先週行われましたクラシック三冠目第82回菊花賞は4番人気の

関東馬タイトルホルダーがスタート直後から先手を取って積極的な

逃げを行い、直線では二の足を使って他馬を突き放して優勝。

春のクラシックやトライアルの雪辱を果たし、最後の1冠をついに

獲得しました。

2着には春は怪我に泣いた3番人気のオーソクレースが入り、

2番人気のステラヴェローチェは直線で追い込むも4着となり

1番人気のレッドジェネシスは13着に惨敗しました。

今週は東京競馬場で伝統の第164回天皇賞秋が行われます。

3冠馬コントレイルやマイル王グランアレグリア、皐月賞馬エフ

フォーリア、天皇賞馬ワールドプレミア等、豪華メンバーが

出走します。

天皇賞の歴史は古く、昭和12年秋から帝室御賞典という名称で

行われ、JRAではこの年を天皇賞の第1回目としています。

帝室御賞典は戦争のため昭和19年に中止され、昭和22年春に

平和賞の名称で再開し、同年秋からは天皇賞と改称され現在に

至っています。

 

そして創設以来、1度優勝した馬は再出走を認めないとされて

きましたが、昭和56年に廃止され、過去の優勝馬も再出走が

可能になりました。

その後、スタミナよりもスピードの強化を重視する意見など賛否

両論があったものの、昭和59年から秋の天皇賞は施行距離が

2000mに短縮され、更に古馬の最高峰として位置づけられて

きた天皇賞でしたが、昭和62年からは4歳馬も出走が可能に

なり、これにより各馬は、様々な選択肢が取れるようになりました。

当時、天皇賞への再出走が可能となったことで引退時期が伸び

たり、天皇賞の連覇や天皇賞馬同士の激突が見られることで

大変嬉しく思いましたが、距離が短くなったことで東京競馬場での

1周目に起こる大歓声が聞けなくなったことが残念でした。

中距離馬にも天皇盾の夢をということでは仕方がないことかも

知れません。

そして平成13年からは4歳馬(現3歳)も出走可能となりましたが、

私個人としては古馬の最高峰という伝統は継承して欲しかった

という気持ちがあります。

良いか悪いかは判りませんが、現に今年の菊花賞にダービー馬

も皐月賞馬も出走しないのは、本当に寂しい限りです。

思い出の馬は昭和45年第62回優勝馬で初の芦毛の天皇賞馬

となったメジロアサマです。

今は無きメジロ牧場を代表する名馬の1頭です。

父は万能型の種牡馬パーソロンで、メジロアサマの他シンボリ

ルドルフ、サクラショウリ、ナスノカオリ、ナスノチグサ、タケフブキ

トウコウエルザ等のクラシック優勝馬や数多くの重賞勝ち馬を

輩出した昭和期を代表する名種牡馬です。

メジロアサマは昭和44年のクラシック組でワイルドモア、ミノル

ハクエイホウと共に尾形厩舎四天王の1頭でした。

デビューは夏の北海道で2戦目から3連勝を飾り、尾形厩舎

四天王の1頭として素質の片鱗を見せました。

しかし、クラシック戦線では惜敗が続き、デビューから12戦目で

迎えた日本ダービーでは16着に惨敗しました。

その後、夏の北海道に参戦し、4歳時はオープン戦等3勝するも

重賞制覇はなりませんでした。

4歳時だけで13戦しており、今では考えられないような使われ方

でしたが、よく故障もせずに頑張ったと思います。

年が明けて古馬になったメジロアサマは惜敗が続きましたが、

オープン戦をレコード勝ちした後、安田記念に挑戦し、見事

1番人気に応え、重賞初勝利を飾りました。

その後、夏の北海道に参戦すると函館記念に優勝し、ついに

本格化を果たしました。

東京に戻り、目黒記念に出走するも2着に敗れ、これまで中距離

路線を歩んで来たことから、距離への不安視が囁かれる中で

第62回天皇賞に挑みました。

このレースには同期の菊花賞馬アカネテンリュウやダテハクタカ

重賞3勝し4回目の天皇賞挑戦となるフイニイ等、長距離の

スペシャリストが揃ったため、メジロアサマは5番人気でした。

しかし、直線に入るとメジロアサマは鋭く抜け出し、内をついて

追撃するフイニイや外から追い込んで来たアカネテンリュウを

退けて優勝し、初の芦毛の天皇賞馬が誕生しました。

この勢いで有馬記念に挑戦しましたが、5着に敗れてしまい

ました。

