競馬を観ていると本当に時が経つのが早く感じられます。

激動の2020年もあとわずかとなりました。

今年は、競馬史上初という言葉を何回聞いたことでしょうか。

今週は、ジャパンカップで私達を魅了したアーモンドアイ、

コントレイル、デアリングタクトは参戦しないものの、まさに

ドリームレースにふさわしい豪華メンバーの参戦による

第65回有馬記念が中山競馬場で行われます。

 

有馬記念は、負担重量が定量のため、人気どおりの結果になる

ことが多いレースですが、時に神のいたずらか、思いもよらぬ

結果となるレースがありました。

私がショックを受けて忘れられないレースは、ハイセイコーブーム

に沸いた昭和48年の有馬記念です。

このレースには皐月賞には勝ったもののダービーと菊花賞で

惜敗し汚名返上にかける怪物ハイセイコーの他、生死をさまよう

骨折で2年間の休養から復活し、一番人気に押された

ハクホウショウの骨折による競走中止というアクシデントはあった

ものの、秋の天皇賞に優勝して波に乗る歴代最強馬としても

名前があがるタニノチカラ、古馬になって実が入り実力を発揮して

きたストロングエイト、牝馬クラシック2冠を制した名牝ニットウ

チドリ、そしてその他にも天皇賞馬ベルワイド、ヤマニンウェーブ、

古豪オンワードガイ等が参戦し、ハイセイコー対古馬陣の対決に

注目が集まりました。

怪物ハイセイコーの出走で大観衆に包まれた中山競馬場で

スタートしてから予想どおり快速馬ニットウチドリがはなを切り

その後にストロングエイトやハイセイコーが先行集団を形成、

そのハイセイコーを終始マークするようにタニノチカラが続く

というレース展開となりました。

直線に入ってもニットウチドリの脚色はよく、これに並びかけてきた

ストロングエイトでしたが、ここで競馬史上に残るまさかの出来事

が起こります。

ハイセイコーとタニノチカラがお互いに相手の仕掛けるタイミング

を待ってから追い出しにかかろうと思ったことで、2頭とも一瞬の

追い出しのタイミングが遅れ、これが勝負の分かれ目になり

ました。

先行して逃げ込みを図るニットウチドリにストロングエイトが

ゴール前でかわして優勝。

ハイセイコーとタニノチカラが一緒になって猛然と追い込んで

来たものの、時すでに遅く、わずかに届かず、ハイセイコーも

タニノチカラも脚を余しての敗退となってしまいました。

そして当時は枠連しか無かったものの、有馬記念史上初の

万馬券となり、この正規の番狂わせは今も語り継がれています。

優勝したストロングエイトも当時展開に恵まれたとか、フロック

とか言われましたが、その後も鳴尾記念、AJC杯に優勝する等、

名ステイヤーとして活躍したことから、有馬記念での優勝は

決してフロックでは無かったと言えます。

ハイセイコーは弥生賞でニューサントに苦しめられた影響か

ハイペースで流れたダービーでニューサントを捕まえに行って、

3着に沈み、初めて敗北を期していましたが、またその時と

同じように年が明けた1月のAJC杯で、今度は有馬記念で

苦しめられたニットウチドリを捕まえに行って、生涯初の9着

という大惨敗をしてしまいます。

そしてマスコミからは怪物返上、メッキが剥がれた、ただの馬

になり下がった等と散々叩かれてしまうことになります。

もしタラレバを言わせてもらえるならば、今年のアーモンドアイ等

でのルメール騎手の冷静な騎乗ぶりを見るにつけ、もしあの

時代にルメール騎手がいて、ハイセイコーに騎乗していたら、

どのようなレースをし、どのような結果になったのかとふと思って

しまいます。

これも競馬のロマンでしょうか。

 

私が今年の競馬を漢字1字で表すとしたら「牝」「冠」「初」といった

ところでしょうか。

今年ほど、これだけ強い牝馬が揃った年は記憶にありません。

GⅠ馬クロノジェネシス、ラッキーライラック、ラヴズオンリーユー

カレンブーケドール等。

最後もやはり競馬史上初の有馬記念での牝馬によるワンツー、

もしくはワンツースリーもありうるかも知れません。

あなたの、そして私の夢が走る有馬記念。

私の夢は、フィエールマンです。

仲間内POGのドラフトで獲得し、私の大好きな天皇賞に2回も

優勝してくれた孤高のステイヤーフィエールマンを応援します。

また2走ボケが無ければ、天皇賞からのローテーションが良い

菊花賞馬ワールドプレミアにも注目しています。

ジャパンカップで大逃げをうって沸かせた菊花賞馬キセキは、

天皇賞とジャパンカップからの参戦ということで、どうしても

疲れがあるように思います。

秋の天皇賞とジャパンカップに優勝もしくは善戦した馬は、

有馬記念ではことごとく敗れています。

オグリキャップやトウカイテイオーやアーモンドアイをもって

してでも、ダメでした。

しかし、バビットとキセキがうまく逃げ、人気馬達が昭和48年

のようにお互いにけん制し過ぎることがあるならば、バビットと

キセキの前残りによる大番狂わせもあるかも知れません。

また1番人気クロノジェネシスはもちろんのこと、まだ底を

見せていない3歳馬オーソリティも気になります。

最後のフィナーレを飾るのは、どの馬か。

そして今年は、どのようなドラマを繰り広げられるのか。

今年も全馬の無事を祈って、有馬記念を観ます。