先週は、コントレイルが接戦を制して、史上初の父子での無敗の
三冠馬が誕生しました。
そして、レース後の矢作調教師の「馬には可哀想なことをした・・・
適距離ではない中で、本当によく頑張ってくれたコントレイルの
底力に感謝です。二度と3000mを走らせることはないと思う・・・
しんどい思いをさせてしまった」との馬を大切に思うコメントに
胸が熱くなり、涙しました。
今週は、東京競馬場で第162回天皇賞が行われます。
私の思い出の馬は、第98回優勝馬タマモクロスです。
現役時代、白い稲妻と言われたシービークロスの仔で、当時の
馬齢で4歳の秋を向えて本格化し、芦毛の馬体から繰り出す
強烈な差し足で史上初の天皇賞春秋連覇の他、宝塚記念等の
重賞レースに優勝し、1998年の年度代表馬にも選ばれました。
父シービークロスは、白い稲妻と呼ばれたように芦毛の馬体で
後方からの強烈な追い込みを行う馬でしたが、その分なかなか
追い込み切れないで惜敗するレースもありました。
それでも目黒記念や毎日王冠、金杯に強烈な追い込みを
きめて優勝しました。
シービークロスは脚の故障で引退した際、日本中央競馬会が
種牡馬として買い取るとの話が当時ありましたが、外国種牡馬
全盛期の時代だったためか、結局、買い取ってはもらえず、
寂しく北海道に帰り、細々と種牡馬生活をおくることになりました。
厳しい環境の中でJRAに買い取ってもらえなかったことへの
悔しさからか、不遇な繁殖状況の中で生まれた数少ない産駒
からは、タマモクロスやホワイトストーン等の名馬や重賞レースに
優勝した馬を誕生させ、JRAに対する倍返しを果たしました。
産駒が走ったことで、今度は競馬界全体が手の平を返したように
注目されましたが、時すでに遅く、シービークロスは病気のため、
17歳の若さで、この世を去ってしまいました。
第98回天皇賞で白い稲妻二世と言われたタマモクロスは、
地方から鳴り物入りで中央入りし、破竹の6連勝を飾って波に乗る
白い怪物オグリキャップとついに対戦することになりました。
当時芦毛馬の頂上決戦と話題になり盛り上がった天皇賞は、
逃げ馬レジェンドテイオーが先行し、レースを引っ張りましたが、
直線で強烈な差し足でタマモクロスが抜け出し、追い込んできた
オグリキャップをタマモクロスが力でねじ伏せるように押さえ込み、優勝しました。
芦毛の名馬同士の頂上決戦は、タマモクロスに軍配が挙がり
ました。
タマモクロスが古馬の意地そして中央の意地を見せたレースで
あり、まさに後世に語り継がれる名勝負となりました。
全盛期で好調だったオグリキャップを力で負かした馬は、後にも
先にもタマモクロスだけだったと思います。
無敗の牝馬三冠馬デアリングタクト、そして父子での無敗の
三冠馬コントレイルと、2週連続で史上初の偉業が達成されて
います。
今週の天皇賞は、史上初のGⅠレース8勝目という偉業達成に
向けてアーモンドアイが出走します。
心情的にはアーモンドアイに強く、早く、美しく勝ってもらいたいと
心から願っています。
但し、相手をする馬達の実力が前2週の相手メンバーとは
格が違い、天皇賞春秋連覇と3回目の優勝を狙う孤高の
ステイヤーであり、ミスター天皇賞フィエールマン、秋華賞、
宝塚記念優勝馬の若き女王クロノジェネシス、菊花賞馬キセキ、
有馬記念馬プラストワンピース等、名立たるGⅠ馬達が顔を揃え、
アーモンドアイの前に立ちはだかります。
休み明けの馬が多く、更にステイヤー系とマイラー系の馬が
入り乱れ、スタミナ決着になるのか、スピード決着となるのか、
とても面白いレースになりそうです。
3週連続で史上初の歴史的瞬間が見れることを期待します。
そして天国で見守っているサイレンススズカに思いを馳せながら、
全馬の無事を祈ってレースを見ます。