先週阪神競馬場で行われました歴史と伝統の一戦

第165回天皇賞春はスタート直後にシルヴァーソニックが

落馬するという波乱の展開となりました。

そんな状況の中、2番人気に推された菊花賞馬タイトル

ホルダーがスタート直後から一気に先頭に立って豪快な

逃げを展開、一旦は息を入れたため、差が縮まるも再び

差を広げ、直線では他馬を更に引き離し、まさに菊花賞を

再現するかのように2着に7馬身差をつけて圧勝。

菊花賞に続くGⅠ2勝目をあげました。

勝利した横山和生騎手はJRA・GⅠ初勝利を飾ると共に

メジロムサシで優勝した祖父横山富雄さん、サクラローレル

等で優勝した父横山典弘に続く、史上初となる天皇賞・春

での親子3代制覇を達成しました。

2着には1番人気のディープボンドが入り、3着には4番

人気のテーオーロイヤルが入りました。

また落馬した川田騎手やレース後に外柵で転倒し、一時

立ち上がれなかったシルヴァーソニックも検査の結果、

人馬共に異常なしとのことでホッとしました。

今週は、東京競馬場で第27回NHKマイルカップが

行われます。

NHKマイルカップは1953年から1995年まで東京優駿

(日本ダービー)のトライアル競走として施行されていた

NHK杯を前身としていて、当時はクラシック競走に出走

できなかった外国産馬や短距離適性のある馬に対し

目標となる大レースを4歳(現3歳)の春季に創設しよう

ということから、1996年に春の4歳(現3歳)馬による

マイル王決定戦として新設されました。

 

思い出の馬は、まだNHK杯という名称だった昭和期に

関東の秘密兵器と呼ばれていたナスノカゲです。

ナスノカゲは昭和46年栃木県の名門那須野牧場で生まれ

稲葉厩舎に所属していた昭和49年のクラシック組で

同期には二冠馬キタノカチドキ、ダービー馬コーネル

ランサーやカーネルシンボリ、ニシキエース等がいます。

ナスノカゲは、旧馬齢3歳の秋の中山でデビューするも

当時の新馬戦や未勝利戦は1,000m戦が多く、距離が

短かったためか、なかなか勝つことは出来ず、この年

8戦目となる年末の未勝利戦でようやく勝利しました。

年が明けて旧馬齢4歳になってからも苦戦は続き、条件

特別戦では善戦したレースはあったものの、6連敗を

喫してしまいました。

春のクラシック戦線への参戦は不可能と思われましたが

それでも4歳での7戦目の条件戦でようやく2勝目を飾り

ダービーの出走権獲得を目指し、NHK杯に参戦しました。

クラシック戦線は関東期待のカーネルシンボリが故障のため

戦線を離脱したため、関西の総大将キタノカチドキと関東馬

コーネルランサー、ニシキエース、ウエスタンダッシュ、

インターグッドとの対決という様相を呈していました。

NHK杯での1番人気には、オンワード一族期待の大物

アザルトオンワードが推され、ナスノカゲは5番人気で

挑みました。

レースはアザルトオンワードが逃げ、後の重賞勝ち馬ヒカル

ジンデンが続いて先行し、ナスノカゲは中団よりやや後方

からの競馬となりました。

第4コーナーで先頭集団にとりついたナスノカゲは直線に

入ると鋭い追い込みで粘るヒカルジンデンを差し切って

勝ち、ついに初重賞制覇と共にダービーへの出場権を

獲得しました。

そして本番の日本ダービーでは、このNHK杯で見せた鋭い

差し足での優勝によって、打倒キタノカチドキの有望馬と

して期待され、3番人気に推されました。

しかし、レースでは、見せ場が無いまま13着と大敗して

しまいました。

その後のレースでも2連敗し、秋に向けて馬体の立て直しを

図るため、休養に入りました。

秋になり、菊花賞を目指して復帰したものの、セントライト

記念や京都新聞杯で7着と8着に大敗してしまいました。

それでも本番の菊花賞では、東の秘密兵器として期待され

3番人気に推されましたが、キタノカチドキの二冠達成の

前に8着に敗れてしまいました。

そして、その後も重賞レースに参戦するものの、大敗を

繰り返す等、古馬になってからも低迷が続きました。

いつしかオープン馬から条件馬に格下げとなり、

旧馬齢5歳の夏の新潟での条件特別レースで、ようやく

優勝することができたものの、この優勝がナスノカゲ

にとって平地での最後の勝利となりました。

年が明けて6歳になったナスノカゲは活路を見い出そうと

障害戦に参戦し、未勝利戦を圧勝、条件戦でも2着に好走

する等、今後の活躍が期待されましたが、障害レース

3戦目で1番人気に推されたものの、落馬競走中止と

なってしまいました。

その後、ナスノカゲがどうなってしまったか、私の記憶が

定かではなく、記録も見当たりません。

昭和49年のクラシック戦線で関東の秘密兵器として

一瞬の輝きを見せたナスノカゲ、私の記憶に残る名馬の

1頭です。

今週は、北海道より2007年第12回優勝馬ピンクカメオ

(18歳)が急死したとの訃報が届く中、東京競馬場で

第27回NHKマイルカップが行われます。

実力馬セリフォス、ダノンスコーピオン、3連勝で波に乗る

ジャングロ、インダストリアに注目しています。

今週も全馬の無事を祈りながら、レースを見ます。