先週行われました第72回東京新聞杯は4番人気のイルーシヴ

パンサーが直線で一気に抜け出して優勝を飾り、4連勝で初重賞

制覇を果たしました。

2着には馬群を割って追い上げた2番人気のファインルージュが

入り、連覇がかかった1番人気のカラテはファインルージュに首差

届かず3着に終わりました。

今週は阪神競馬場で伝統の第115回京都記念が行われます

京都記念は1942年に5歳(現4歳)以上の古馬による春と秋の

年2回施行するハンデキャップ競走として創設されました。

第二次世界大戦の影響による中止や施行距離や競走条件等の

変更を経て春・秋年2回行っていましたが、1984年に秋の

競走が廃止され、以来年1回の施行となりました。

伝統のレースだけあって歴代優勝馬には古くはタケシバオー、

タニノチカラ、テンポイント、ティエムオペラオー、最近でもクロノ

ジェネシス、ラヴズオンリーユー等、名立たる名馬達の名前が

連なっています。

思い出の馬は関西の小さな巨人スカイリーダです。

スカイリーダは昭和48年クラシック組で同期にはハイセイコー、

タケホープ、イチフジイサミやホウシュウエイトがいます。

牡馬としては小さな410キロ台の馬体で旧3歳時の夏にデビュー

するもS新馬戦の2戦とも勝つことは出来ず、秋になって3戦目の

未勝利戦で初勝利をあげました。

年が明けて旧4歳になったスカイリーダは条件特別レースを

連勝し、また負かした馬の中には後に重賞戦線でも善戦した

シャダイオー等もいましたが、結局クラシック戦線に参戦する

ことはありませんでした。

その後も条件レースで惜敗が続いていましたが、秋になって

4勝目をあげ、ついに晴れてオープン馬入りを果たしました。

年が明けて古馬になったスカイリーダは古馬緒戦として後の日経

新春杯に参戦し、同期のホウシュウエイトや天皇賞馬ヤマニン

ウェーブに敗れはしたものの、3着に善戦しました。

そして続いて京都記念に出走しました。

この競走には前年の天皇賞馬で歴代最強馬として名前があがる

タニノチカラや天皇賞馬ヤマニンウェーブ、京都記念優勝馬

メジロスイセイ等の関西の実力馬が顔を揃えました。

このレースではタニノチカラの負担重量が61キロに対し、スカイ

リーダは52キロでタニノチカラとは9キロ差の負担重量での

参戦となりましたが、当日の1番人気はやはりタニノチカラで

スカイリーダは5番人気となりました。

当日は激しく雪が降り、馬場状態が悪化し重馬場となりました。

スタートして、エンジンの違いで先行するタニノチカラに対して

スカイリーダはいつものように後方からのレース展開となり、

そして最後の直線に入ってタニノチカラが先頭に立ち、このまま

力で押し切るかと思いましたが、外からスカイリーダが強襲して

2頭が並んでゴールに入り写真判定となりました。

判定の結果、スカイリーダがハナ差で勝利し、タニノチカラとの

負担重量が9キロ差あったものの、タニノチカラをやぶって

優勝するという大金星での重賞初勝利となりました。

この勝利で天皇賞春の有力候補に躍り出たスカイリーダ

でしたが、この後、脚部不安が発生し、長期の休養を余儀なく

されました。

秋に入って復帰し、緒戦のレースは7着に敗れましたが、続く

ハイセイコーが関西での現役最後のレースとなった京都大賞典に

参戦し、今度はタニノチカラに4馬身離され圧勝されたものの

直線で1番人気のホウシュウエイトと負担重量62キロの

ハイセイコーとの3頭による競り合いになり、ホウシュウエイトとは

ハナ差で負けたものの、このレースで杉本アナがミスター

サラブレットと言ったハイセイコーにはクビ差抑えて3着に入る等

大健闘しました。

そして当時は行われていた京都記念秋に参戦し、この時は

関西のエース馬ホウシュウエイト等が回避したこともあって、

重賞で初めて1番人気に推され、その期待に応えて、直線で

シュンサクオー以下を差し切って優勝し、見事京都記念の

春秋連覇を達成しました。

年が明けて旧6歳となったスカイリーダは金杯、日経新春杯と

続けて3着に敗れてしまいましたが、続くサンケイ大阪杯では

クリオンワード、ディクタボーイ、バンブトンオール等の実力馬を

おさえて優勝し、重賞3勝目をあげました。

その後、オープン競走2着を経て、ついに念願だった八大競走の

ひとつである天皇賞春に初出走しました。

このレースには二冠馬キタノカチドキをはじめ、イチフジイサミ、

ナオキ、ツキサムホマレ、バンブトンオールやフェアーリュウ等

錚々たるメンバーが顔を揃えました。

レースはスタート直後からバンブトンオールが逃げ、ナオキが

先行し、1番人気のキタノカチドキが中団を進み、その後ろに

イチフジイサミとスカイリーダがつける展開となりました。

向こう正面でスカイリーダがしんがりまで下がると実況の

杉本アナが昭和48年天皇賞春において、向こう正面で無冠の

貴公子タイテイムがしんがりまで下がってしまったものの、

直線に入って見事に差し切って優勝したことで、もしかしたら

スカイリーダも再現するのかという気持ちだったのでしょうか、

「スカイリーダがしんがりまで下がりました。タイテエムを思い出す

スカイリーダしんがりだ」の実況は杉本アナらしくて、今でも

とても印象に残っています。

直線に入ってイチフジイサミが抜け出して先頭に立ち、必死に

キタノカチドキが追い込みましたが、見事に昭和48年クラシック組

の3強の一角であったイチフジイサミが悲願の優勝を飾りました。

キタノカチドキは2着に敗れ、スカイリーダは大差をつけられ

6着に沈みました。

レース後、スカイリーダは右前脚の屈腱炎が判明し、長期休養に

入りました。

そして8月の北九州記念で復帰する予定でしたが、直前になって

再び屈腱炎を発症したため、レース直前で出走を取り消し、再び

競馬場に姿を現すことはありませんでした。

引退後、スカイリーダは生まれ故郷の稲原牧場で種牡馬となり

産駒に重賞勝ち馬は出なかったものの、初年度産駒からダイタク

プロスパア(神戸新聞杯4着、京都新聞杯4着、菊花賞5着)を

輩出する等、よく頑張ってくれたと思っています。

そして。スカイリーダは1987年10月1日付で用途変更となり

以後の消息は不明となりましたが、あるテレビ局の番組で

20歳を過ぎてからも、ある乗馬クラブで余生を過ごしている

スカイリーダの姿が映し出され、懐かしく、そしてホッとしたことを

覚えています。

今週は阪神競馬場で第115回京都記念が行われます。

オークス馬ユーバーレーベン、菊花賞以来となるレッドジェネシス

に注目すると共に、古豪マカヒキを心から応援しています。

今週も全馬の無事を祈りながらレースを見ます。