先週行われました第59回アルゼンチン共和国杯は1番人気に
推されたオーソリティが休み明けやトップハンデもなんのその、
直線で鋭く抜け出して圧勝。今後の活躍が期待されます。
2着には東京競馬場初見参の4番人気だったマイネルウィルトス
が入り、2番人気に推されたアンティシペイトは8着に敗れました。
また、6日カリフォルニア州デルマー競馬場で行われました米国
競馬の祭典、ブリーダーズカップで日本のラヴズオンリーユーが
直線での競り合いに勝って優勝。
日本馬によるBC制覇は史上初で、日本競馬の歴史を塗り替え、
新たなページを刻みました。
関係者の皆様、本当におめでとうございます。
今週は昨年に続き阪神競馬場で第46回エリザベス女王杯が
行われます。
1975年にエリザベス女王が来日したことを記念して1976年に
エリザベス女王杯が創設され、1995年まで牝馬クラシック3冠目
という位置づけで4歳牝馬限定競走として行われていました。
その後、1996年に牝馬競走体系の見直しに伴い、競走条件が
4歳牝馬から4歳以上牝馬に変更され、施行距離も芝2200mに
短縮され、更にエリザベス女王杯に代わる4歳牝馬三冠の
最終戦として新たに秋華賞が新設されたことに伴い、エリザベス
女王杯は牝馬クラシックを歩んできた旧4歳牝馬と古馬牝馬
による日本一の女王を争うレースという位置づけになりました。
思い出の馬は、2000年第20回優勝馬ファレノプシスです。
ファレノプシスは、1995年4月に北海道新冠町で誕生し、
従兄にGⅠ馬ビワハヤヒデと三冠馬ナリタブライアンがいて、
その血統的背景からも大きな期待を掛けられていました。
また後に半弟のキズナがダービーに優勝するなど、日本競馬史
における華麗なる一族のひとつだと思います。
1997年11月に阪神競馬場の新馬戦でデビューすると2着に
9馬身差をつけて旧3歳レコードタイムでの圧勝し、続く条件
特別戦、年明けのオープン特別を快勝して3連勝を飾り、
期待どおり春の牝馬クラシックの最有力候補に躍り出ました。
次の桜花賞トライアルでは、シンザン記念優勝馬ダンツシリウス
や最優秀3歳牝馬アインブライドをおさえて1番人気に推された
ものの、4着に敗れてしまいました。
しかし、本番の桜花賞では直線で逃げ粘るロンドンブリッジを
交わし、前走で敗れたダンツシリウスやアインブライトをおさえて
優勝を飾り、自身として初重賞優勝と共に牝馬クラシック桜花賞
制覇となりました。
当時の馬体が420キロ前後の小さな体と元々体が弱かったことも
あって、オークスへはぶっつけ本番で挑むことになりました。
血統的に距離が持たないのではということが囁かれていましたが
本番のオークスでも1番人気に推され、レースでは後方待機から
直線で猛然と追い込んだものの、エリモエクセルとエアデジャヴー
を捉えきれず3着に敗れてしまいました。
夏を休養し、秋初戦としてローズS(秋華賞トライアル)で復帰し、
見事勝利をあげました。
そして、迎えた牝馬クラシック最終戦秋華賞ではスタートしてから
中団を進み、第4コーナー先頭に並び掛け、直線で先頭に立つと
そのままゴールまで押し切って優勝、牝馬クラシック二冠を達成
しました。
この活躍が認められこの年の最優秀4歳牝馬に選出されました。
古馬になったファレノプシスは、休養の後3月のマイラーズカップで
復帰したものの10着と惨敗、続く京王杯スプリングカップは勝った
グラスワンダーから僅差の5着に健闘する等、復調の兆しを
見せました。
その後発熱して休養に入りましたが、夏の札幌記念で復帰し
同期のクラシック二冠馬セイウンスカイに半馬身差の2着と善戦
しました。
そして秋の目標だったエリザベス女王杯に出走、牝馬二冠馬と
前走のレースぶりから当日1番人気に推されるものの、レース
での不利もあって、名牝メジロドーベルの6着に敗れました。
続く有馬記念では出走するも見せ場も無く10着と惨敗して
しまいました。
年が明けて旧6歳になったファレノプシスは現役続行をし、4月の
マイラーズカップで復帰するものの、またしても10着に敗れ、
更にレース後には脚部不安を発生して再び休養に入りました。
その後、前年と同様に札幌記念で復帰しましたが7着に敗れ、
レース後には脚部不安を発生してしまいました。
元々体が弱く小さな体で走り続けてきたファレノプシスも長年の
疲れが蓄積し、脚がもう限界だったのかも知れません。
それでもエリザベス女王杯に執念を目指すファレノプシス陣営は
前年と同様にぶっつけでこのレースを最後に引退すると発表した
エリザベス女王杯に出走しました。
レースは2番人気トゥザヴィクトリーが先行して逃げる展開となり
ファレノプシスは終始5,6番手を追走、そして第4コーナーで
先行馬を捉えにいき、直線に入って人気のトゥザヴィクトリーと
フサイチエアデールが競り合う形で抜け出す中、ファレノプシスは
外から追い込んで2頭に迫り、直線で粘るフサイチエアデールを
最後にゴール前で交わし、半馬身の差を付けて勝ち、秋華賞以来
およそ2年ぶりの勝利と共にラストランを見事、優勝で飾りました。
このレースでのファレノプシスの動きは往年のファレノプシスであり
ファレノプシス自身がこの競走が引退レースと判っていたかの
ように思えました。
翌年1月、京都競馬場で引退式が行われ、エリザベス女王杯の
2番ゼッケンを着けてファンにラストランを披露しました。
そして記念撮影では馬名でもある胡蝶蘭で編まれたレイが掛け
られ、ファンと二度と走ることのない競馬場に別れを告げました。
そしてエリザベス女王杯での優勝が評価され、2000年度の
最優秀5歳以上牝馬に選出されました。
引退後は生まれ故郷の牧場で繁殖生活に入り、代表産駒を輩出
することは出来ませんでしたが、記録では11頭の産駒のうち
7頭が勝利するなど、繁殖においても立派な成績を収めたと
思います。
そして2016年7月1日にクモ膜下出血のため、21年の生涯に
幕を閉じました。
今週は阪神競馬場で第46回エリザベス女王杯が行われます。
今年の秋華賞を勝った良血アカイトリノムスメ、前走のオール
カマー優勝馬ウインマリリン、大阪杯優勝馬レイパパレ、
目黒記念馬ウインキートスに注目しています。
今年も多くの牝馬達の日本や世界での活躍で日本競馬は
新たな時代に入りました。
ラヴズオンリーユーに続く馬達がどんどん出てきて欲しいと
思っています。
今週も全馬の無事を祈りながらレースを見ます。



