今週は、東京競馬場で第40回ジャパンカップが行われます。
1970年代から世界に通用する馬づくりが提唱され、日本の
競馬を世界の競馬にという機運が高まり、1981年国際招待
競走で日本初の国際GⅠ競走としてジャパンカップが創設
されました。
以前より海外からは日本競馬の門戸開放を要請されて
いましたが、外国産馬の参入により、日本の馬産地が潰れる
という生産者達や競馬関係者からの強い反対があり、国際
競走の実現には多大な時間を要しました。
私は、日本の名馬達が海外遠征したものの、ことごとく敗れる
姿を見て、いつか日本の競馬を世界の競馬にと、当時思って
いました。
1981年、ついに世界の馬達が日本に来て、日本の代表馬達と
戦うというオリンピックのような国際レースジャパンカップの誕生
した際は、本当に心躍りし、喜び、興奮したことを覚えています。
第一回ジャパンカップでは、日本からは有馬記念や天皇賞に
優勝し、2年連続で年度代表馬に選ばれたホウヨウボーイを
はじめ、当時は無冠の帝王だったモンテプリンスや快速馬
サクラシンゲキが参戦し、日本の競馬ファンの期待が高まり
ました。
やはりオリンピック同様、国の代表馬として挑むレースとなると、
見ている方もとても緊張し、興奮しました。
レースは、スタート直後から快速馬サクラシンゲキが国を背負い
ながら、外国馬達を引き連れて果敢な逃げうつ姿に涙が止まり
ませんでした。
結果は、米国代表の牝馬メアジードーツがあっさりコース
レコードをたたき出して優勝し、日本勢は惨敗してしまいました。
改めて外国馬との力の差を思い知らされ、当時、これから10年は
優勝することは出来ないだろうと言われました。
しかし、大きな目標が出来たことでジャパンカップの創設は、
とても意義あるものだと思っていました。
ところが、2002年での外国馬の優勝を最後に、年々ジャパン
カップに参加する国や馬達も少なくなり、近年は形や体裁だけの
外国馬の参加が続き、例え外国馬が参加しても、明らかに
格下の馬で、毎年優勝とはかけ離れた成績しか残せない状況が
続いていました。
そして昨年は、ついに外国馬の参加がゼロになってしまいました。
これにより最近のジャパンカップは名前だけの国際競走となり、
日本馬達による重賞レースのひとつと化してしまいました。
こうなると、もはやジャパンカップの存在意義はありません。
この状況を続けるなら、ジャパンカップの名称をやめ、ここに国際
GⅠ競走として日本最古の重賞レースである伝統の目黒記念を
もってきたらと思ってしまいます。
フランス、アメリカ、ドバイ、香港の国際競走には各国から多くの
馬達が参加しているのに、どうして日本には来ないのか。
様々原因はあると思いますが、ここに至ってもJRAは何の対策も
講じないのかと思ってしまいます。
しかし先日のニュースで、JRAより魅力ある競走の提供の一環で
重賞競走の改善が挙げられ、例年海外馬を招待して行われる
ジャパンC等、更なるGⅠ競走の振興を図るとともに、東京競馬場
馬場内に国際厩舎を新設すべく来年度、工事に着手し、魅力ある
国際競走にすべく、外国調教馬が参加しやすい条件を整えて
いくとの発表がありました。
遅きに失した感はありますが、これからあらゆる対策を講じて
頂き、ぜひあの第一回の時のときめきと感動を再び味わせ
頂きたいと願っています。
但し、今年の第40回ジャパンカップは、今までの様相とは
一変しました。
GⅠレース8勝のアーモンドアイ、無敗の3冠馬コントレイル、
無敗の牝馬3冠馬デアリングタクトの3頭が参戦を表明し、更に
アーモンドアイがこのレースを最後に引退するとの発表があった
ことで、競馬史上に残る最初で最後の世紀の一戦となりました。
これだけの成績や記録を残した馬達が一同に会して行われる
レースは、50年に1度、いや一世紀に一度、いや後にも先にも
もう2度と見られないレースと言っても過言ではありません。
その他にも菊花賞馬のキセキとワールドプレミア、ダービー馬
マカヒキ、香港GⅠ優勝馬グローリーデイズ、外国からの参加馬
としてはフランスからウェイトゥパリス1頭が唯一参加し、史上
稀にみる豪華メンバーによる令和の大一番となりました。
今年はフランスが参加してくれたことで、何とか国際レースの
面目は保てましたが、皮肉にも世界中からも注目されるレース
となりました。
心情的には、アーモンドアイとコントレイルとデアリングタクトの
3頭の1着同着がベストですが、勝負の世界、そうはいかない
厳しい現実があります。
そして競馬に絶対はありません。
1984年第4回ジャパンカップでは、ミスターシービーとシンボリ
ルドルフの両3冠馬が激突するという世紀の大一番があり、
どちらに軍配があがるのか、そして、今年こそ2頭によって
悲願の優勝ができるだろうと期待されていましたが、結果は、
カツラギエースが逃げ切って勝ち、日本の悲願を達成しました。
今回の世紀の一戦でも、もし3冠馬3頭を逆転で負かす馬が
いるとすれば、グローリーデイズか休み明けで不気味な
ワールドプレミアあたりでしょうか。
杉本アナの「今年もあなたの、そして私の夢が走ります」という
名実況は有名ですが、私の夢は、アーモンドアイです。
昨年から今年にかけて、よく頑張ってレースを盛り上げ、
日本の競馬界を牽引してくれました。
その多大な功績は、計り知れないものがあり、心から敬意を
表します。
そして昔から、名馬の引退レースや、このレースを最後に
競馬場を去りますという言葉には、とても弱いです。
いずれにしても競馬史上に残る世紀の大一番、この素晴らしい
レースを見られることを心から感謝し、そして全馬が無事に
ゴール板を駆け抜け、無事に帰ってくることを祈りながら、
レースを見ます。



