今週から、いよいよ秋競馬が始まります。

コロナ禍で秋競馬においても無観客でのレースが続くことは

本当に残念です。

今週、中山競馬場では第65回京成杯AHが行われます。

私の中では、関東での古馬戦線での秋初戦の重賞レースの

京王杯AHというイメージが強かったですが、1998年からは

名称も紛らわしく、私もなかなか気づかなかったのですが、

京成杯AHに変更になり、距離も1984年から1,600mに

変わる等、マイル戦線での秋初戦レースとなりました。

歴史ある伝統のレースだけに優勝馬には、名立たる名馬達が

名を連ねています。

思い出の馬は、1974年優勝馬で花の昭和47年組で、

快速で鳴らし、超音速の異名をとったスガノホマレです。

スガノホマレは、私が日本の競馬史上最強馬と思っている

シンザンの子で、生涯成績45戦8勝の内5回をレコード勝ちし、

走るフォームも美しかった馬で、私も大好きな馬の1頭でした。

レコードタイム5回の記録は、タケシバオーと並んでJRAでの

タイ記録となっています。

シンザン自身は一度もレコードタイムで優勝したことはありません

でしたが、産駒からはスガノホマレやシルバーランド等の

スピード馬が誕生しており、これも競馬の不思議なところなの

かも知れません。

一説には、シンザンは相手への配慮と敬意を払うため、大差で

勝つようなことは、決してしなかったと言われています。

また、スガノホマレは快速馬だからだったのかも知れませんが、

雨が半端なく大嫌いで、背中に雨粒ひとつ落ちただけで、走る

気をなくしたという面白いエピソードが残っています。

スガノホマレの最後の優勝となってしまった第19回京王杯AH

では、1分46秒5という驚異的なレコードタイムをただき出し、

「この時計は本当ですか、間違ってないですよね、世界レコード

でしょうか」と実況アナが絶叫する程、凄いタイムでの優勝でした。

馬を家畜としてしか見なかった人達が多くいた昭和期だった

からかも知れませんが、スガノホマレは、その後も酷使され

ながら、当時の馬齢でいう8歳まで走らされました。

快速馬として一世風靡したスガノホマレだっただけに競走馬

としての晩年は、スピードについて行けなくなる等、惨敗が

続き、本当に見ていても可哀そうなくらいで、早く名快速馬

としての花道をつくって欲しいと心から願っていました。

内国産種牡馬が受難の時代でしたので、種牡馬になっても

成功しないから走らされていたのでしょうか。

確かに種牡馬になってからも繁殖牝馬にも恵まれなかったため、

代表産駒を残すことは出来ませんでした。

種牡馬引退後は、牧場をたらいまわしにされ、最後は福島の方に

行ったと風の便りで聞きましたが、最後はいつ、どのように

亡くなったかは知る由もありません。

功労馬として幸せに天寿を全うしたことを祈るばかりです。

 

今週の京成杯AHは、3歳牝馬のスマイルカナ、昨年の覇者で

復調したトロワゼトワルやアンドラステ等、牝馬勢が優位

なのでしょうか。

昭和に思いを馳せながら、スガノホマレのような美しい走りの

快速馬が誕生することを楽しみに、そして全馬無事であることを

祈ってレースを見ます。