この年も何と13戦して5勝し、うち3勝は重賞優勝する等、酷使

される中、本当に見事な活躍でした。

明けて6歳になってオープン戦を勝利して迎えた目黒記念では

斤量61キロを背負って同門で後輩のメジロムサシと対決しま

したが,斤量の差かアタマ差で2着に敗れました。

それでもアルゼンチンJCCに優勝し、迎えた宝塚記念で

再びメジロムサシと激突しましたが、またしてもアタマ差の2着

に敗れましたが、このレースもメジロのワンツーとなりました。

そして秋になって迎えた京都大賞典の前身であるハリウッド

ターフクラブ賞では、メジロムサシと斤量が逆転する中で、今度は

メジロアサマがメジロムサシをやぶって優勝、雪辱を果たしました。

このレースも2頭のメジロのワンツーで決まったため、競馬ファンは

まさにメジロ記念だと言っていました。

そして暮れの有馬記念に出走予定でしたが、流感(馬インフル

エンザ)騒動に巻き込まれたため、同期のアカネテンリュウと共に

出走取消となってしまいました。

明けて7歳になったメジロアサマは現役を続行し、初戦の中山

記念では敗れたものの、続くアメリカJCCではレコードタイムで

優勝し、古豪としての存在感を示しました。

その後宝塚記念に出走するも、苦手な不良鵜馬場となったため

6着に敗れてしまいました。

秋になってオープン戦に勝利したものの、有馬記念を最後に引退

することを表明し、ラストランなる有馬記念に出走しました。

このレースには史上最強の世代と言われる昭和47組からは

菊花賞馬イシノヒカル、ダービー馬ロングエースやトクザクラ、

天皇賞馬メジロムサシやベルワイド、桜花賞馬ナスノカオリ等、

超豪華メンバーが揃いました。

菊花賞に勝って勢いに乗るイシノヒカルが1番人気に推され、

引退を知ったファンからの応援もあってか、メジロアサマは

2番人気に推されました。

レースは同期のパッシングゴールが果敢に逃げる展開となり、

メジロアサマは後方からの競馬となりました。

直線に入って真ん中を割って直線の荒法師イシノヒカルが突き

抜ける中、ファンからの大声援を受けながらメジロアサマは必死に

内から差を詰めて追い込むも2着に敗れましたが、メジロアサマ

らしい、本当に見事な2着であり、ラストランでした。

引退後パーソロンの後継種牡馬として種牡馬生活に入ったメジロ

アサマでしたが、現役時代にかかった流感の治療に抗生物質を

使用した事による後遺症もあって、受胎率が極めて低かったため

シンジケートも解散してしまいました。

しかし馬主であった北野豊吉オーナーどうしてもメジロアサマの

産駒で天皇賞を獲得することを夢見てメジロアサマを引き取った

上で様々な治療や良血の繁殖牝馬に種付けを行いました。

そしてメジロアサマの産駒は生涯で19頭しか恵まれません

でしたが、数少ない産駒から天皇賞馬メジロティターン、後に

京都大賞典に優勝し、牝馬クラシックでも桜花賞2着・オークス

4着と健闘したメジロカーラ、故障続きで本来の能力を発揮

出来なかった希代の快速馬と言われたメジロエスパーダ等を

輩出しました。

そしてその後メジロティターン産駒のメジロマックイーンが天皇賞に

優勝し、ついに北野オーナーの夢だった父子三代天皇賞制覇を

成し遂げました。

種牡馬を引退した後は、生まれ故郷メジロ牧場で静かに余生を

送っていましたが、北野豊吉オーナーが亡くなった2年後の

1986年1月15日老衰のため静かに20年の生涯を終えました。

今週は東京競馬場で伝統の第164回天皇賞秋が行われます。

3冠馬コントレイルはじめとする中距離の女王グランアレグリア、

皐月賞馬エフフォーリア、天皇賞馬ワールドプレミア、GⅠの

常連カレンブーケドール等、超豪華メンバーが揃いました。

今年の天皇賞は引退まであと2走となり、世代ルをかけた

コントレイルの走り、3歳皐月賞馬エフフォーリアVS古馬陣、

中距離の女王グランアレグリアの2000mへの挑戦、菊花賞、

天皇賞春に優勝した名ステイヤーのワールドプレミアの2000m

での走り、カレンブーケドールの執念の挑戦等、今年の

天皇賞秋はいろいろな面で注目しています。

今週も全馬の無事を祈りながらレースを見ます。