先週行われました最速日本一決定戦、第55回スプリンターズ

ステークスはスピードを活かして先行したモズスーパーフレアが

逃げ込みを図るところを3番人気の3歳馬ピクシーナイトが直線で

抜け出して、差し切って圧勝しました。

2着には2番人気のレシステンシアが入り、1番人気のダノン

スマッシュは休み明けが響いたのか6着に敗退しました。

3歳馬の優勝は14年ぶりとのことで、騎乗した福永騎手が

ビックリするほどの強さでした。

今後の短距離路線での活躍が楽しみです。

今週からは東京競馬場に舞台が移り、第72回伝統の毎日

王冠が行われます。

毎日王冠は4歳(現3歳)以上の馬による重賞競として

1950年に創設されました。

1981年にジャパンカップの創設に伴い、天皇賞(秋)の施行

時期が1ヶ月繰り上げられてからは天皇賞(秋)の前哨戦として

位置づけられ、1着馬に天皇賞(秋)の優先出走権が与えられて

います。

距離は創設当初芝2500mでしたが、1962年に芝2000mに

変更され、1984年から天皇賞(秋)の距離が2000mに短縮

されたことに伴い本競走も芝1800mに短縮され、現在に至って

います。

秋のマイルや中距離路線に向けた古馬や3歳の有力馬達が秋の

初戦として出走して来るため、天皇賞(秋)やマイルチャンピオン

シップ等の秋のGⅠ戦線を占う上で重要なレースになっています。

 

思い出の馬は、私が競馬史上最強の世代と思っている花の昭和

47年組を代表する1頭のタケクマヒカルです。

タケクマヒカルは昭和46年8月、旧馬齢3歳でデビューし、新馬

初戦は後の重賞勝ち馬インターブレインの6着に敗れたものの

2戦目の新馬戦を勝ちあがり、続く特別レースとオープン戦に

勝って3連勝を飾り、オープン戦では5馬身差の圧勝劇を演じた

ことから、一躍クラシック候補として名乗りをあげました。

しかし、この昭和47年組には、後に多くの重賞優勝馬を輩出した

ことから競馬史上最強の世代と言われ、東西で多士済々の

馬達が揃っていたため、タケクマヒカルもダービーに出走するも

厚い壁に跳ね返されて9着に敗れました。

そして、続く当時は残念ダービーと呼ばれていた日本短波賞に

出走し、超音速スガノホマレの4着に敗れたものの、直線の

荒法師イシノヒカルや京都に散った白い花タカイホーマには

後塵を拝しましたが、後の重賞優勝馬でヒンドスタン最後の傑作

ハクホウショウをはじめとする悪魔の使いタケデンバード、

強烈な末脚を繰り出す後の目黒記念馬ヒロクニに先着する等、

善戦しました。

しかし、その後惜敗が続き、脚部不安もあって1年休養して

古馬になってカンバックしましたが、平場の条件戦を勝つに

止まりました。

旧馬齢6歳になったタケクマヒカルは条件特別競走を勝って

東京新聞杯に挑み、オークス馬ナスノチグサや後の天皇賞馬

イチフジイサミ等に先着してユウシオの2着に入りました。

そして続く京王杯SHで同じようにナスノチグサやイチフジイサミ

オープン大将コーヨーや白い逃亡者ホワイトフォンテンをやぶって

ついに重賞初制覇を飾りました。

本格化したタケクマヒカルは距離が伸びた日本経済賞でも、

その勢いは止まらず、天皇賞馬ベルワイドやイチフジイサミ、

スガノホマレ、ホワイトフォンテンに4馬身差をつけて圧勝し、

重賞2勝目を飾りました。

秋に入って初戦の京王杯AHではスガノホマレの世界レコードを

前に2着に敗れましたが、続く天皇賞の前哨戦である毎日王冠

では直線で力強く抜け出して、後の天皇賞馬カミノテシオや

スガノホマレ、ヌアージターフを抑えて優勝し、重賞3勝目を

飾りました。

この時のタケクマヒカルは馬体が充実し、本格化して本当に

強かったと思います。

そして、ついに天皇賞優勝の最有力候補として、当時はまだ

走行距離が3200mで行われていた第70回天皇賞(秋)に

出走し、覆面の魔王ホウシュウエイト、イチフジイサミに次ぐ

3番人気に推されましたが、やはり血統的に距離が長かったのか

12着に大敗してしまいました。

もし、当時天皇賞が今と同じように2000mで行われていた

ならば、私はタケクマヒカルが勝っていたと思います。

それほどタケクマヒカルは本格化していました。

これも今となっては歴史ロマンですが。

今後の活躍が期待されたタケクマヒカルでしたが、天皇賞後に

脚部不安が発生し、二度と競馬場に姿を現すことはありません

でした。

引退後、種牡馬になったものの、当時の内国産種牡馬は不遇の

時代であり、代表産駒を残すことは出来ませんでした。

種付けも昭和57年が最後となりました。

その後タケクマヒカルは、どのような馬生を送り、そしていつ、

どのようにして亡くなったのか、何の記録も残っていないのが

本当に残念です。

今週は東京競馬場で第72回毎日王冠が行われます。

秋の重賞戦線を占う上で重要なレースです。

鉄砲得意?の安田記念馬ダノンキングリーと海外を視界に

入れているヴァンドギャルドに注目しています。

また、3歳馬シュネルマイスターが夏を越して、どれだけ成長を

遂げているのかにも注目しています。

今週も全馬の無事を祈りながらレースを見ます。