先日、ネットニュースで今はなき名門カントリー牧場出身で

2002年度日本ダービー馬タニノギムレットが種牡馬を引退し、

北海道日高町ヴェルサイユリゾートファームで功労馬として

繋養されることを知りました。

繋養されるヴェルサイユリゾートファームでは、他にも顕彰馬で

安田記念、スプリングS、海外GⅠ等重賞8連勝を飾った

タイキシャトルやジャパンC、京都大賞典の優勝馬ローズキング

ダム、宝塚記念、日経賞他GⅠ路線で活躍したメイショウドトウが

繋養されているそうです。

こうした功労馬として余生を送るとのニュースを耳にすると、

少しホッとする気持ちになります。

引退した競走馬の末路は、例え種牡馬や繁殖馬になれたとしても

昔から非常に厳しい現実があります。

実際に天寿を全うできる競走馬はほんのわずかです。

私が競走馬の美しさと競馬に感動して、見始めた小学生の頃、

ある新聞で有馬記念、天皇賞に優勝し、昭和41年年度代表馬で

名門尾形厩舎の栄光の歴史の1ページを加えた名馬コレヒデや

目黒記念、日本経済賞に優勝し、重賞レースでも活躍した

カツタイコウが種牡馬を引退後、廃用となり、と殺場に送られた

との記事を読んだときは、本当にショックを受けました。

その後も昭和52年の皐月賞馬ハードバージは、種牡馬引退後、

使役馬として観光用乗馬や馬車を引く等、過酷な使われ方を

して、最後は日射病にかかり亡くなったとの記事も目にしました。

またその他にも菊花賞、有馬記念の優勝馬メジロデュレンや

京都記念やAJC杯、阪神大賞典の優勝馬スダホークも種牡馬

引退後は乗馬施設で観光乗馬を行っているなど、競馬ファンに

とっては淋しい気持ちでしたが、その後は2頭とも牧場に

引き取られ、無事に余生を送ったとのことです。

 

昭和期は現在と違い、馬を家畜として扱い、用が済めば殺処分

にするという考えが多かったと思います。

馬の運命は、オーナーや牧場の考え方によって決まって

しまいます。

確かにワンちゃんやネコちゃんを飼うのとは違い、飼育するには

広い場所も必要であり、餌代を含め莫大な維持費がかかります。

全競走馬を助けることは不可能かも知れませんが、少なくとも

年度代表馬や重賞レースの優勝馬については、何とか功労馬

として余生を送れないものかと思い、当時、競馬報知という雑誌に

「名馬牧場を作ったら」という投稿を行ったら、その意見を掲載して

頂いたことがありました。

今でもその考えは全く変わってはいませんし、昔に比べてJRAも

補助金を出しているようですが、JRA自らが率先してこの難題に

取り組んで頂きたいと思っています。

シンザンの長寿記録が注目される中、桜花賞、オークスに優勝し

菊花賞でシンザンに挑戦した名牝カネケヤキや天皇賞馬

リキエイカン、そしてハイセイコーと同期で京都記念、大阪杯の

優勝馬スカイリーダの生存が確認され、幸せに余生を送っている

との記事を読んだ時は競馬ファンとして本当に嬉しく思いました。

競走馬の余生については、長年に渡る難題であり、それだけに

引退馬を繋養しているヴェルサイユリゾートファームや

元厩務員の方で、重賞を3勝して種牡馬になり、その後引退して

用途変更になり、行方を調べてみたら処分されていたことを

知ってショックを受け、先ごろ北海道の新冠に引退馬を繋養する

ために開設したノーザンレイク等、引退馬の余生に尽力されて

いる牧場の皆様には心から敬意を表します。

私は今後もできる限りの支援を行っていきたいと思っています。

 

今週は夏競馬の最後を飾る重賞レース新潟記念が行われます。

私の注目馬はワーケアで、春のクラシック戦線は苦戦しましたが、

最後のクラシック菊花賞に向けて、夏にどれだけ実が入って

成長し、コントレイルにストップをかけるライバル馬になれるのか

注目です。