先週行われました第81回桜花賞は、1番人気白毛馬ソダシが

驚異のレコードタイムで優勝。

無傷の5連勝でクラシック初戦を制する共に世界初の白毛

GⅠ馬が誕生し、競馬史上初の白い桜が満開となりました。

話題性だけではなく、真の実力馬だということも証明しました。

海外メディアも白い衝撃として「純白の勝者!ソダシが日本の

クラシックで偉業を成し遂げた」」と真っ白な日本馬の快挙を

見出しを打って報じました。

今後の活躍が本当に楽しみです。

またしても惜敗してしまったサトノレイナスですが、直線での

強烈な差し脚は目を見張るものがあり、今後距離が延びる

オークスでの巻き返しに名牝アパパネの仔アカイトリノムスメと

共に期待したいと思います。

今週は中山競馬場で第81回皐月賞が行われます。

昨年のコントレイルのような圧倒的な中心馬が不在であり、

各馬がそれぞれ独自路線で皐月賞に駒を進めているため、

どの馬が勝っても不思議ではない混戦模様になっています。

 

思い出の馬は昭和53年第38回優勝馬ファンタストです。

昭和期、美浦トレセンができる前は厩舎が東京、中山、白井の

3つに別れており、ファンタストは白井の名門高松厩舎に所属

していました。

デビュー前から気品あふれる綺麗な馬体と軽快な走りで、

周りからは高い評価を受けていました。

その期待どおりに新馬戦は圧倒的1番人気に応え、7馬身差の

圧勝劇を演じました。

その後特別戦ではなく、いきなり重賞戦に挑んだものの、最初の

函館3歳ステークスでの落馬の影響がでたのか、その後惜敗が

続いてしまいました。

それでも東京4歳Sでサクラショウリと競り合い、惜しくも2着に

敗れたものの、続くクラシック登竜門の弥生賞では、サクラ

ショウリをやぶって優勝を飾り、その勢いのまま迎えた第38回

皐月賞では逃げるメジロイーグルを見ながら先行策をとり、

直線に入ると鋭く伸びて先頭に立ち、そのまま押し切って、後の

ダービー馬サクラショウリや後の菊花賞馬インターグシケンを

抑えて優勝。

デビュー戦から騎乗していた柴田政人騎手に初のクラシックを

プレゼントしました。

しかし、この勝利がファンタストの生涯での最後の優勝になるとは

この時誰が想像したでしょうか。

続く日本ダービーでは、血統的な距離の壁に阻まれたのか、

10着に惨敗してしまいました。

その後休養を兼ねて北海道に行き、函館記念に出走し、当時の

馬齢での3歳王者だったバンブトンコートの3着に惜敗するも

秋競馬に向けて順調に成長しているように思えました

そして函館記念出走から10日後の7月19日、ファンタストは

滞在していた函館競馬場の厩舎で腸捻転を発症し、獣医たちが

懸命に治療に当たるも、その甲斐もなく皐月賞馬ファンタストは

最後まで苦しみながら息を引き取りました。

皐月賞馬ファンタストの函館での急死は、衝撃のニュースとして

大きく報じられました。

私もファンタストの大ファンだっただけに、とてもショックを受け、

高松厩舎にお悔やみの手紙と香典をお送りしましたところ、

高松三太調教師の名でお手紙をもらい、そのお手紙にはファン

タストを突然失った厩舎内の深い悲しみが書かれていました。

ファンタストはとても素直で可愛くて、優しい馬だったそうです。

ついこの間まで元気に過ごし、そしてもう二度と帰って来ることの

ないファンタストがいた馬房には祭壇が設けられ、厩舎内は

悲しみに暮れていると書かれていました。

そして翌年、まだ59歳だった高松三太調教師も亡くなり、

新聞各紙は高松調教師死亡、愛馬ファンタストのもとへと報じて

いました。

のちに伊達秀和オーナーや高松邦男調教師が中心になって

北海道門別町(現在の日高町)に作られた競走馬のトレーニング

施設「ファンタストクラブ」の名によって、ファンタストの功績は

後世に伝えられています。

今週の第81回皐月賞は昨年のコントレイルのような圧倒的な

主役馬が存在せず、有力馬がクラシックに向けての王道路線

ではなく、独自の路線をとっているため、各馬の比較が難しく、

混戦模様になっています。

そんな戦国クラシック中で、やはり2歳王者ダノンザキッドと

無敗のエフフォーリアが中心ですが、やはり無敗で底を見せて

いないグラティアスにも注目しています。

その他にもディープモンスターやアドマイヤハダル等、大物感

漂う馬がおり、どの馬が優勝しても不思議ではないメンバーが

揃いました。

夢みる人と名付けられ早く天に召されたファンタストに思いを

馳せながら、今週も全馬の無事を祈ってレースを見ます。