先週の京成杯は気品ある馬体を持つ1番人気グラティアスが
圧勝し、クラシック戦線に名乗りを上げました。
日経新春杯は、アドマイヤビルゴやヴェロックスの人気馬が
総崩れとなり、大荒れになりました。
そして今年も実況アナがスタートの直前、あの悲劇を忘れない
ように、何か言ってくれるのかと期待して見ていましたが、
「舞台は違っても全馬の無事を祈って」と言ってくれ時には
本当に涙がでました。
今年も全馬無事にレースを終えて、本当に良かったです。
今週は、中山競馬場では第62回AJCCが行われます。
前の名称はAJC杯だったので未だに言い間違えてしまいますが
昭和期では先週の日経新春杯と同様、天皇賞を目指す関東の
有力古馬陣達が年明けの初戦にAJCCを選択していました。
思い出の馬は昭和51年第17回優勝馬ホワイトフォンテンです。
ハイセイコー世代の馬で見事な大逃げとツボにはまった時の
圧勝劇で多くのファンを魅了し、白い逃亡者と呼ばれていました。
ホワイトフォンテンはニットウチドリやカネイコマ等、後のオープン
馬達を負かしながらダービーに出走したものの、あの怪物
ハイセイコーを3着に沈めた日本ダービーで玉砕的に先行して
超ハイペースを演出した1頭で、自身は23着に惨敗しました。
クラシックでは活躍出来なかったものの、古馬になってから
持ち前の先行力に磨きがかかり、当時の馬齢でいう6歳において
日経賞で初重賞を制し、その後毎日王冠にも優勝。
明けて7歳になってからもAJC杯と日経賞に優勝しました。
まさに大器晩成型の馬でした。
但し、先行馬によくあることで、ツボにはまって勝つときは本当に
見事な強い勝ち方をするのですが、負ける時は豪快に大負け
する等、玄人受けする馬で、「白い逃亡者」の異名をとって多くの
ファンに愛されていました。
しかし、衰えは、突然やってきました。
日経賞に勝った後、急に燃え尽きたように惨敗を続け、私が
当時カメラ小僧として写真を撮りに行った東京3200mの秋の
天皇賞では往年の先行力は全く無くなり3コーナーでズルズルと
下がり始め、勝った馬から何と11秒以上離されてようやく
ゴールに辿りつきました。
故障かと思ったほどで、見ていて本当に痛々しかったです。
華やかに先行していた姿が思い浮かぶだけに先行馬の衰えた
晩年は、本当に寂しい限りです。
これがホワイトフォンテンにとって現役最後のレースとなりました。
実際は、明けて8歳でのAJC杯が引退レースだったようですが、
故障のため出走を取り消しました。
大事に至る前に故障が発覚し、本当に良かった思っています。
最後は往年の面影は無くなりましたが、当時の馬齢で3歳時5戦、
4歳時9戦、5歳時12戦、6歳時13戦、7歳時11戦し、通算
成績は50戦12勝で4つの重賞に優勝するなど、本当に
素晴らしい成績だったと思います。
今では考えられない過酷なローテーションで3歳から7歳まで
月に1回のペースでずっと走らされたものの、故障もなく、
これだけの成績をあげたのですから、ホワイトフォンテンは
本当に素晴らしい名馬だったと思います。
引退して種牡馬になり、1996年老衰のため27歳で天国に
旅立ちましたが、これだけ頑張った馬が天寿を全うしてくれて
本当に良かったと思っています。
今週のAJCCは、やはりコントレイル世代でクラシックを賑わし、
明けて古馬になったアリストテレス、ヴェルトライゼンデ、サトノ
フラッグ、ウインマリリンが有力視されますが、特に注目したい
のが、何と言っても菊花賞で3冠馬コントレイルを最後まで
追い詰めて苦しめたアリストテレスです。
春の天皇賞で孤高のステイヤーフィエールマンとの対決を
楽しみにしていましたが、フィエールマンの引退により、もし
AJCCでアリストテレスが優勝するようであれば、フィエールマン
に代わって春の天皇賞の主役になることは間違いありません。
5歳以上の古馬陣ではイマイチ勝ち上がれない実力馬ラスト
ドラフトやジェネラーレウーノやステイフーリッシュと新古馬陣
との対決も見ものです。
アーモンドアイやフィエールマン、ラッキーライラックが引退した
今、打倒コントレイルを目指し、台頭してくるのはどの馬か、今週も
無観客で寂しいですが、全馬の無事を祈ってレースを見ます。

