも3着に

敗れました。

今週は札幌競馬場で第58回札幌記念が行われます。

札幌記念は1965年に旧4歳(現3歳)以上の馬

による重賞競走として創設され、札幌競馬場で

施行する最も歴史が古い重賞競走です。

また札幌競馬場は寒冷地のため、昭和期は

芝コースが設置されておらず、左回りや右回りの

ダートで施行されていましたが、1990年から右回り

芝コースでの施行に変更され、現在に至っています。

昭和期においてダートコースで行われていた時代の

札幌記念は、中央競馬のダート重賞自体が

少なかったため、貴重な存在でした。

秋競馬に向けた調整を兼ねての出走や夏のダート王

決定戦の位置づけ等、レースの格や賞金がそれほど

高く無いにも関わらず、一線級の馬達が出走してくる

レースでもありました。

 

思い出の馬は、昭和51年第12回優勝馬で私の

記憶の中では昭和期におけるダート王者として

君臨したグレートセイカンです。

グレートセイカンは昭和50年のクラシック組で

同期には二冠馬カブラヤオーやロングホーク、

ロングファスト、イシノアラシ、エリモジョージ等が

います。

グレートセイカンはデビューが旧馬齢4歳の1月で

新馬戦は16頭立ての16着としんがり負けをした

ものの、3戦目のダートの未勝利戦を大差で圧勝し

後のダート王者の片鱗を見せていました。

4歳で3勝を挙げたものの、クラシック戦線に参加

することはありませんでした。

年が明けて5歳になったグレートセイカンはダートの

条件戦をまた大差で圧勝すると芝のオープン競走

でも善戦しました。

そして得意なダートでの重賞制覇を目指し、舞台を

札幌競馬場に移して札幌日経賞に出走しました。

当時の札幌は芝は無く、ダート戦だけでした。

ここでもグレートセイカンは期待どおり、古豪

ツキサムホマレやリュウフブキをやぶり、大差での

圧勝劇を演じました。

そして今や伝説のレースとして語り継がれている

札幌記念に駒を進めました。

このレースには菊花賞を目指して皐月賞を制した

天馬トウショウボーイとダービー馬クライムカイザー

が参戦を表明し、これによりダート王者対皐月賞馬

対ダービー馬の3強対決となり、当時競馬ファンは

大いに盛り上がりました。

札幌競馬場には6万人を超えるファンが押し寄せ

この最多入場者数の記録は今も破られていません。

1番人気は天馬トウショウボーイでグレートセイカン

はダービー馬クライムカイザーをおさえて2番人気

となりました。

レースはトウショウボーイが立ち遅れて後方からの

競馬となるという波乱の展開となり、グレートセイカン

は得意のダートで軽快な逃げを展開しました。

直線に入って逃げるグレートセイカンをトウショウ

ボーイがものすごい勢いで追い込んで来ましたが

クビ差届かず、グレートセイカンに軍配が挙がり

3着となったクライムカイザーには8馬身の差を

つける結果となりました。

クラシックに出走できなかったグレートセイカンが

皐月賞馬とダービー馬をやぶるという大金星を

挙げ、この勝利によりグレートセイカンはダートの

王者として後世に名を残すこととなりました。

私は昭和期を代表するダートの王者はと問われれば

今でも必ずグレートセイカンの名をあげています。

続く函館記念では60キロの斤量が響いたのか

6着に敗れたものの、秋の芝の重賞競走オール

カマーではオークス馬トウコウエルザや牝馬二冠馬

のテイタニヤをやぶって優勝。

もはやダートだけではないという実力のあるところを

見せつけました。

しかし、疲れが出たのか有馬記念ではしんがり負け

を喫してしまいました。

年が明けて6歳になったグレートセイカンはダートの

オープン競走に出走、得意のダート戦で8馬身差を

つけてレコードタイムで圧勝し、ダートでの格の違いを

見せつけました。

そして秋にはダービー卿チャレンジトロフィーで

59キロを背負いながらもカミノリュウオーやスピリット

スワプスをおさえて優勝し、健在ぶりを示しました。

その後、7歳でも現役を続けましたが、歴戦の疲労

からか、脚部不安を発症し、1年休養後にオープン

競走で復帰するものの、5着に敗れ、このレースが

グレートセイカンにとっての最後のレースとなりました。

当時、今の時代のようにダート戦線が整備されていた

なら、グレートセイカンはどれだけ重賞を勝てていたか

と、ふと思ってしまいます。

引退後、種牡馬になったグレートセイカンは昭和期に

おける内国産種牡馬冷遇の時代に重賞勝ち馬こそ

出せなかったものの、重賞入着馬や準オープン馬、

そして地方競馬での重賞勝ち馬など輩出するなど

とても頑張ってくれたと思います。

しかし、ダートの王者として君臨したグレートセイカン

がどのように余生を過ごし、いつどのように亡くなった

かの記録が無いのがとても残念です。

今週は夏競馬も終盤となり、札幌競馬場で第58回

札幌記念が行われます。

GⅠ馬5頭が参戦するという豪華メンバーとなりました。

ソダシとハヤヤッコの白毛馬いとこ対決も楽しみです。

そして巻き返しを図る実力馬グローリーヴェイズと

ジャックドールに注目しています。

また心情的にはマカヒキを応援しています。

今週も全馬の無事を祈りながらレースを観ます。