先週のデアリングタクトの無敗の牝馬三冠達成に興奮がまだ

冷めやらない中、今週は現京都競馬場ではクラシック最後となる

第81回菊花賞が行われます。

 

私の思い出の馬は、奇跡そして悲劇の二冠馬と言われた

第48回優勝馬サクラスターオーです。

父ダービー馬サクラショウリ、母サクラスマイルの仔として誕生

したサクラスターオーは、数奇な運命を辿った名馬でした。

生後まもなく母サクラスマイルが急逝したため、オークスや

有馬記念に優勝する等、競馬史上に残る名牝スターロッチが

乳母となって育ちましたが、そのスターロツチもサクラスターオー

デビューの2ヶ月前に30歳でこの世を去ってしまいました。

デビュー2戦目で初勝利を飾ったサクラスターオーは、脚部不安を

発症して休養に入りましたが、復帰後、弥生賞に快勝、その勢い

皐月賞でも快勝し、ダービーへの最有力馬に躍り出ました。

しかし、生まれつき脚部に不安を抱えていたサクラスターオーは

ダービーを目の前にして無念にも繫靭帯炎を発症し、ダービー

への出走を断念しました。

その後、繫靭帯炎による脚部不安の回復に時間がかかったため、

菊花賞にはぶっつけで挑むことになりました。

昭和期、今で言うGⅠレースにぶっつけで挑むなど考えられず、

ましてや3000mの菊花賞への出走などあり得ない無謀な

挑戦だと当時、言われていました。

しかし、サクラスターオーは持ち前の能力で逆境を跳ね除けて

見事菊花賞を制覇して二冠馬となり、奇跡の復活を果たしました。

関西テレビの杉本アナの「菊の季節にサクラが満開、菊の季節に

サクラ、サクラスターオーです」の名文句は後世に残る名実況

として語り継がれています。

さすがに過酷なレースで疲れが出たサクラスターオーは、この後

春まで休養に入る予定でしたが、有馬記念の人気投票で1位に

なったことで、有馬記念への出走を決断。

しかし有馬記念に向けての調教の状況は悪く、その時

スターオーは自分の脚への異変に彼自身が気づいていた

のかも知れません。

その不安は的中し、レース中に左前脚繋靱帯断裂および

第一指関節脱臼を発症して競走を中止

安楽死を選択するべき重症でしたが、オーナーや多くのファンからの

強い要望により大手術を行い、医師団による懸命の治療を行い

ましたが、手術から6ヶ月後に体調が悪化し、スターオーの衰弱も

激しく、更に再度骨折をするに至って、もうこれ以上彼を苦しめる

わけにはいかないとの判断で、安楽死という決断が下されました。

安楽死処置の前には、東騎手夫妻や厩舎関係者の皆さんが

サクラスターオーに最後の対面を行って、泣きながら感謝と

お別れの言葉をかけて、今までの労を労ったそうです。

1987年5月12日21時56分安楽死処分がとられ、22時2分

関係者に見守られながら、母サクラスマイルが待つ天国へ

旅立っていきました。

その夜、東騎手の奥さんと厩務員の奥さんの二人がギプスや

包帯や手術後もないサクラスターオーが元気に2頭で走って

いるという同じ夢を見たというエピソードが残っています。

スターオーといたもう1頭の馬は間違いなく母サクラスマイルだと

感じたそうです。

生まれてから母の愛情を受けられなかったサクラスターオーは、

母サクラスマイルに天国でいっぱい甘えていると私は今でも

信じています。

フランス遠征を前にファンの要望に応えて出走した日経新春杯で

骨折し、この世を去ったテンポイントの教訓がサクラスターオーや

その後のライスシャワーに生かされなかったことが本当に残念で

なりません。

 

今週の注目は、何と言っても史上3頭目の無敗の三冠馬を

目指すコントレイルです。

コントレイルに唯一近づけ、毎日王冠も快勝した関東の総大将

サリオスがまさかの菊花賞を回避してマイラー路線に変更した

ことには驚きました。

関係者の皆様が短い距離の方に適性があるとの判断だと

思いますが、菊花賞においては、昔から京都の3000mは

マイラーでももつと言われているだけに、3回目の対決が

見れずに本当に残念です。

昭和期においては、この時期、もう既に死語になってしまい

ましたが、第二のアカネテンリュウはどの馬だ(上り馬)と

よく言われたもんです。

今年は、コントレイルとは勝負付けが済んだ馬達ばかりで、

これといった上り馬は見当たりません。

せいぜいバビットぐらいでしょうか。

私は映像で見ただけですが、バビットが有馬記念でシンザンを

果敢に負かしに行った職人加賀騎手のミハルカスのような

大勝負を仕掛けたら面白いとは思いますが。

あとは奇跡の二冠馬トウカイテイオーの血筋を引く、ロバート

ソンキーが血統的にも、どのようなレースをするか注目です。

競馬は何が起こるか判りませんが、コントレイルが大楽勝で

あっさりと無敗の三冠馬に輝いてしまいそうな感じですね。

現京都競馬場での最後のクラシックレースです。

全馬無事で好レースを期待しています。